もう・・アイツはどこへ行ってしまったんだ!
結局、朝になっても大阪子からの連絡はなかった。
メールも何度も送信したが返事はない。
この頃のガラケーってヤツはメールアドレスでのやりとり中心の時代、今で言うスマホのLINEような「既読機能」もない。
だから大阪子がYUTAROからのメールを見ているのかはわからなかった。
電話ももちろん繋がらないどころか、電源すら入っていないようだ。・・・結局は昨日と同じ状況。
いつもは楽観主義者の俺もいよいよヤバイ気がしてきたわけである。
「ぐふう・・。」
とりあえず目を覚ますために、氷を入れた冷水で顔を洗う、使ったのは焼酎をロックで飲むための氷だ。
洗面所の鏡に映るYUTAROの姿は目の下にクマを蓄え、顔はやつれていた。
「警察はダメかも・・。」
調べたところ、警察は「親族」や「配偶者」じゃないと動いてくれない可能性が高いらしい。
「・・・んん?親族??」
実家・・・。実家だわ!
この際、大阪子の実家に連絡じゃ!
もしかしたら大阪子が「うっかり?」実家に帰っている可能性がある。
この状況で帰っていたらかなりヤバイ女だが、彼女の場合、その可能性は充分考えられた。
・・・・てか実家の住所も連絡先も知らんがな!(;゚Д゚)!
俺は馬鹿なのである。
とはいえ結婚するのに、電話一つ繋がらないだけでここまでパニックに陥るという、現在の二人の繋がりがもどかしい。
あまりに「雑な結婚」であることにようやく気がついた。
「どうしよう!どうしよう!」
俺自身、今にも泡吹いて倒れそうだった。
今回のストレスでYUTAROの毛根の寿命はさらに短くなったに違いない。
「そういえば・・・手紙!」
大阪子には両親や妹から(特に母親)時々、手紙が届いていたことを思い出した。
家族とは疎遠ながらも、手紙はしっかりとケースの中に保存されていたのを思い出したのだ。
引越しのダンボールにはそれが入っているはずだ。
「もしかすると、手紙に住所とか実家の電話番号が書いてあるかも!」
急いで「私の私物」と書いてあるパンダのダンボールをこじ開ける。「頭の悪い女」だと思ったが今はそれどころじゃない。
どれだ?どれだ!どれだ!?
「私の私物」をブン投げながらダンボールの中を探った。
あ、あった!
10数通の手紙の入ったプラスチック製のケースが発見される。
手紙の裏には彼女の母親の名前と住所。そして電話番号が記載されていた。
ようやく大阪子との手がかりを掴んだ俺は、早速電話をかけてみることにした。
・・・がやめた。
頭の中がこんがらがってうまく話せそうになかったからだ。
「ふうう、ふうう・・落ち着け俺」
とりあえず水道の水を一気のみしてトイレで用を足した。
なんとなく落ち着きそうなこの行為によって心臓は少し静かになったように思う。
「さて、かけるか!」
震える手で慎重に番号を入力していく。
そして「通話」を押して携帯を耳に当てた。
プルルルル・・プルルルル!
ガチャ!
「はい・・○○(大阪子の苗字)です。」