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彼女と過ごす眠れない夜と最初の朝

ちょっと気まずい最初のお泊り

魚「お風呂ありがとうございました。」

彼女は小さな声でそう言って、風呂から出てきた。

「おそまつ様でございます。」

魚女はもともとあまり化粧気のないナチュラルメイクというやつだったので、すっぴんの顔はほとんど変化がなかった。

化粧を取っても可愛いままでいる子はポイント急上昇である。

「あっ・・服やっぱりちょっと大きいね・・。」

やっぱり男物のTシャツは少し大きかったようだ。短パンもオッさんが履くような水着のようになっている。

・・・・・・・・・

余計なことを言って、彼女がもっと不機嫌になるといけないのでなんだか落ち着かない。どうしたらええんや・・。

「あっ!歯磨く?ニンニクも食べたし。」

元カノ(百合子)のタメに買っておいた、予備の歯ブラシを洗面所から持ってきて彼女に渡した。

魚「・・ありがとう。」

「それじゃあ、俺も風呂入ってくんね。」

洗面所に行くと、服を脱ぎ捨て、洗濯機に放り込んだ。

シャワーーー!

俺は頭に熱湯を浴びながら、頭を冷やした。

途中までいい感じだったんだけど、なんか傷つけちゃったかなー。

・・それか俺の口めっちゃ臭いとか?

凄くいい子だし、このまま終わるのも悲しい。風呂から出たらちゃんと謝っとこう。

気持ちを落ち着かせるタメに、そして自らの心の汚れを取るためにシャワーを浴びながら念入りに歯を磨いた。

俺も寝巻きに着替えると彼女のいる部屋へと戻る。

「あっ布団敷くね。」

気づかいのできる男。俺。

「あの・・その・・さっきはごめんね。ついつい頭に血が上ったっていうか。むしろ下の方へ流れたっていうか・・。オスが目覚めたっていうか。」

彼女も気まずそうに遠くをみている。その目の中には俺が入っていないようだった。そして小さく声を出した。

魚「わたしも軽く思われるような行動しちゃってごめんなさい。まだ知り合ったばっかりだったのに泊まるべきじゃなかったのかも?」

「いやいや嬉しかったよ。・・泊まってくれて。」

魚「わたし流されやすいっていうか・・前の彼氏も流されて付き合って。結局5人と浮気とかされてたし・・引っ張ってくれる人はすごく好きなんだけど、いきなりエッチしたら前の彼氏と同じ結果になりそうで・・。」

水風船が割れた時のように、彼女から言葉があふれだす。

(あれ?耳が痛い。凄く痛いよおー!とりあえず落ち着け。)

「・・だよね。俺も軽く見られるような行動とって・・どうもすいません。」

魚「いいんです。こっちこそ。」

「さーて、寝ますか!布団一枚しかないんですが一緒でも大丈夫?もちろん手は出さないからw」

魚「・・はい。」

部屋の灯りが消える。

少しして彼女がなにかが俺の腕に触れる。

彼女の柔らかい感触と耳元で反復する静かな呼吸音。

およ・・?ね、ねてんの?

そしてホントにうちのシャンプー?と思えるような。甘い匂い。

(んごー!どうしたらええんや!)

彼女を起こさないように身動きが取れないまま夜が明けていく。

「・・ホントに送ってかなくて大丈夫?」

魚「うん。良く考えたら家までそんなに遠くないし。昨日は楽かった!またご飯作るね。」

そう言って彼女は早朝に帰って行った。自転車に乗って・・。

寝不足と昨日の出来事があいまって俺の頭はぼんやりとしている。

それでも、ただ彼女のことばかりを考えている。

 

続く➡誰と付き合ったらいいの?優柔不断ゲス男の悩み