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島木譲二

引越し日寸前になって帰ってきた彼女

島木譲二

遅すぎ!でも怒るに怒れない彼女のテクニック

sazaesanmasu

ようやく大阪子が帰ってくる。

結局一ヶ月近く実家に滞在していたことになる。こんなに家を空けるのなら出会い系でもしておけばよかった・・。

YUTAROは身重の彼女を迎えにいくため、車を新千歳空港に走らせた。

YUTAROが札幌に移住して来た2008年。

ちょうどその頃、北海道では洞爺湖のサミット(主要国首脳会議)が開催され、日本全国から要人警備のため警察が集まった。

札幌にある豊平川の河川敷なんかは、警察車両の駐車場的なものになっていたり、新千歳空港へ向かう道中では、警察による車両の荷物検査が行われていた。

YUTAROも荷物検査に引っかかった一人である。

車内から怪しいお薬は出てこなかったものの・・車のトランクからはなぜかエロ本や電マが出てきて大恥をかいたものだ。

警察の方の「アッ・・」見たいな表情は今も忘れられない。

それでも「やっぱサミットって凄いんだなあ~何するのかよく解ってないけど・・」と肌で感じた。

洞爺湖サミットってなんぞや?って方は⇒第34回主要国首脳会議(wikipedia)

そんな思い出も今は遠い昔のように感じる。(本当に遠い昔になっちゃいました。すいません。)

 

大「ただいま~いや~北海道もだいぶあったかくなってきたなあ~♪」

車の窓を開けてしみじみとと大阪子は言う。一ヶ月の帰省で若干関西弁のイントネーションも濃くなっている気がする。

引越し一週間前にようやく実家から帰ってきた大阪子。

そののんびりっぷりに俺はイライラし、チクチクと説教でもしてやろうと思った。

「あのさ~!」

大「これお土産!」

とすかさず大阪名物の雷おこしを渡してくるのでタイミングを外して何も言えなかった。

それにしてもベタなお土産だこと・・。泣

 

「これ、お前んとこのポストに入ってたやつ・・」

電気や水道の明細が入っている。

「一刻も早く、スグに解約しとけよ~」

大「変わりに解約立ち合わせちゃってごめん。」

「いいよ、別に。それよりも仕事とかどうなってるの?引っ越すから辞めるって伝えてある?」

大「このまま、飛ぶからええわ。どうせ一週間で名古屋やし。」

これが水商売の長い女の感覚なのだろうか?無責任を絵に書いたような女だ。そしてコイツが俺の「嫁」になることに不安を覚えた。

「そんな無責任なことでいいの?」

大「いいのいいの・・夜の世界なんてそんなもんよ。それよりも・・YUちゃんだいぶお腹でてきたやろ?」

YUTAROの手をとり、自分のお腹に当てる大阪子。暗雲が立ち込めそうになると、話をすり替えるのが上手い。

たしかに、4月の頃よりもずいぶん大きくなってきたように思える。

大「もうバンバン蹴ったり、ポコポコパンチするんよ。たまに痛いくらいに。」

 

パチパチパンチにポコポコヘッド?

島木譲二

なぜか彼女のお腹の中で「島木譲二」が暴れている絵が浮かんだ。

「ほほう・・そりゃあ元気な子やね!もうそろそろ名前を決めんとね。」

大「だいたい候補があるのよ。」

大阪子から赤ん坊の名前の候補をいくつか聞かされる。思ったよりもDQNネームやキラキラネームじゃなくて安心した。

「○○と○○がいいんじゃない?」

大「おお!さすがYUちゃんなかなかわかってる~♪」

調子のいい奴だ。そして俺は未だにこの女が理解できない。

 

続く➡札幌最後の夜、これって有終の美なのかな?