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飛行機

妊娠中の旅行は結構大変!体験してわかった事を旦那目線で言わせて

飛行機

妊娠6ヶ月目の安定期。俺と彼女は結婚に向け動き出す。

4月も終わりに近づき、ようやく札幌にサクラの便りが届き始める。

俺が大阪子の妊娠を知って1か月が過ぎた。既に妊娠は6ヶ月目に入っている。

彼女のお腹もだいぶ膨らみが目立ち始め、体つきもより一層ふっくらと肉付きが良くなってきた。

最近は妊婦用の腹帯を装着している。これをすると腰が楽らしい。

俺が彼女のお腹を触ると赤ん坊が「ポコポコ」と動いている感覚を感じる。

赤ん坊からの小さなメッセージは、俺に「これから父親になるのだ」という実感を運んでくれる。

 

女の連絡先全消し事件」からは、大阪子ともそれなりにうまくやっている。

だが、すぐカッとなる彼女の事だ。いつ牙を剥きだしして襲い掛かってくるか・・。

特に妊娠期間中は感情の起伏が激しくなりやすい。油断はできない。

 

この一カ月間はトラブル続きだったが、ようやく結婚に向けて本格的に行動を開始することになった。

とにかく遅れを取り戻さなければならない、やることが盛りだくさんで、ニャンコの手も借りたいくらいである。

YUTARO写真

YUTARO(俺)このブログを書いている人。名古屋出身、札幌在住のハゲ。

大阪子写真

大阪子YUTAROの未来の嫁。俺の子を妊娠したため結婚することになった。

妊婦と行く新婚旅行(仮)

「よし!準備できた!空港へ向かうぞ!」

さて、これから俺と大阪子は、飛行機に乗って名古屋に向かう。今回やることは主に4つ。

  1. 新婚旅行(仮)
  2. 俺と彼女の両親への挨拶。
  3. 産婦人科を探しにいく。
  4. 二人の新居探し。

普通の結婚の流れと違って、順番も無茶苦茶だし抜けているところも多い。だけど、細かい事を気にしている時間も余裕もない。

ちなみに俺と大阪子はまだ籍を入れていない。だから新婚旅行と言うと語弊があるかもしれないが、どちらにせよ来月には俺の名字に代わる。

タッチの差だもん、気にするな。

旅行先と日程

ちなみに旅行先と日程はこんな感じ。

  • 一日目「札幌➡名古屋」
  • 二日目「名古屋➡伊豆」
  • 三日目「伊豆➡山梨(川口湖)」
  • 四日目「山梨➡名古屋」

総移動距離にして2,000キロぐらいだろうか。半分以上が北海道から名古屋への飛行機移動だけど。

二日目の名古屋から伊豆への移動もそこそこキツイかも。

旅行前に準備した事。

まずは旅行前に準備したこと。

  1. スケジュール日程に余裕を持たせた。
  2. 観光する場所をあらかじめ絞っておいた。
  3. 車の移動を中心にするためにレンタカーを予約した。
  4. 歩く距離を少なくするために、一日で周る観光地を極力少なくした。
  5. 休憩場所の多そうな場所を選んだ。
  6. 何かあった時のために、荷物にいろいろ詰め込んだ。

今回の旅行は長距離移動も含むため、とにかく彼女の体に負担がかからないことを、念頭に置いてスケジュールを準備した。

また、何かあった時のために、「衣類」や「薬」、「妊娠中の用品(ノンカフェインコーヒーやマッサージジェル)」なども持っていった。おかげで荷物は大量になった。

【旅行一日目】札幌から名古屋へ。そして嫁は泣いた。

飛行機

俺たちは札幌駅から、快速エアポートに乗って、新千歳空港へ。

列車の車窓からは札幌の街並みが見える。

(この景色を見られるのも、あと少しか・・。なんだかちょっと寂しいなぁ。)

俺は複雑な気持ちになった。本音を言えば、結婚なんてしたくない。

新千歳空港に到着。観光で訪れた旅行客で賑わっている。

 

「お土産買ってく?」

大「せやな。親とか友達に買ってこかな。」

新千歳空港ほど、お土産コーナーが賑わっている空港はない(たぶん)。

これぞ『北海道』のネームバリューである。しかもお土産のクオリティが高いのは嬉しい。

 

