「尾道⇨今治」ルートでしまなみ海道をサイクリング!
YUTAROは、少し早めにホテルをチェックアウトすると、国道二号線を、さらに西へと梶を切った。
さてさて、次のアポで向かうのは、愛媛県の今治市。
「瀬戸大橋から四国入りして、香川でうどん食って愛媛へ向かうルート」も考えたが、
俺にはやり残した事があったのだ。
それは、
「美味しい尾道ラーメンを食べる」こと。
出会い旅初日に台風の中で食った尾道ラーメンが美味しくなかったからリベンジなのだ。
詳しくは⇨【2014年版】出会い系で知り合った女の子に会いに全国を周る旅スタート。
むしろ「尾道ラーメンに食べられたい」そのくらいの気概でいかねばなるまい。
しかも、広島の尾道からなら「しまなみ海道」を通って愛媛の今治へと渡ることができる。実に都合が良い。
正午前、YUTAROは、尾道市へと入る。
しかし、全く腹が減らない。
昨夜食べた、二つの蒙古タンメン中本が、胃に甚大なダメージを残していた。
まだ時間もたっぷりあるので、腹が減るまで、尾道の町をぶらぶらする事にした。
瀬戸内海の潮風を感じながら、尾道港ポートターミナルの近くにあるローソンでタバコ&コーヒー休憩。
ローソンの店員さんの愛想がめっちゃ良い。
サイクリング好きにはたまらない・・と聞いて。
「むむ?妙にロードバイクにまたがってる人が多いな・・。」
ローソンの駐車場では、男性グループがロードバイクを入念にチェックしている。
「あの・・今日は自転車のレースでもあるんですか?」
俺は、男性グループの中で一番話しかけやすそうな男性に声をかけてみた。
男「今からチームのみんなで、しまなみ海道を自転車でサイクリングするんですよ。しまなみ海道は、自転車好きな人に人気で全国から集まってくるんですよ。」
彼は白い歯をキラキラさせて返事をくれる。
「へ、へえ・・。今治まで走るんですか?めっちゃ楽しそうですね。」
男「そうなんですよ~。そこで自転車レンタルしてるんで、お兄さんも借りて走ってみたら?気持ちいいですよ。」
オッサン無謀な決断をしてしまう
(自転車か・・。車の運転ばっかりで運動不足だし、愛媛までチャリで行ったら良い日記のネタになるな・・。)
という事で、YUTAROは、自転車を借りてみることにした。
YUTAROは自転車(クロスバイクだけど)で走ることが意外と好きなのである。
たまに、志賀島(福岡にあるチャリでいける島)まで自転車で走ったりしている。
札幌に住んでいた頃は、ハマーの折りたたみ自転車で「札幌⇨千歳」間の40キロの距離を女子に会いにいったこともあるアホだ。
俺は、「しまなみ海道ってそんなに長くなかったよね?」という不確かな記憶だけで、チャレンジをする事になったのだ。
レンタサイクルターミナルで自転車を借りる。料金はおいくら?
尾道港には「レンタサイクルターミナル」という公営の自転車レンタルスポットが存在する。
しまなみ海道にある島々や、終着点の今治まで、13箇所のレンタサイクルターミナルがあり、ちょっとした島巡りで借りたり、乗り捨ても可能とのこと。
地域一体となって「しまなみサイクリング」に力を注いでいるのかよくわかる。
YUTAROが借りたのは、キレイに手入れされたロードバイクとは違い、明らかなシティサイクル(ママチャリ)。
チェーンも錆びついていて、見た感じ少し痛んでいる印象。
レンタル料金は一日1,000円だ。保証金も1,000円かかるが、保証金は後で返ってくる。
ちなみに電動アシスト自転車だと1,500円。ヘルメットもレンタルできる。
しまなみ海道を車で渡る料金に比べれば、安く上がるような気がしている。
以下のサイトのほうがよっぽど詳しいので、気になる人はチェックしてみてね♪
しまなみ海道(今治・尾道)のレンタサイクル情報をまとめています。ターミナル・借りられる場所はいくつどこにあるの?どこで借…
スウェットとジャージに着替えると、俺は、他のツアラー達と渡船用のフェリーに乗り込んだ。
スタート地点は、「向島」だ。
波しぶきを立てて船は進んで行く。
(あっ・・尾道ラーメン食ってないや・・でもワクワクが止まらない!)
