彼女のテンションがダダ下がりなのでお家デートに切り替え
彼女の白いセーターの胸元に着いた焼き鳥のタレは、おしぼりの応急処置ではどうにもならずしっかりとシミになってしまっていた。
衛「うう・・おろしたばっかりのセーターなのに・・。」
彼女はショックのあまり、苦い顔をしている。
衛生オンはもともと黙っていると不機嫌そうに見えるので、本当に不機嫌になるとかなり怖い顔になる。
美人なのに表情で損をしているタイプだ。
「明日にでもクリーニングに出せばきっとキレイになるって。」
衛「でも今日はずっと恥ずかしいやん。YUちゃんもこんなところにシミ付けてる女は嫌やろ?」
「そんなことないって!俺もよくこぼすし。」
衛「男と女は違うもん。」
「まあまあそう言わずに。気を取り直してもう1件行こうぜ!」
衛「・・やだ。恥ずかしい。」
「マフラーとかストールとか持ってきてないの?」
衛「今日は持ってきてない。」
「そっか・・仕方ないねえ。じゃあウチで飲み直す?DVDでも借りてのんびりしようぜ。」
衛「うん。それならいい。」
ということでいつもの「はしご酒」はせず、DVDを借り行くことになった。
たまにはこういうのもアリかもしれない。
ウチの近くにはレンタルショップはないので、タクシーに乗り込んで、那の川にあるTSUTAYAまで走る。
「どんなんが良いかね?」
衛「今日はコメディ系が良い。」
うんうん。落ち込んでいる時は明るい映画が良いね。
「お!これめっちゃ面白いよ?」
俺が手にしたのは「ハングオーバー」という外国映画。下品すぎて笑える。
衛生女も下ネタ系は基本OKなのできっと楽しんで貰えるはずだ。
とりあえず「1」と「2」を借りておく。それにアメトーーク!のDVDも借りた。
もちろんレジでの支払いは俺だ。
那の川から美野島までは少し距離があるがタクシーを乗るほどの距離でもないので歩くことにした。
「ほれ、外で手つなぐと寒いからポッケの中へお入り。」
寒いので彼女の手を俺のブルゾンのポケットの中に入れる。
ポケットの中で絡む指が生暖かい。
途中、百年橋から博多の夜景(かなり地味)を眺めたり、川で泳いでいるボラを眺めたりする。
こういうデートも恋人っぽくてなかなかオツなものである。
コンビニで酒を仕入れると、俺のマンションへと入って行く。
エレベーターに乗り込むと、彼女が俺に密着してきた。そしてほっぺにチューをする。
衛「YUちゃん、今日はわがまま聞いてくれてありがとね・・。」
彼女がハニカミながら言う。
恥ずかしがり屋な彼女は普段は感謝の言葉をあまり口にしない。
「お前・・顔真っ赤やんwでもよく出来ました。」
衛「うるさい。お前って言うな・・。」
今日の彼女はなぜかとても女の子っぽいのである。