大「飛行機乗るの久しぶりやなあ。大阪から、札幌に来た時以来かも・・?」

搭乗口の待合所で大阪子が呟いた。

「そうだっけ?俺はちょくちょく実家に帰ってたけど。」

大「これからしばらくは、たくさん飛行機に乗ることになるね。」

「そう考えると飛行機代がバカにならんな。」

妊婦と飛行機に乗ると優先搭乗できることを知った

搭乗開始のアナウンスが流れる。俺達はチェックインを済ませ、他の乗客達より一足先に飛行機へと向かう。

だけど俺達はVIPじゃない。妊婦がいると「優先搭乗」できるのだ。

飛行機までの廊下を、小さな男の子がピンボールのように跳ね返りながら走りまわっている。

そのピンボールは赤ん坊を抱えた母親に「危ないでしょ!おとなしくしてなさい!」と一喝されると、ビクっとして急に動きを止めた。

 

(これは・・ヤバい・・来るぞ!)

ピンボールは・・泣いた。その男の子を父親が無言で拾いあげ、米俵のように肩に抱えて搬送する。

 

(ああ・・これが俺たちの未来の姿なのか。)

機内に入り、他の乗客達より一歩先に席へと座る。

頭上にある荷物入れは、乗客達が増えるごとに、お土産袋でギュウギュウになっていく。

実は飛行機怖いねん。

大「私さ、実は飛行機怖いねん。」

「それ今、言う?もう離陸すっぞ。」

大「だから飛ぶ時と着陸する時は、YUちゃんの手握っていい?」

大阪子がギュッと手を握ってくる。俺もそっと握り返した。

(美人だし、普段は楽しい女なのだ。・・悪いクセさえなければ。)

だからあんなに好きだったのかもしれない。

飛行機は俺たちをのせて、北海道の澄んだ青空を飛び立っていく ——。

 

大「YUちゃん・・あと何時間でつく?」

彼女は不安そうにお腹を撫でながら、俺に聞いた。もう、これで三回目だ。

「あと一時間くらいかな。」

大「まだそんなに乗らなあかんの?ちょっと揺れてるけど墜落しない?」

「大丈夫。墜落するなら、みんなもっと取り乱してるわ。飛行機ってさ、自動車よりも事故る確率はダントツで少ないらしいよ。」

大「そうなん?」

「まぁ、墜落したらほぼ100%死ぬけどな!ガハハ!」

大「ちょ、やめぇや。ク〇みたいなオチ言うの。」

「オチだけに堕ちるってか!ガハハ!」

大「しばくぞ・・。」

「まぁ今日は天候もいいし大丈夫!ほら、音楽でも聞いてなよ。(ついでに寝てくれ)」

俺は上着のポケットから、塗装が剥がれてボロボロになったipodを取り出して、大阪子に音楽を聴かせる。

名古屋に着いたら忙しくなる。俺も少しだけでも眠ろう。

 

「・・ちゃん。・・YUちゃん起きて!」

肩を激しく揺さぶられ、夢の世界から強引に現実へ戻される。

妊婦様はオシッコが近いのです。

「ほげ・・?」

大「もうすぐ着くから、すべての電子機器を切ってくださいって!ipodも切るの?」

「うん・・iPodも切るよ。」

大「これで電源切れてる?」

「うん・・。OK・・。」

大「あとな。実はトイレに行きたいんですけど・・。」

(いちいち、やかましいなあ。)

妊婦になるとオシッコが近くなるようで、彼女のトイレ回数は頻尿気味の俺よりも多い。

二人でデートでもしようものなら、トイレ休憩ばかりだ。

 

「まだシートベルト着用のランプがついてないから、急いでトイレ行っといで。」

大「あいよ!」

彼女はトイレに向かって早足で歩いていく。相当ガマンしていたのだろう。旅行中はトイレ休憩を増やさねば。

セントレア到着。

中部国際空港セントレア

「ほら、下に見えるのが中部国際空港や。」

俺は眼下に見える、海に囲まれたセントレアを指さして言った。

大「思ったよりも平ぺったいんやね。ザ・埋め立て地って感じ。」

「まあね。実際、埋め立て地だし。」

大「じゃあ、ここはもう名古屋県ってこと?」

「・・お前、それ本気で言ってる?名古屋県じゃなくて愛知県だぞ。」

大「あは・・あはは!ボケや!ボケに決まってるやろ。しばくぞ。」

(・・嘘つけ。)

