顔がアイドル級!カワイイ女の子に会いに広島から別府へGO!
二日酔いがひどい。頭がガンガンと目の奥まで痛い。俺の出会い旅の風物詩だ。いい女に会うとついついハメを外してしまう。
胃の中が誰かの手によってかき回されているようだった。日本酒は大好物だが、飲み過ぎるといつもこうなる。セックスでイケなかったのも日本酒のせいである気がしてきた。
それでもチェックアウトの時間は近づいてくる。
YUTAROは重い体をどうにか動かして、熱いシャワーを浴びると、荷物をまとめて部屋を出た。
「お、お世話になりました。」
出張族が並ぶフロントでYUTAROは頭を下げた。本当にお世話になりました。
昨日、広島でハメを外した男たちは一目瞭然だ。
彼らは、この繁華街流川に宿を取ったあたり「確信犯」なのかもしれない。
車にエンジンをかけると、夜とは打って変わって人気のない流川を後にした。
「うっうえ・・・気持ち悪い。」
ポカリで溢れ出そうなものを押さえ込みながらも、限界が来たのは山口県の「下松SA」にさしかかろうとしたあたりだ。
※「しもまつ」じゃなくて「くだまつ」ですよ。
横に長い山口県の3分の1まで来たあたりだろうか?
「ふ、ふげ・・出る!」
コンビニ袋を口元に当てながら、下松SAに突入した。傍からみればキメてるオッサンにしか見えないだろう。
パーキングに停車すると同時にゲロが吹き出した。コンビニ袋がみるみる、変色していく。一通り吐き出すと、脱力感に襲われた。
「あ、アカン・・俺はなんの成長もしてないわ・・。」
そう言って目を閉じ、そのまま眠りについた。
2時間ほどして目を覚ます。・・うん、イケる。
胃はまだムカついていたが、頭痛が消えたのが救いだ。
コンビニ袋を捨てSAで用を足す、脱水状態だったのか尿は茶色じみていた。
自販機で再びポカリを購入するとそれを一気に半分ほど飲んだ。
「ふっかーつ!!うおお!!」
車内で自分を鼓舞するために大声で叫んだ。
YUTAROが自信を奮い立たせるには理由があった。
それは今日のアポを何よりも楽しみにしているからである。
アポの場所は、「日本が誇る世界の温泉地」別府である。
かの地はラブホですら天然温泉に入れるという世界第二位の湯量を誇る街だ。
平坦な場所が少なく、ほとんど斜面なので長崎並に「自転車乗ると余計に疲れる」街でもある。
ということで温泉大好きなYUTAROはこの日を待ち望んでいた。
そして、もう一つの理由は、アポの相手がすごぶる可愛いということだ。
YUTAROの携帯にはぬいぐるみを抱えた女の子の写メ画像が入っている。にっこりと優しい笑顔でこちらに向けて微笑みかけている。
これを見たとき俺は、「ふぁ!アイドルやん!クリクリしたお目目!」と目を見開いた。容姿的には今回の旅一番だろう。
もちろん目的の百合子も綺麗だが、こちらは可愛い系だ。
俺は、柴咲コウなどの「キツい系美人」よりも有村かすみなどの「やんわり系かわいい」が好きなのだった。
二日酔いになってる場合じゃねえ!
「写メが可愛い」それだけで遠方に会いに行く価値は充分にあるのだ。男とは悲しい生き物である。
ということで今日の相手の紹介をば!
名前 | 温泉子 |
年齢 | 20代前半 |
出会ったサイト | ラブサーチ |
アイドル並の容姿を持つ、温泉の街別府のうら若きエステ部員。職業上、美には敏感であり、きっと自らもいろいろな「毛」を処理しているに違いない。
その体は透き通るように白く、艶やかで瑞々しい(想像)
この旅に出る前にこの写メを何度みつめたことだろうか?俺の本当の目的はなんだったのか?既に忘れてしまっている。
YUTAROは勢いよくアクセルを踏み込んだ、激しく響くエキゾーストノート。それに引き換え一向に加速しない相棒。
俺は約一年半ぶりに九州の地へ足を踏み入れるのだった。
別府の清楚系アイドル(仮)とゆめタウン別府で待ち合わせ
下松SAで仮眠を取ったせいで大きく時間をロスしてしまった。
温泉子は本日休み(エステ部員なので休みはシフト制)。アポの時間は午後5時からとちょっと早い。
かわいい子と会うので、せっかくだから長時間一緒に居たい。
俺はお昼からドライブデートを熱望していたが、「初めて会う人の車に乗るのは怖い」と清楚ことを言うので、条件を飲むことにした。
ワガママを通して嫌われたら話にならないしね。
条件とは「最初のデートはご飯のみ」だ。でも可愛いから仕方ない。寧ろ、そのくらいガードの固い女のほうが長く付き合っていくのに望ましいのだ。(病気)
とにかく5時から早めのご飯デートで助かった。
昼からアポをしていれば、きっと間に合わなかったことだろう。
YUTAROと愛車は関門橋を越え、いよいよ九州に入った。
そこから東九州自動車道へシフト。
待ち合わせに間に合うために、アクセル全開でかっ飛ばすが途中で1車線になったり下道を走らされたり・・頑張れNEXCO!
この頃の「東九州自動車道」はまだ高速道路として完全に機能していなかった。(今は宮崎あたりまでほとんどつながったみたいです。)
4時半、間に合うか合わないかの瀬戸際に冷や汗をかきながらようやく「別府IC」で降りる。
日本有数の観光地に来たのだ、いつもならここで別府の硫黄臭と湯けむりを楽しみながらのんびりと坂を下っていくところだ。
しかし、時間がない。待ち合わせは「ゆめタウン」別府の駐車場である。
時間に間に合うか?引き伸ばしを図るボク
温泉街を猛スピードで下っていくが、車線が多くないので前がつかえる。
そして、不幸は重なる。夕方の渋滞に巻き込まれていた。
「ま、間に合うか?絶対にアイドルを待たせるわけにはいかない!少しでも遅れたら怒って帰ってしまうかもしれない。そうなったら長距離移動がパーだ!」
はやる気持ちとは裏腹に車はあまり前に進まなかった。
10分ほど遅れて、「ゆめタウン別府」の立体駐車場に到着。
信号待ちで「少し遅れそう」とか「もうちょっとで着くよ」とか着いてもないのに「到着しました」などと引き伸ばし図った。
「どこにいます?」と温泉子からメールが来たのは到着から5分前だった。まだいける!
「あれ?いまメール来た・・おかしいな・・電波悪いのかな?2階の立体駐車場の○○辺りにいるよ。」と偽装メールを送る。
いつの時代も都合が悪くなると「電波」のせいにされるものだ。
温「わかりました~。向かいますね。」
淡々としたメールが届く。
いつもは顔文字とか入ってるのに・・もしかして怒っているのだろうか?そりゃアイドルだもんね。
いよいよアイドルとご対面だっ!
携帯で車の細かい情報なんかを返事をしながら、温泉子の到着を待つ。
「お?あれか?」
YUTAROの視線に白いワンピースの女が浮かぶ。大きめのリュックサックを背負っていた。
携帯を眺めながらこちらに向かっている。・・少しずつ。
ワンピにリュックとは・・な、なんか不思議な格好だな・・。さすがアイドル。
そして彼女はYUTAROの車の斜め前で立ち止まった。