宮崎のシングルマザーと熱い一夜を過ごし、次に向かうは鹿児島市。
俺は「一期一会」の醍醐味をかみしめながら、野をこえ山をこえる。
しかし、都城を過ぎたあたりで、体の異変に気が付いた。
鹿児島市で出会い系アポ。どうも腹の調子が悪い。
「なんか腹の調子が悪いぞ…。」
道の駅のトイレにこもり、独りつぶやく。
俺は年中下痢ばかりしているが、今日はいつもの下痢と違う。
(食あたり?裸で寝たから冷えちゃった?)
シングルマザーな肉布団の心地良さに、今が冬だと忘れていた。
出会い旅もまだ中盤。ここで風邪を引こうものなら、旅のスケジュールが全て崩れてしまう。
俺は不安を抱えながら、ようやく鹿児島市に入る。
(幸い今日はアポがない。ホテルに泊まってゆっくり休もう。)
起きたら朝オナでイメトレよっ♡
明日がきて、今日になる。
一晩明けても、腹の調子は悪いままだった。起きてから既に2回もトイレに行っている。
だけど、息子はギンギンにみなぎっていた…きっと昨晩に食べた黒豚しゃぶしゃぶのおかげだろう。
(しゃあねえ、一発抜いとくか…。)
横G、縦G、ローリング自慰。
自制の利かない俺は、朝オナにいそしんでいた。
「あ‥いい!うっ!…え?お~♡」
射精後は真っ裸で、今日のアポをイメトレだ。
このアホを極めたルーティンが、俺をトラブルに引きずり込むのだ。
ラブサーチで知り合った「ブスではない」鹿児島の女
さて、今日の相手の紹介をば、
名前 | かご子 |
年齢 | 20代前半 |
メール期間 | 約2週間 |
出会ったサイト | ラブサーチ |
運営株式会社オープンサイト料金定額制対象年齢18歳以上の独身者URLhttps://lvs.jp/対応アプリIOS・Android総合評[…]
かご子はこの旅を初めてから、ラブサーチで知り合った女の子。
コピペメールを手当たり次第に送信するという「無差別バラマキ作戦」で釣れた。(※2009年当時のやり方です。今はできません。)
かご子とのメール期間は約2週間。会うにはちょうど良い長さと言える。
あまりメール期間が長くなると、自然消滅になりやすくアポ率も下がってしまう。
なお、容姿に関しては不明。本人いわくブスではないらしい。
YUTAROが鹿児島でアポするのはこれで3度目。二回ともカワイイ子が来た。
「2度あることは3度ある」ということわざがある。「3度目のドブス」という苦い経験もある。
今回はどんな女性が来るのだろう?
「待ち合わせ場所」天文館の山形屋へ
(…さぁ街に出ようか。)
鹿児島の冬は思ったより寒かった。南国だと油断していた。
薄手のブルゾンのジッパーを上げ、天文館までの道のりを歩く。
(鹿児島はやっぱり美人が多いなぁ…)
俺は天文館のアーケードを歩きながら、10mごとにキュンキュンしていた。
鹿児島は顔立ちの整った「正統派の美人」が多い。あちこちに容姿端麗女子を見かける。
さて、たどり着いたのは天文館にある「山形屋」というデパート。今日の待ち合わせ場所はここだ。
山形屋はレトロな外観で、大正時代の建物のような威厳を感じる。一周回ってオシャレだ。
(…かご子はどこだろう?)
周りに目ぼしい女性はいない。俺はポケットから携帯を出して、「到着メール」を待ち構えていた。
ンブー!ンブー!
そして、携帯が揺れた。
かご子「着きましたヽ(^0^)ノ」
(報告のみの短文メール…どこにいるのかヒントをおくれ。)
電話NG女子とのアポはちょっと面倒だ。
電話でなら伝えられる情報量も多いし、待ち合わせ場所で戸惑わなくて済むのに。
「俺もついてるよ~。金生町の交差点側だよ。」
かご子「わかりました。すぐに向かいます。」
(美人よ来い!×100)
俺はギュンギュンに願いをこめて、かご子の到着を待っている。
ビビりは声をかけられない
一人の女性が立ち止まった。俺の半径5m以内だ。
その女性は白いニットを着ていて、黒いコートを左手に持ち、キョロキョロと周りをうかがっている。
(あ…たぶんこの子だ。)
ピンときた。これまでの勘ってヤツだ。
(マジかよ!マジかよ!来ちゃったよ~~!)
