「そろそろ家を出るか・・。」
カス美から買い物が終了したという連絡が入る。午後7時過ぎ俺は家を出た。西方に位置する福岡の夏はまだまだ明るい。
タクシーに乗って待ち合わせ場所の薬院六角のセブンイレブンへと向かう。
タクシーってやつは汗っかきの俺にとって快適だ。
約1,000円でこの快適さをお借りできるならありがたい。(夏限定)
美野島から薬院六角へと移動し、待ち合わせのコンビニへ入る。・・いやあここも快適だ。
「あっYUTAROさん!」
入ってすぐにお声がかかった。入り口で女性のファッション誌を手にもっているのはカス美だった。
今日の恰好は前回とは違ってカジュアルだ。(気合いの入っていた?)
顔立ちが少しキツめ彼女はドレスアップすると、キャバ嬢のように見えるのでこのくらいのカジュアルさのほうが落ち着く。
「お!早いね!お待たせです!」
カ「私の家近いんで歩いてきました!」
な、なぬ・・?近所だと?
これはカス美の家に上がり込むという成功率の低い作戦も使えるではないか・・。
「そ、それじゃ早速行きますか?」
カ「どこに行くんですか?」
「フィッシュマンってお店なんだけど前から気になっててさ・・。知ってる?」
本当は知らんし・・実際気になっているというのは嘘で「食べログのランキング」で上のほうに出てきたからである。
カ「そのお店私は行った事ないんですけど、友達から聞いたことありますよ。」
「お、美味しいのかな?」
カ「うん美味しいみたいですよ♪」
薬院六角から今泉方面へ向かって歩く。
さっそくカス美と手をつなごうと思ったがこの辺りは道が狭く人様や車様の迷惑になるのでやめておいた。
福岡は基本的に歩道が狭いのでカップルが歩道を並んで歩いているとクソウザい。・・もちろんただの嫉妬である。
「お、ここだ・・!」
今泉を入り込んだ角地に魚男は存在した。少しわかりずらい。店名は仮面ライダーに出てくる怪人のようだ。・・たぶん弱めの怪人。
店に入ると威勢のいい掛け声とともに「いらっしゃいませ!」が聞こえる。
平日で「薬院」と「天神」の中間という微妙な場所にあるにもかかわらず店内は客で賑わっている。(福岡市内以外の方にはわかりずらくてすいません・・)
「博多炉端 魚男」が正式名称なのだが、店の雰囲気はオシャレカフェな感じ。女性が好きそうだ。
カ「可愛いお店ですねえ!」
フィッシュマンとあるだけに新鮮な魚がウリなようだ。しかし炉端焼きは関係なさそう。
とりあえず刺し盛とフルーツトマトとバーニャカウダとビールを注文する。
「イラッシャイマセー!オトウシデース!」
「???」
パーティー帽子を被った黒人さんがお通しを持ってきてくれる。急に異国情緒があふれた。
お通しはなんと「生きた車エビ」だった。
カ「え?これ生きてる?」
「・・どうしたら?」
店員「カラを剥いてお好みでレモンをかけてどうぞ♪」(けっこう流暢。すごい陽気な方でした。)
「ん・・んまい!」
カ「口の中でビクビク暴れてるうう!」
お、俺もあなたの口の中で暴れたい・・。
店員「刺し身盛り合わせお待たせしました~!」
カ「なにこれ!すごおおい♪」
カウンターの上に所狭しと置かれる刺し盛り。ネタの乗っている器が階段になっている。なんだこのパフォーマンスは?うちの彼女(未定)が喜んでいるじゃないか?
見栄えだけでなく、魚も間違いないく美味い。そして所々で繰り広げられる誕生日パーティー。(福岡人マジで誕生日を祝い過ぎ!)
こりゃ・・一人で入るには無理ぽな店だわ・・。
カ「賑やかで楽しいお店ですね!」
「うん!前から思ってたんだけどさ・・。」
カ「え?なんですか?」
不安そうにちょっとキョドるカス美。
「もう敬語じゃなくていいよ。」
カ「え?・・うん!努力し・・するね!」
楽しい時間を共有した俺たちは店を後にする。
「よし!もう一軒いくか!」
カ「うん!」
俺はカス美の手をとり歩き出した。
落としたい女はマンツーマンで会って楽しい時間を過ごすのが一番である。
お邪魔しました!フィッシュマン!