「温泉入りたいんです」会っていきなり川棚温泉へ
俺は無事に下関子と合流を果たす。育ちの良さそうな癒し系の彼女。しかも相武紗季似だ。
今日のアポも楽しいものになりそうだ。俺の胸はおどった。
下「・・川棚温泉に行きたいんです。」
「は?今から?」
下「はい、YUTAROさん温泉好きって言ってましたよね?私も行きたくなっちゃって。」
これから温泉に行きたいという無茶ぶりを言い出す下関子。
あの・・もう午後6時なんですけど・・。
「その・・川棚温泉って近いの?」
下「えっと、ここから車で30分くらいですかね?」
「これから行けるってことは、立ち寄り湯だよね?夜だけどどっか入れるところあるの?」
下「川棚グランドホテルってところに行ってみたいんです。」
「ホテル?泊まりはさすがに・・。」
急な展開に焦りまくるYUTARO。なんと積極的な子だこと。まあ可愛かったら全然OKなんですけどね。
下「泊まりじゃなくても入れるみたいなんですよ・・・」
みたいじゃ困るんだよ!このア○○レがああ!!
ふわふわした彼女にそんな暴言も吐けず。
「そっか。じゃあとりあえず行ってみる?」
下「ほんとに!?うれしい!」
(なんか無理やりな子だなあ~。癒し系っぷりを武器にしている気がする。)
まあ断る理由もないし。スキあらば混浴・・・なんてプランも計画してみる。
ムフフ!出会い旅の醍醐味ってやつですな。
(それにしても、いろんな子がいるなあ~・・世の中には・・。)
ひょんなことから、YUTAROと下関子は川棚温泉に向かうことになったのだ。
暗い!遠い!川棚温泉までの道。
・・・車は山道をすすむ。下関市街から走ってきて、まだそんなに経ってないんだが・・。
周りは真っ暗、イノシシが飛び出てきそうな光景だ。
まさにこんな感じ。
「・・本当に温泉なんてあるの?」
下「下関なんて、街から外れたらこんなもんですよ~wでも温泉たのしみですね。特に寒い中で入る露天風呂なんかいいなあ~✩うふふ♡」
助手席では、下関子が「ウキウキアドベンチャーモード」に入っている。
そんな彼女を見ていると、暗い夜道も楽しめる。ナビがなければ、途中で泣きそう。
思ったより豪華な川棚グランドホテル
しばらく二人で山道のアップダウンを味わいながら、ようやく川棚グランドホテルに到着。
「な、なんか結構おっきなホテルやね・・。」
駐車場にはベンツとかレクサスとか高級車が停まっとる。
ホテルの店構えもなかなか豪華です。
「ほんとに立ち寄り湯とかあるんかいなあ~。泊り客じゃないとダメだとか?」
不安そうにつぶやく。
下「私、ロビーで聞いてきます!」
今から聞くんかーい!・・これが『ゆとり世代』のガチのゆとりか?
緊張しながら下関子の後をついていくおっさん。
「いらっしゃいませ~」とフロントの従業員さん。
下「あのう・・泊まりじゃないんですけど、お風呂に入りたいんです。(笑)」
下関子の天然なトークに緊張がほぐれる。かわいい奴よ。
混浴が良かったが大浴場で。千円で入れるぞ。
大浴場なら利用できるということで(貸切湯が使えず残念!)お風呂場ゾーンへ。
薄暗い迷路のような長い廊下を進んで行く。
廊下の途中に赤い鳥居があったりと、ちょっとビビリながら大浴場「山頭火」の受付に到着。
受付のおば様にお金を払って、タオルも借りる。料金はタオルも入れて一人約1,000円だぞ。
「それじゃあ、お風呂は何時まで入る?」
下「そうですねえ~8時半は?夜ご飯食べましょ!川棚名物の瓦そば食べましょうよ~✩」
「お!それ美味そう!いいね!」
8時半まで50分もある。あまり長風呂は得意じゃないYUTARO。
「ちょっと長い気もするがゆっくり体でも洗って過ごすか?」
これは付き合い始めのカップルのような雰囲気じゃないかえ?
きっと川棚温泉のお湯が二人の心をほぐしてくれるに違いない。
驚愕のビックボーイを持った外人観光客に出くわす
「さて、温泉入りますか?」
下「うん!行ってきますね~後で!」
俺は長風呂ができないので、とりあえずタバコを一服。
(今日はどんな感じになるんだろうか?)