自分の耳に響くほど、鼓動は強く早く高鳴った。
確信が持てるまで声はかけない。だって小心者だもん。
かご「着きました。」
メールが届く。あの子でほぼ確定だ♡
だけど行動はしない。なんせ小心者だから。
「白いニット着てる?コート持ってる?」とメールしてみる。
かご子「はい。それ私です。」
ようやくビビりは重い腰を上げ、彼女のほうへ歩いていく。
「あの…かご子さんですか?」
大きな瞳が俺を映す。
魅入られてしまいそうでゴクリと唾を飲み込んだ。
かご子「あ、YUTAROさんです…?」
「そうです!わたしです!」
かご「ははは何それ。おかしな人~。」
(おかしな…人?)
否定できない。俺は札幌から鹿児島まで会いにきた変態だ。
そしてきっと彼女を「お嫁さん」にするために、長い旅を続けてきたのだ。
めっちゃタイプ!ボブヘアーでハーフ顔の美人と出会う
(ヤバ…この娘…めっちゃタイプ♡)
エアリーなボブヘアーに、パッチリおめめのハーフ顔。
キュッと上がった口元からは、真っ白い歯が輝いている。
かご子を有名人に例えるなら、アーティストのBENI(安良城紅)に似ていた。
身長はそれほど高くなさそうだけど、顔が小さくて足も細い。
(こいつぁ…作られた美人じゃねぇ。遺伝子レベルの逸材だ。)
こんな美人が出会い系を使うのだから「世も末」である。
ダメなパターン。緊張で空回るボク
「とりあえずご飯食べます?それかドライブでも行きます?」
かご子「そうですねぇ…とりあえずこの辺り(天文館)ブラブラしません?」
二人で一緒にぶ~らぶら♪山形屋をぶ~らぶら♪コイツは絶対B型だ。
お次は天文館のアーケード。ダイソーに入ったと思ったら、オシャレなセレクトショップへ…。
雑貨屋に入ったと思ったら、靴屋さんへ…。
彼女は黙々と商品を見定めている。おかげで会話が続かない。
人はゴミのようで、足は棒のようだった。
(…あなたのブラジャアぶらぶらしたい…。)
そんな願いを胸に秘め、コバンザメのように彼女の後ろをついて歩く。
目的のないウィンドウショッピングはとにかく退屈だった。たとえタイプの美人と一緒でも。
かご「私と仲良くしたいなら、このくらい我慢なさい。てか買い与えなさいよ。」
彼女は行動で示している。(妄想です)
「それ欲しいの?オジサン買ってあげよっか?」
その一言が出てこない。だって俺は名古屋人(ケチ)だから。
(あぁ…これはダメなパターンだ。)
ペースがつかめない。俺は空回っている。いつもデートの時は自分から積極的に話かけるのに。
かご子の美しさが、俺を緊張させている。
彼女の「素っ気なさ」が俺を尻込みさせている。
もうヤメテ!追い打ちの腹痛
そして丸善(本屋)に入った時、大きなトラブルが舞い込んできた。
(やっべぇ!…急に腹が痛くなってきた。)
- 「本屋」
- 「緊張」
- 「腹の調子が悪い」
三つの相乗効果によって、俺の腹痛は急激に勢いを増していく。
(なぜ、デートの前に下痢止めを飲んでおかなかった?このおバカさんめ。)
前兆はあったハズなのに…こうなるって想像できたのに。
どうしよう。どうしよう。美人の前でクソなど漏らせない。
美人の前でトイレに行くのは恥ずかしい
「ね、ねぇ、お腹減らない?そろそろランチにしようよ。(訳:ウンコしたい)」
かご「…夜じゃダメ?あたしお昼食べない派なの。」
(そんな不健康な派閥ってあんのか?)
「実は…さっきからオシッコ我慢してて…。(訳:ウンコしたい)」
かご「えっ!そうだったの?気にせずトイレに行けば良かったのに。」
彼女の言う事はごもっともだ。でも腹が痛くなったのはつい5分前。
それに、美人の前でトイレに行くのは恥ずかしい。
「オシッコしたのね」ならかまわない。「ウンコしちゃったのね」とは思われたくない。
29歳の俺は、そんな小さなことにこだわっていた。
かご「それじゃ…お昼ご飯にしよっか。」
「そうしてもらえると助かる。お腹も空いてたし。」
かご「近くにトンカツが美味しいお店があるの。そこまで我慢できる?」
「うん、早く行こっ!」
俺はケツ筋を引き締めながら歩いた。オナラ一発でジ・エンドだ。
「ホントは下痢なんです」と素直に伝えられたなら…どんなに気が楽だろう。