しまなみサイクリング開始。前半楽しい、後半ヤバい。
さてルートは、六つの島をチャリンコで経由して、最終目的地の今治市まで向かうルート。
6つの島のご紹介
6つの島とは、
- 向島(むかいじま)
- 因島(いんのしま)
- 生口島(いくちじま)
- 大三島(おおみしま)
- 伯方島(はかたじま)
- 大島(おおしま)
総走行距離約70キロだ。後にYUTAROは語っている。
「今治まで70キロもあるなんて知らなかったんです・・吾輩はアホ。」
出発前に調べとけよって話。
そもそも自動車専用道路の西瀬戸自動車道と並行して、直線的に今治まで走って行けると思っていた。
俺は、「西瀬戸自動車道」の事をずっと「しまなみ海道」だと思っていたふしがある。
スタート地点「向島」
船を降りるとそこは本当のスタート地点「向島(むかいじま)」だ。船の料金は忘れたが100円以下。だって一瞬で着くもん。
きっと尾道の向かいにあるから「むかいじま」なんだと思う。
ロードレーサー達が、色とりどりのロードバイクに乗りスタートしていく。
ところがスタート地点の向島はいきなり町である。イナックでババアと楽しく飲めそうな町である。
「だが、それが良い。」
俺は鼻歌混じりに、向島の味のある街並みを進んでいく。
後続の「性能の良い自転車」に抜かれつつ、見えてくるのは因島大橋の偉容だ。
※僕の撮った写真がポンコツなので、橋の写真には、素材写真を使っています。
「おお!あれを渡るのか?景色良いだろうなあ・・」
しかし自転車道は別なのだ。景気がよく見えねえ!しかも寒い。
吹き付ける海風が、オッサンの体温をごっそりと奪っていく。
第二の島「因島」で帰るか迷う
「寒いならタオルをマフラーがわりにすればいいじゃない?」
YUTAROは、第二の島「因島(いんのしま)」へ入る。
一旦降車して、リュックの中を漁る。
「うふふ♪タオルなんて入って無かった・・着替えも全部忘れております。」
リックを背負っている意味が無い。
今日のデートはスウェットとジャージで登場だ♪
「帰る・・か?」
今ならまだ引き返すこともできる。紳士のたしなみとして、汗臭い恰好でデートをするわけにはいかない。
だけど・・だけど、こういう経験は貴重だ。
いつか孫ができた時に「じいちゃんは、今治までチャリでいったんやで!」と自慢することができる。
俺は前を向き、ペダルを力強く踏み込むと、再び前進を始めた。
ロードレーサー達の後を必死で追いかけて、アップダウンを繰り返す。膝がパコパコと妙な異音を奏でる。
(うおおお!なんか知らんけどでっかい橋が見えてきた!これだよこれ!)
ここは生口橋だ。橋を渡りながら、見事な景色を堪能する。
途中でロードレーサーに抜かれ。奇声を発しながら爆走を続ける子供にも抜かれる。
「マー君!待ちなさい!待ちなさい!マー君!」
そしてマー君のパパにも抜かれたが、そんな事は素晴らしい景観の中では些細なことだ。
第三の島、「生口島」で旨い尾道ラーメンを食す。
第三の島は、生口島(いくちじま)。潮風に吹かれながら、海沿いの道を進んでいく。
※しまなみ海道のどっかの島で撮った写真。
「そろそろ腹が減ったな・・」
ということで瀬戸田にあるラーメン屋に入る。
「ズゾゾーズゾゾー!」
(うめえ!涙が出るほどうめえ!)