ちょっと鈍感そうな下関子を相手にいきなり親密な関係になるのはちょっと難しいかもしれない。
(いや・・ああいう子のほうが意外と中身はすごいのかも?)
吐き出したタバコの煙にいろいろな想像を働かせ、夜空に飛ばす。
「俺もそろそろ風呂につかるか?」
大浴場の中に入ると、脱衣場には誰もいない。
「もしかしたら貸切状態かな?」
ちゃっちゃと服を脱ぎ捨てて、風呂場へ向かう。
やっぱり貸切や!かなり広い浴場に一人だけ・・・お得な気分!
今日の汚れを落とすべく、体を洗う。長い旅のせいか、抜け毛が多い。
不摂生がたたって、髪質がさらに柔らかくなったような・・。帰ったら、「ミノキシジル」で対応しなければ!
内湯はすっとばして、露天風呂に入る。
「ふええい・・だああ・・」
体を湯に囲まれると、冬の寒さから開放されオッサンの声が漏れる。とっても気持ちいい。
露天風呂は目の前が林になっていて、ポツンと一人そこに置かれる。
聞こえるは、壁越しから伝わる隣の風呂のおばちゃん?の声。
こっちは貸し切りだけどあっちは他に誰かいるんだねえ~。下関子はどんな乳しているのだろうか?
壁を見ながら、想像は止まない。
ん?なにやら壁にたくさん文字がかかれているぞ。
「ふるさとの言葉のなかにすわる」by山頭火
山頭火さん深いわあ~。
このホテルの大浴場の名前は山頭火なので、壁に書かれているのは俳人「山頭火」の一句だろうか?
ちなみに山頭火こと種田山頭火は山口県出身の俳人。
どおりで、壁にいっぱい俳句が書かれているわけだ。
wikipediaを見てみると、なかなか酒グセの悪い人だったようで・・笑
「ふううい・・だいぶ熱くなってきたな~」
まだ風呂に使って10分程度しかたっていない。・・ちょっと涼むか・・。
突如現れた巨チンの外人
その瞬間、「hello!」と後ろから声がする。
(な、なんじゃこりゃあ!)
振り返ると、ビッグボーイが所狭しとぶら下がっている!
これは・・外人さんのアレである。
「え?あっ!こんにちは!」
外「コニチハ!」
二つのビッグスマイルがこちらを向いて笑っている。
・・馬並みとはこのことでしょうか?YUTAROの息子は外人のナニを見て完全に萎縮してかくれんぼしている。
いやいやこれが平常モードか?比べるから小さく見えるのだ。
たとえ覚醒モードに突入したところで、そびえ立つビックマウンテンの足元にも及ばない。
無念なり!日本艦隊がアメリカに破れた理由が一つわかったよ。
突然の外人襲来で俺の脳は完全に混乱をきたしていた。
湯船が広いにもかかわらず、YUTAROとの距離が微妙に近い外人さん。
一瞬ゲイかと思った。さすがハグの国だわ。
このまま移動するのも負けた気がするので、ここからは我慢比べだ。
長風呂勝負!チ○コは完敗だったが、根性では負けねえ!
さてここからは長風呂勝負である。(チ○コ見られるのが恥ずかしいだけ)
どっちが先に上がるか!勝負だ!
もはや山頭火の風情やわびさびはどこへやら・・・。
外「oh!オンセンサイコー」
「yes!オフロキモチーネ!」
結局この後、30分間戦いは続いた。
微動だにせず、外人とコミュニケーションをはかってましたわ!ってか意外と長風呂なのね・・・。
湯船から上がると、さっそく立ちくらみが襲う。
汗だくのフラフラになりながら、ビッグボーイとの戦いの場を後にした。
大浴場を出ると、すでに下関子が待っていた。
YUTAROを見つけると彼女が笑顔で迎えてくれる。満足そうだ。
「お、おまたせ・・・お風呂どうだった?」
下「広くて気持ちよかったよ!最高!YUさんは?男風呂はまた違うのかなー?」
「どうだろうね~俺は外人・・チ〇コ・・いやなんでもない・・。」
下「ちょっと温めでいいお湯でしたね~また行きましょう!お腹すいた!」
これからご飯だが、今はとにかく水が飲みたい。
・・ていうかビールが飲みたい。
ホテルの中に食事処があるのでそこで夕飯を食べることにした。
「瓦そば二つ!後ビール・・いやウーロン茶を!」
ここまで我慢してビールも飲めないとは神様のSっぷりもなかなかだ。
川棚温泉お多福で瓦そばを食す!
