体の関係がある女の子に恋愛事情を聞くのは野暮ってもんよ
筑「えっと・・私は・・。」
聞かなきゃ良かったかな・・?ここで彼氏がいても嫁入り前の魅力的な女子。
それはそれで仕方あるまい。
筑「・・秘密( ´艸`)」
「なんじゃそりゃ!こっちは洗いざらい話したのに・・。」
完全に「何にもない」と言わないところが逆に怪しい。女ってズルい。
筑「・・うーん。特に大したことはないですよ~。それに私の恋愛事情なんて聞いてYUさんは嬉しいんですか?悪趣味!」
「・・悪趣味?」
筑「だってYUさんの彼女の話聞いても、私嬉しくないもん。」
「???」
これ以上問い詰めて、空気が悪くなるのもアレなのでこの話は終わりにした。
「じゃあさ・・お互いにフリー(仮)ということで今度どっか旅行にでも行こうよ!」
しばらく福岡から出ていない。俺は遠くに行きたかった・・。
筑「え?YUさん連れてってくれるんですか?」
「まあ・・ほぼ割り勘だけどね。」
筑「え~!ケチですねw」
「・・・ぐう・・。」
筑「あっ!ぐうの音出ちゃってますね!ウフフw割り勘でも全然いいですよ~お昼ご飯はご馳走してくださいね。」
「うん!それくらいは・・。んでどこ行きたい?」
それから彼女は謎の言葉を発した。
筑「イビザ島とか、プーケットとか・・クアラルンプールもいいなあ!」
んん?い、イビ・・?クエアラシル・・?
筑「知ってます?イビザ島」
「ああ・・バアちゃんが住んでた。」
筑「(笑)おばあさんインターナショナルなんですね!だってそこスペインですよ?」
「ああ・・スペインのほうか・・名古屋のイビザ島かと思った。って海外やん!」
筑「イビザの夏はクラブ(踊るほう)とかがメインで世界中からお祭り好きな人が集まるんです!泡パーティーってあって舞台のお姉さんが泡をみんなにホースで撒くんですよ。」
筑「たくさんの人がいて酸欠になりながら泡にまみれて踊るんです!日本のクラブもたまに真似してますね。ああ・・すごい楽しそう!」
これが噂の泡パーティだ。チャラい。
な、なに言ってだコイツ・・。クラブ?泡パーリィ?酸欠?
「あ・・あの日本じゃダメっすかね?僕・・その・・第一言語が日本語なんで。」
筑「なんとかなりますよ~・・英語は少しはわかります?」
「全く。話せるの日本語のみだし・・・パスポート持ってない。」
筑「あっ・・やっぱりダメかも?」
「ど、どっちやねん!」
筑「じゃあ沖縄は?」
「キミは南国好きだね!沖縄ならなんとか・・。」
沖縄なら出会い旅で何度か行ったことがある。どちらかというと得意分野だ。
筑「私、ボーナス出たんで一緒に行きましょうよ!いつがいいかな・・。」
完全にヒートアップしている筑紫女。加速度的に話は進み、既にバッグから手帳を取り出している。
筑「そうだなあ・・沖縄はもう梅雨明けしてるから・・8月の第一週はどうですか?」
「え?8月の第一週ってもうスグだよ?」
筑「だってお盆過ぎるとクラゲ出ますよ?」
それって日本本島の話じゃないの?
筑「8月なら5日に有給とって6、7日で行けますよ!」
な、なんだこの強引さは・・。福岡に住んだのもこの「強引さ」に引き込まれてしまったのが大きい。
しかし、彼女の強引さには明るさや可愛さが多分に混じっていて、とても楽しいのだ。こっちまでその気になってしまう。
「そうだな・・行っちゃうか・・。」
筑「わあ!やったあ!」
店に入ってわずか30分間あまりで沖縄に行くことになってしまった。
彼女は既に「じゃらん」でめぼしいホテルを探している。
とにかく今年の夏は暑そうだ。俺の中の血液がドロドロに濃くならないようにしなければ。