生口島は尾道市になるので、「尾道ラーメン」を食ったことになる。
自分でも気づかないまま、「旨い尾道ラーメンを食う」という当初の目標を達成してしまった。
カップルから知らされる現実。
食事を終えると、ラーメン屋の外で、タバコを一服。
するとサイクルウェア(ピタピタのヤツ)に身を包んだカップルに声を掛けられる。
なんだか・・みんなフレンドリーだ。
男「今日はどこまで走るんですか?」
「・・今治までです(ボソッ)」
男「レンタルバイクでですか?余裕ですねえ!この時間だと夜になっちゃいますよ?」
女「フフフッ!」
「・・お兄さん達はどこまで行くんですか?」
男「僕らは途中の島で一泊していきますよ。」
女「フフフッ♡」
「ほおお・・それはいいですねえ!」
(むむ・・到着が・・夜だと?)
俺はカップル達を笑顔で見送ると、スマホでGoogleマップを開いてみた。
(道間違えとるやないか・・遠回りしとるやないか・・。)
到着が夜となると、もういろいろヤバい。
急いで、自転車にまたがりペダルを踏みこんだ。
(なんだ?足がクソ重い・・。)
自転車は一度降りると、足の疲労がドッと出てくる。
なんとかかんとか、多々羅大橋へたどり着く。これでやっと「前半戦」が終わる。
最高の景色も焦りによって楽しめない。
第四の大三島から伯方島まで!
多々羅大橋を渡り、大三島(おおみしま)へ。
ここからは愛媛県だ。グッバイ広島。
「多々羅しまなみ公園」という道の駅に、多くのチャリ達が吸い込まれていく。きっと「何か」があるに違いない。
でも・・観光してたら間に合わない。YUTAROは、誘惑を振り切ってそのまま疾走を続ける。
次は伯方島(はかたじま)だ。「はーかーたーの!しおっ!」のCMで有名だよね。
よく「伯方の塩」を福岡の「博多」で作っていると勘違いしている人もいるが、実はこの島で作られている。
ちなみに今治のメル友が、もう「伯方の塩は伯方島じゃ作ってない」とややこしい事を言っていたが、本当かどうか真相はわからない。
この伯方島辺りから、疲労と寒さでYUTAROはあまり記憶が無い。
「負けないで、もう少し、最後まで、走り抜けて」
フライング気味に出てきた名曲が、頭の中で何度も再生されている。
俺は、ただひたすらペダルをこぎ続けた。
(凄く・・孤独だ。)
最後のボス「大島」が地獄なんだわ
最後のボスは強くなければいけない。
だからこそ、エンディングは思い出深いものになるのだ。
最高にハードモードだったのが、最後のボス「大島」だ。
体力的にも限界が近い。
既にYUTAROの太ももはピクピクと痙攣を始め、長い間サドルの振動を受け続けた尾骨からは、鈍い痛みが続いている。
夕日に映える潮流も、村上水軍博物館も無視して前へ前へ・・。
エネルギー不足で脳はぼーっとしている。
ここからは表現がいささか雑味を帯びるが許してほしい。
大島をしばらく走ると、見えてきたのは、
「なんかスッゴイ坂。」
とうとう俺は自転車から降りて歩く。
まるで自分の足じゃないかのように、平衡感覚を失っている。
んでね。終わったと思ったらね、
「なんかスッゴイ坂二世」
歩く、歩く。登り切ればきっと下りがある。
もう・・耳元でZARDは歌っていない。
んでね。終わったと思ったらね、
「なんかスッゴイ長い橋。(来島海峡大橋:全長4キロ)」
※プロの写真
しかもこの橋、途中までずっと上ってたりすんの。
※ポンコツの写真
長い長い来島海峡大橋。
吹き付ける強風は凍えるほど冷たかった。
高所恐怖症の人にもオススメできない。(なんか飛び降りたくなる)
「ようやく・・ようやく・・。今治だ・・。」
俺はモスキート音のような声を絞り出し、ゴールまでの道を下っていく。
しかし、これで終わりではなかった。
レンタル自転車の返却場所は、ほとんどが17時で終わっていた。
結局、今治市役所まで返しに行くこととなる。
(やった・・走りきったぞ!)
約70キロもの距離を、最後まで走り抜けた達成感は忘れない。
忘れていたいのは、これからデートあるという現実。そして明日どうやって尾道まで帰るかだ。