風呂に入れば腹も減る。時間は午後8時半をまわっているのだから当然か・・・。
食事は川棚グランドホテル内にある「お多福」というお店。山口の川棚温泉名物、瓦そばが食べられるのだ。
でも瓦そばってどんなんだろう?
「ねえねえ瓦そばってどんな食べ物?そばが入ってるのはわかるけど、瓦ってのがいまいち想像できない。」
下「まあ・・それは見てのお楽しみ?」
ちなみに旅している途中で気がついたんだけど、大分の湯布院とか小倉とか長崎、たしか島根とかも「瓦そば」ののぼりを見かける気がする。
「~名物瓦そば」ってな感じで。
門司の焼きカレーと比べるとなかなかの勢力図ですな。一度食べて見たかったものの通り過ぎるだけで今までご縁がなかった。
調べてみたら発祥は川棚温泉のホテルの人が発明者らしい。
やはり瓦そばのパイオニアは山口県の下関のようだ。。
お店のメニューをみると「これを食え」と言わんばかりにデカデカと乗っているので、
「おお!これが噂の!」
下「ね!美味しそうでしょ!」
ということで瓦そばとウーロン茶を注文。
とにかく脱水状態で喉が渇いている。最初に出てきた水は飲み干したが足りん!
「ほんとはビールが飲みたかったけど、とりあえずウーロン茶で乾杯しよ!」
下「はい!後で下関に戻ってお酒飲みましょ✩いきつけのお店があるんで、一杯おごっちゃいます!」
「マジで?いいの?」
下「運転頑張ってくれたし、今日は遅くなっても大丈夫なんです!明日休みだし!」
なんだと・・・?
女の子が「遅くなってもいい」なんて・・こりゃなんかあるぞ!
「明日休みだから弾丸ツアーで温泉だったのね・・・でもそれじゃあ明日のがよかったんじゃない?」
下「今日で予定きめちゃったし、明日は夕方から予定があって・・・」
「まさか、明日また他の人とデート?」
下「ちがいますよ~w明日は女子会なんです!」
ウーロン茶が到着。一気に最後まで飲み干す。もう一杯。
下「YUさんは彼女とかいないんですか~?」
「メールでも話したけどいないよ~」
本当はいます・・・。大阪子の顔がちらつく。ダメね・・・男って。
下「どんな子がタイプなんですか~?」
「えっと、のほほんとして優しい子かな?下関子は?」
下「へえ~!私は優しくて頼れる人です。」
すいません、頼れませんわ僕!
そんな感じで下関子との会話を楽しみながら、「瓦そば」がようやく到着。
茶そばが焼いてある。でも焼きそばとは違う食べ物
初めて見る瓦そば。どんなのかと言うと、
温められた大きな瓦の上にそば。そばの上にお肉と海苔、錦糸卵、レモン、紅葉おろしが乗っている。
いつも食っているザルそばとは全く違う見た目。イメージを覆す食べ物です。
レモンと紅葉おろしのコラボレーションがなんだかお○○いみたい。
「うわ~いい匂い!斬新だね~いただきます!」
下「でしょ!山口名物を堪能あれ!」
うん!うまい!瓦で熱されたそばが若干パリパリとしていて、新しい食感。
おつゆもあったかいので体も冷えなくていいね~。味付けは若干甘め。
下「どうです?美味しいでしょ!普通のお蕎麦と全然違うでしょ?」
「うん!ちょっと香ばしいのが食欲をそそっちゃうよ!」
二人で食のレポートごっこをして遊んだりしてみる。
紅葉おろしで味を変えながらあっという間に完食。
・・食い足りん!
この後は下関に戻って二人でお酒を飲み交わすのだ。
だから腹八分目くらいがちょうどいい。
川棚グランドホテルを出る。川棚温泉は山の中にあるせいか底から冷えてくる。二人は急いで車に乗り込む。
「おお・・・寒いね・・・湯冷めしないようにしなきゃね。」
下「はい!レッツ街へ!」
二人は車に乗り込むと、帰りは違う道で下関に向かうのだった。