記事内に広告を含むことがあります
DNA検査キット

泣き叫ぶ娘にDNA親子鑑定を決行!

DNA検査キット

DNA検査キットを取り出し、赤ん坊に決行する

赤ん坊が可愛すぎて忘れていた。俺は、札幌に『親子水入らず』なんてことをしに来たわけではない。

娘が本当に自分の子であるのか?」という疑問を払拭するために来たのだ。

ここで情に流されてしまえば、俺は前に進めないし、大阪子や娘との関係もハッキリと答えを出せないままだ。

「今日の目的・・わかってるよね?」

大「・・・うん。」

嫁になるはずだった大阪子の顔が歪む。その顔には不安の表情が滲み出していた。

立ち上がると、キャリーバッグからDNA検査キットを取り出した。

「あっこれ・・買ってきたんだ・・子供の服。一応お祝い。」

名古屋の西松屋で購入したベビー服を大阪子に手渡す。

大「・・あ・・うん。・・ありがと。」

完全に「タイミング」を間違えている。言ってみれば、別れ話中に指輪を送るようなものだ。

DNA検査キッドの箱を開け、何度も開いて記憶しているはずの説明書をもう一度読む。

「ふむふむ・・ではやるか。」

DNA採取、アクションスタート!

まずは俺の口の中に大きな綿棒を入れて、ほっぺたの粘膜を「これでもか」というくらいにこねくり回して、かきとった。

それを試験管のようなプラスチックの容器に入れる。この中に「ハゲ界のサラブレッド」と言われる俺のDNAが入っていることになる。

そして次は娘(仮)の番だ。スヤスヤと寝息をたてている可愛い彼女。

まだ生後一ヶ月の産まれたての赤ん坊にこの大きな綿棒を突っ込まなければならない。俺はゴクリと唾を飲んだ。

「せめて、寝てる間に・・」

綿棒を親指と人差し指で繊細につかむ。そして彼女を起こさないように恐る恐る近づいた。額には大粒の汗が滲んでいた。

そして綿棒を彼女の口の中へ・・・挿入!スス・・。

 

赤「ふ、ふ・・ふぎゃあああああ!」

 

違和感を感じたのか、突然大声で泣き叫ぶ「我が子(仮)」。部屋中に響き渡るそれは・・まさに「断末魔の叫び」だ。

「おおう・・ごめんね・・ごめんね・・。」

不道徳な行いをしているようで、罪悪感で押しつぶされながらも、ゆっくりと彼女のほっぺたを綿棒で擦る。

まさか生後1ヶ月にして、自分のDNAが採取されているとは思いもしないだろう。

「・・お、終わった。」

俺のとは違う試験管の中に彼女の綿棒を入れる。後は封をして専門機関に送るだけだ。

とにかくこんな事だけで「本当の親子かどうか」がわかってしまう。技術の進歩とは恐ろしいものだ。

しばらく泣いていた彼女も「違和感」が無くなったのかスグに眠りについた。・・本当によく頑張った。

そして、もうこんな事をしなくてもいいように、結婚するなら「貞操観念」の強い女性にするべきだと思った。

シーン。

二人の間にはしばらく気まずい空気が漂っていた。何を言ったらいいのかわからない。ニュースのワイドショー番組だけが何やら大げさに喋っている。

それに耐えられなくのか、最初に行動に出たのは大阪子だった。

 

大「じゃ・・私たち・・そろそろ帰るね。・・検査の結果がわかったらすぐ連絡ください。お昼ご飯ご馳走様でした。あと・・YUちゃん本当にごめんなさい。」

 

彼女は本当に「反省している」様子で、いままでの奇行が嘘のように、「まともな人間」に見えてた。母親になったせいだろうか?

大「んしょ!」彼女は娘と大きなバッグを抱き上げた。

「なんや?ワレ?またなんかすんのか?」と娘は眉間に皺を寄せているが、今度は泣かない。そして「存在しているかしていないか」のような遠くを見る目で俺を見つめていた。

大阪子は「ありがとう。」と帰っていった。しっかりとタクシー代を受け取って。

俺は早速、近くの郵便ポストに「DNA検査キット」を入れ、部屋に戻った。

部屋にはまだ赤ん坊の「ミルクの匂い」が残っていた。

 

「結果が来るのはだいたい2週間後か・・。」

 

赤ん坊が寝ていたベッドに横たわり、呆然と天井を見つめるとまぶたが重くなってくる。そして深い眠りにつくのだった。

 鑑定結果を待つ日々

9日後、YUTAROは名古屋にいた。

そろそろDNA親子鑑定の結果が出る頃だ。鑑定結果は書類とメールで送られてくる。まずはメールで通知が来るはずだ。書類はYUTAROと大阪子の住んでいる札幌のレ○パレスに届く。

俺は、札幌から帰ってからというもの、PCに張り付き毎日メールを確認した。

そして今日も・・。

「!!!!」

見慣れないメールアドレスからメールがきている。

「鑑定結果のご報告」と題名が入っていた。

恐る恐る、メールの添付ファイルを開く。

「生物学上親子である可能性・・ホニャララ%。・・だと?」

 

続く➡DNA親子鑑定結果を発表。俺が「生物学上親子である可能性」