デート中に他の女性からのお誘い!行くか行かないか?
ボクは「陸の孤島」宮崎で出会う宮崎という県は、九州地方においてしばしば「陸の孤島」扱いを受ける。高千穂や青島海岸など観光地にも恵まれているのに、宮崎県はなぜか足を運ぶのがめちゃ面倒くさい。いちおう「九州自動車道」⇒「宮崎[…]
「今日会えませんか?」
メールの送り主は筑紫女からだった。
真っ先に思ったのは「俺も会いたい」だった。
高熱を出した時にわざわざ食事を買ってきてくれたお礼もしたい。あの時は本当にありがたかった。
何より一年半ぶりに筑紫女の顔が見たい。彼女の声と体に触れたい。あの、あざとい仕草にキュンキュンしたい。
感情と欲望がとめどなく体の中から湧き上がってくる。ウ〇コをしている真っ最中に。
ヤシ子:宮崎市で出会った真面目そうな女の子。現在デート中。スペックは高いが服装が絶望的にダサい。
筑紫女:「2009年の出会い旅」で出会った本仮屋ユイカ似のOLさん。福岡県の筑紫野市に住んでいる。一年半ぶりに会う予定だったが、体調不良でドタキャンしてしまった。

どっちを取ればいい?選択肢に迷う冷静と情熱
- 「このまま宮崎でヤシ子と飲むか?」
- 「福岡まで筑紫女に会いに行くか?」
降って湧いたような選択肢に、俺の脳みそが目まぐるしく動き始めた。
脳(冷静派)「いや・・無理だろ?ここは宮崎だがや。」
確かに宮崎市から福岡までの距離は200キロ以上ある。さすがに厳しいか?
脳(情熱派)「まだ18時半だ。今から車を飛ばして向かえば、22時には着くかもしれない。会いに行けよ!」
「冷静」と「情熱」の間でバトルが始まった。ハゲしくなりそうな予感がする。
冷静「ヤシ子とのデートは始まったばかりだろ!相手にも失礼だろ?」
情熱「福岡ならまだ何度も来る機会があるかもしれないけど、宮崎は遠いからなかなか来れないぞ。」
冷静「だからこそ大事にすべきだろ!」
情熱「・・そんな遠い場所で仲良くなっても意味無いがや。」
冷静「一期一会が出会い旅の本質だろうが!見知らぬ地で女子と飲める幸せをさっさと味わえ!」
・・冷静が冷静じゃなくなってきた。
情熱「今日を逃したら筑紫女と会えないまま、この旅が終わる可能性もあるぞ?このブログを見てる人のニーズを優先せよ。」
冷静「・・ぐぬぬ。」
情熱が痛いところをついてくる。
情熱「それにヤシ子とは飲むだけで終わるかもしれないけど、筑紫女は高確率で『お泊り』もありまっせ!(ドヤ顔)」
冷静「え?そうなの?」
俺の冷静が足元からグラグラ揺れている。
情熱「近かったら絶対に筑紫女を取るでしょ?なにを良い人ぶってんの?」
冷静「・・はい。ボクはそもそもクズでした。」
ああ・・冷静がもうダメぽ。
情熱「ヤシ子にはしっかり謝ってさ。ご飯をおごってあげたらいいがや。」
冷静「・・そうかな?許してもらえる?」
情熱「ヤシ子もオマエと過ごす時間にそこまで魅力を感じてねえよ。早く帰りたいって思ってるよ。」
冷静「・・マジか!ヤシ子め・・。」
情熱「さあ、自分のケツをぬぐえ!急げ!今すぐにだ!」
結局、オレは筑紫女に「11時にくらいになら会える」というメールを送信し、ようやくトイレでケツを拭いた。
デート中に抜けるクズ男には気を付けて!
席に戻ると少し不安そうな顔でヤシ子が俺を見ている。きっと俺は複雑な表情をしていたに違いない。
「あのさ・・急な仕事で出ないといけなくなっちゃって・・すいません!」
ヤシ「え!?大丈夫ですか?・・なんだったら今からお店出ます?」
いい子すぎて泣ける・・。オジサン罪悪感がすっげえぞ!
