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目の前から消えていくご馳走

スキなし!手際よく沖縄旅行を決めていく彼女

筑紫女にスイッチが入ってしまった。

危うくスペインのイビザ島で泡パーティに参加させられるところだった。

外国とか怖いもん・・。そんなこんなでこの夏は彼女と沖縄だ。

筑「どうします?まずは那覇で遊んじゃいます?」

「那覇よりもせっかく沖縄行くなら、綺麗な海がいいなあ・・」

筑「私もそう思う!じゃあ今から泊まる場所チョイスしますね!」

筑紫女はさっきから携帯とにらめっこしている。とても楽しそうに。

「あんまり高くない所がいいでございます・・。」

筑「ブセナテラスは?」

・・聞いたことがある、とっても高いリゾートホテルだ。

「却下でございます・・。もうちょっとリーズナブルじゃないと餓死するわ・・。」

筑「行きたかったなあ・・じゃあこことここなんてどうです?」

筑紫女が携帯の画面を見せてくる。

「カフー・・リゾート?フチャク?」

もはやどこからどこまでが日本語か解らない。

沖縄のホテルはこういうカタカタ表記が多い。なんだかリゾートっぽい印象だからだろうか?それとも沖縄は独特な地名が多いからだろうか?

ちなみにブセナは部瀬名。フチャクは冨着という地名だ。

「おお・・結構安いね!じゃあここにしよう!」

筑「じゃあ予約しちゃいますね!」

「え?もう?・・いまこの場で?」

とてつもない行動力だ。

筑「だって8月のお盆前なんだもん。早く予約しないとお部屋取れないですよ?」

「・・そ、そうだね・・お任せします・・。」

もう降参だ。あとは彼女に身をゆだねるしかない。

俺は茫然と横たわっている刺身の切れ端を口に運び続けている。

結局居酒屋で過ごした3時間のうちに二人が「泊まるホテル」だけじゃなく、「航空券」、果てには回る「観光スポット」までが決まってしまった・・。

空いた口が塞がらない・・彼女が全国出会い旅を計画したらもっと綿密な行動ができるかもしれない。

人間のレベルの差を感じるわ・・。

筑「いやー充実!やっぱり旅行の計画は楽しいですねえ☆」

「・・・なによりでございます・・。」

筑「早く来月にならないかな?もう明日にでも沖縄に飛び立ちたい!」

ふふっ!明日は俺とずっとベッドの中だぜ!

「じゃあそろそろ行こうか!どうする?もう一軒行きます?それとも・・。」

ずっと見れなかった彼女のハツラツとした肉体を一刻も早く拝みたいのだ!

筑「そうですね・・もうちょっと一緒にいたいけど、今日は帰ります!」

ああああああああああああ!!!

「ええ!?明日は休みじゃないのおお!!まだ午後11時だよ?」

全身からさっき食ったはずの魚が噴出しそうだった。

筑「明日は友達の結婚式なんです・・。ごめんなさい。」

「あっ・・ああ・・そうだね・・結婚式めでたいね・・仕方ないね・・。」

目の前から消えてしまうこのご馳走に失望感がぬぐえない。

筑「来週なら大丈夫だから、YUTAROさんの家で沖縄の計画練りましょうよ!るるぶ買ってくるんで!あっ!水着も一緒に選びましょうよ!」

「・・・う・・うん。」

 

陽気なオーラを爆発させながら、彼女は筑紫野市へと帰っていった。

「さて・・家まで歩いて帰るか・・。」

俺は彼女とは反対のオーラをまといながら、人で賑わうこの街を後にした。

 

続く➡ネットで知り合った初対面の女とコンパ。めっちゃ〇〇が現れた。