危うくお蔵入りになるところだったスッチーのコスプレ
「おっといけねえ!忘れてた!」
俺のキャリーケースの中にはコスプレが潜んでいた。
それは彼女の着せるために入念にチョイスしてわざわざ沖縄へと運んできたものだった。
さらには高機能なローターだ。ネットで購入した物だが、そこらへんのピンクローターと一緒にしてもらっては困る。
これはボタン一つで様々なタイプの動きをしてくれる。
本当は相棒の電マも持ってこようと思ったが、さすがに彼女から人間性を疑われそうなのでやめておいた。
とにかく空港の厳しい荷物検査すらも潜り抜け、それらは沖縄へとやってきたのだ。(※国内線の荷物検査は簡単なので大して問題ないですw)
「ねえねえ!ちーくーしーおんなー!」
俺はコスプレとローターを持って走り出した。変態として刑務所に行くのももうすぐだ。
筑「え?な、なんですか?」
彼女はちょうどシャワーを浴びようとしていた。失礼しました。
「これ、新しく買ったんだ!着てみてよ!」
筑「え?なになに?」
彼女の顔が期待で赤らむ。
筑「これって・・コスプレ?キャビンアテンダントの?」
コスプレの入った袋を開いた彼女が言う。そしてその期待の表情はみるみる曇っていった。
・・言い方が悪かったのかもしれない。彼女は自分へのプレゼントだと思ったのだろう。
空気の読めない俺もさすがにマズいと思った。
「ごめん・・筑紫女なら似合うと思って。」
俺はこうべをたれる。よかれと思って・・。
筑「んもう!本当にバカ!しかもこの前着たばっかりじゃないですか!」
前回コスプレのお話⇒『頼みづらいけど、彼女にコスプレを着てもらいたい』
「ご、ごめんん。」
筑「・・今日だけですよ?シャワー浴びるまでちょっと待っててください。」
「あっ!これも・・」
スポーツDEPOの袋の中には新品の網タイツも入っていた。
俺はそれを申し訳なさそうに手渡した。
筑「YUさんって本当にどうしようもないエロ親父ですよねw」
「・・褒めてくれてありがとう。」
筑紫女もエッチは嫌いじゃない(はず)のでこういうところは意外とノリがいい。
こういったやりとりも案外楽しいものだ。
でも今度は何かプレゼントしないといけないなあ・・。
ベッドに一人寝転ぶ。枕元には高機能ローターを置いておいた。
そして俺は、彼女の着替えを待っている間に考えた。
「明日は、もう福岡に戻るのか・・。」
楽しい旅の時間はあっという間で、一日が本当に24時間あるのか疑いたくなる。
もっともっと二人ではしゃいでいたいと思う。
だのに彼女の着替えを待っている時間はこんなにも長く感じる不思議。
時間とは平等に過ぎているのだろうか?もちろん俺の小さな脳ミソで考えても答えなどでない。
「あっ・・ちゃんと電池あったっけ?」
ローターがちゃんと作動するか不安になった。試し運転をしていない。
ウィーン・・ウィーン。ウィウィウィーン。
「このモードよし!」
そんな時、サニタリールームのドアが開いた。
驚いた俺は急に電源を切ることができずにいた。
ウィーン・・ウィーン。ウィウィウィーン。
小さな電子音が部屋にこだまする。