「いや・・せっかくだから時間一杯までいさせてください。本当にごめん。」
ヤシ「でも・・。」
「とりあえず、ビールでいいですか?」
俺はビールと烏龍茶を注文し、メニューの中から適当な食べ物を注文した。
「せめて、たくさん食べて、飲んでくだせえ・・乾杯!」
俺は時間ギリギリまでヤシ子をもてなした。
ーーそして1時間後。
「今日はホントにごめんね。せっかく時間とってもらったのに。」
ヤシ「大事なお仕事なら仕方ないですよ。」
(・・仕事じゃないんだよぉ!これから女に会いに行くんだよぉ!・・ホントすいません!)
「もし、次の機会がもらえるなら、二人でゆっくり飲んでもらえる?」
ヤシ「そうですね。また次回ですね。」
「じゃあこれで!気を付けて帰ってね!」
ヤシ子に別れを告げ、俺は駐車場に向かって走り出した。
振り返ってヤシ子に手を振ろうとするが、彼女は既に歩き出していて、もうこっちを向いてはいなかった。
「・・そりゃそうだわな。」
クズ男が車に乗り込んだのは午後7時過ぎ。
わずか2時間あまり。短い宮崎滞在だった。
ヤシ子よ。これからはデート中に抜けるようなクズ男には、引っ掛からないで欲しい。
キミなら大丈夫だ。かわいくて性格も良いんだもの。
いい男を捕まえて、素敵なお嫁さんになるはずだ。アディオス!
超特急で好きな女性に会いに行く。
「もったいないことしたかな・・。」
俺はハンドルを握りながらつぶやいた。ヤシ子は充分すぎるほど当たり物件だった。(服はダサかったけど)
それよりも俺を突き動かしたのが筑紫女だった。
彼女に会えるなら「宮崎⇒福岡」の移動にも耐えられる。
筑「忙しいなら無理しないでください。またの機会にでも♡」
筑紫女からメールが届く。ちょ!待てよ!
「やっぱり会いたいよ。この前のお礼もしたいし。ただ11時くらいになるから、どこかで少し時間つぶしててもらえるかな?」
そう返事を返すと車は急発進した。
(行くんだ!福岡へ!〇んでも構わない。)
宮崎道のETCゲートをくぐったのは、午後8時前。
あと3時間で福岡までたどり着けるのか?
アクセルをめいいっぱい踏み込むと、愛車はゆっくりと加速していく。ハンドルを握る手には汗がにじみ出る。
「さすが宮崎・・空いてるぜ!」
ペースよく車は進み、午後10時過ぎに熊本県の熊本市に入る。福岡まで約100キロ。
がんばり次第で午後11時にはどうにか福岡へ入れそうだ。
ちなみに明日は熊本アポの予定だったが、「彼氏ができたのでもう会うことはできません。」とキャンセルされてしまった。
よって、この出会い旅の新規アポはもう無い。
つまり筑紫女に会えなければ、俺はとぼとぼと名古屋に帰ることになる。・・それだけは避けたい。
(ヤベぇ・・混んできた。)
福岡に近づくにつれて車の数が増えてくる、問題は「鳥栖JCT」だ。
鳥栖ジャンクションでは「九州道」「長崎道」「大分道」が合流するため、一気に車の数が増える。
二兎追うものは一兎も得ず。
さっきから格言がうるさい。
でも大丈夫。俺は一兎に絞ったのだから。
「早く!早く!」
一番右の車線をキープしながら走った。大宰府ICから福岡都市高速へ。
「あと10キロおおお!」
ずっと緊張して走ってきたせいか・・なんか体が臭い。
午後11時10分。春吉にあるいつもの駐車場に到着。
俺はさっそく、筑紫女に電話をかける。
筑「はい・・。」
「ごめん!遅くなっちゃって!いま春吉なんだけど、まだ天神にいる?」
筑「おそーい!もう帰っちゃいましたよ!」
「う、うそ・・\(^o^)/オワタ」
か、体から全ての力が抜けていく。また高熱がぶり返しそうだ。
筑「うふふ嘘でした~♪二次会に参加してたんで、ちょうど良かったです。」
「・・ほ・・良かった。」
筑「今からそっちに行くので、天神南駅まで来てください。そこで会いましょ♪」
車を降りると、天神南駅に向かって歩き出した。
(なんだかんだで久しぶりだな・・筑紫女に会うのは・・。)
緊張で喉がかわく。ビールをキュッと行きたいところだ。
筑「YUさーん♪」
懐かしい声がする。
この日、筑紫女と会ったことが、俺の人生に大きな転機を生むことになるのだ。