今年最後の彼女の姿を見て思う。
目を覚ますと、部屋のいつもの天井が見える。
どうやって付着したのかわからない、線状の小さな汚れが天井にある。
いつかキレイに取り除いてやろうと考えてはいるが、夜になると忘れてしまう。
そして今日もその汚れを見て目を覚ました。
今日は今年最後の29日。今年最後の木曜日だ。
そして筑紫女と会う日だ。一体どんな事になるだろうか・・。
「会いたい」と言った彼女の目的は?何か意味があるのだろうか?
あまり眠れずに、うっすらと胸騒ぎを感じながら一日が始まった。
こんな日に限って彼女(衛生女)からメールが頻繁に届く。
彼女も既に年末休みに入っている。
そして、もうすぐ博多駅に来るらしい。博多駅に来るのは実家帰るためらしい。
衛「忙しくなかったら一緒にお昼ご飯食べようよ。」
「うんいいよ。準備しとくわ。」
短文のメールを打ち、歯ブラシを手に取る。
ゴシゴシと無造作に口の中を泡立てながら、着ていく服をゴソゴソと探す。
「パーカーでいいか。」
俺は準備を済ませると家を出た。
「んおおお!寒い!やっぱりパーカーだけじゃアカン!」
冷たい風を一身に浴びながら目的地を目指す。美野島から博多駅まではチャリで10分程度。
ヨドバシ博多の下にある有料の自転車置場にチャリを停めると、博多駅の中へと入って行く。
「うひょ・・混んでる。あいつ・・どこや?」
年末の帰省ラッシュのせいか博多駅構内は混み合っていて、「混んでるの嫌い人」からするとなんとも居心地が悪い。
新幹線乗り場の前で待っていると、衛生女が大きなキャリーバックを持って現れた。
「おお・・なんか大荷物やね・・。何日間実家に帰るの?」
衛「3日朝に帰ってくるから大体5日間かな?」
「それにしては荷物多くない?実家なら洗濯もできるやろ?」
衛「なんかプチ同窓会みたいなのあるらしいから、ちょっとオシャレに気を使おうと思いましてw」
「正月に同窓会ってなかなかやね。」
衛「田舎はこういう時しか集まれないからねえ。」
そんな会話をしながら、ラーメンを食うことになった。
新幹線のりばからほど近い場所にあるのがDEITOS(デイトス)の「博多めん街道」。
この当時から「博多めん街道」だったのかはわからないが現在はほとんどがラーメン屋である。
数ある博多の有名ラーメン店をスルーして担々麺を食うことにした。
ズルズルと担々麺をすする。
「もうセーター汚すなよw」
衛「わかってる!YU君もね。そういえば名古屋からは2日に帰ってくるんだっけ?結構早いんだね。」
「まあ・・実家にずっと居てもやることないし・・。」
衛「そっか・・じゃあ3日に会おうよ。きっと実家にお餅たくさんあるから、お雑煮作ってあげるね。初詣も行こ。」
「おお・・雑煮作れるんだ・・た、楽しみにしとくわ。」
彼女の料理の腕は期待できないが雑煮くらいなら・・。
担々麺を食い終わり、新幹線の改札でしばし恋人っぽいことをする。
衛「じゃあ行ってくるね。良いお年を・・。」
「うん。良いお年を。」
大きなキャリーバックを引きずりながら彼女は改札の中へ入っていった。
そして、何度も振り返り笑った。
そんな彼女を見て俺は誓うのだった。「浮気」はしないと。