そんなこんなで、飛行機は中部国際空港に到着。新千歳空港から約二時間のフライトであった。

まるは食堂でエビフリャー。

まるは食堂

飛行機の旅は思ったよりも疲れる。よくしゃべる関西人が横にいればなおさらだ。

俺たちは休憩がてら、セントレアで昼食を取ることになった。

中部国際空港には、

  • まるは食堂
  • ココイチ(カレー)
  • 矢場とん(みそかつ)
  • 味仙(台湾ラーメン)
  • やまちゃん(手羽先)
  • 若鯱屋(カレーうどん)

などが出店しており、空港内だけで名古屋飯の有名どころが味わえてしまう。

 

大「どこでご飯食べよっか?お店たくさんあるから迷うわ~♡」

セントレアのお土産ゾーンや、飲食店の充実っぷりに驚かされる。なんと、空港内に温泉まであるではないか。

「おっ、まるは食堂があるじゃん!ここにしようぜ!」

大「・・有名なの?美味しいん?」

「うん。魚とか美味いよ。」

大「メニューがたくさんあって迷いますな!あっ私これにするわ!」

「ん?どれどれ?」

得意げな表情で大阪子が呟いた。

大「この大きなエビフリャーが入ってるやつ!」

「・・え?」

大「名古屋の人ってエビフライのこと、エビフリャーって言うんやろ?ウケる。」

「・・い、言わんし。」

「ねえ、地元民の発音で聞かせてーや?」

そう言うと、彼女はイタズラな笑顔を俺に向ける。

ちなみに名古屋人に対して「エビフリャーって言うんでしょ?」と、「ニャーニャーしゃべるんでしょ?」はタブーとされている行為である。

 

「え、エビフリャー・・(一応言う)」

大「おお!やっぱり原住民の発音は違うね。」

飯を食ったらミュースカイに乗って名古屋駅へと向かう。

 

大「とうとうYUちゃんの地元に来ちゃったね・・。」

車窓を眺めながら彼女はつぶやいた。

「まあ、実家はもっと都心から離れてるけどね。」

名古屋市には来たけれど、俺の実家の両親に会わせるのはもう少し先だ。

大阪子が「両親に会う」ことにかなり緊張しているからだ。

とりあえず彼女の緊張をほぐすために、まずは3日間の旅行をすることになっている。

名古屋にはオススメ観光地があまりない。だからミッドランドスクエアへ。

俺たちはセントレアから名古屋の玄関口「名古屋駅(通称メイエキ)」へやって来た。

せっかくなので、いろいろ観光したかったが、俺には名古屋のオススメ観光地が・・思い付かない。これは名古屋人の悩みの一つでもある。

だから2008年にできた、「ミッドランドスクエア」を見て回ることにした。

ミッドランドスクエア

大「何ここ!めっちゃク〇オシャレやん!」

「女子がク〇とか言うなよ・・。お腹でまさしが聞いてるよ?」

大「まさし?もしかしてお腹の子の名前?」

「・・ダメ?」

大「チッ・・田代かよ。そもそも男の子か女の子かもわからんのに。」

テナントで入っている「ルイ・ヴィトン」で買えないバックを見たあとは、エレベーターで46階にある展望台「スカイプロムナード」へ。

midtenboudai

大「うわあ・・いい景色~。名古屋って札幌よりも都会やん!」

「大いなる田舎」と呼ばれる、ここ名古屋にも、最近はビルの高層化の波が押し寄せてきていた。

 

俺達は簡単すぎる名古屋観光を終え、名駅にあるホテルにチェックインする。

(明日は遠出をする。無理をさせて母体に負担がかかってもいけない。)

俺は脳内で必死に言い訳をしていた。

妊婦様は急に泣いたりするぜ。

夕飯はファミレスで食うことになった。新婚旅行としてはあまりにも貧相なディナーだ。

大「ねぇ・・YUちゃん。」

大阪子はチキンステーキをフォークで転がしながら、浮かない顔をしている。

「お、食ってないけどどうした?ご飯のクレームは受け付けないよ?」

大「私・・ちゃんとご両親に挨拶できるかな?」

「まさか・・緊張してる?おまえが?」

大「うん。YUちゃんのお母さんに気に入ってもらえるか・・心配やねん。」

「ほう・・らしくないね。」

大「私って男性には好かれるけど、女性には嫌われやすいって言うか・・。だから女友達もほとんどおらんし。」

「いや・・君はサバサバした性格しててし、本気出せば気遣いもできるから、女に嫌われるようなタイプじゃないと思うよ。」

大「そうかなぁ・・?」

「これまで自分から遠ざけてただけじゃない?」

大「うーん。それもあるかもしれへんな・・。あかん・・急に涙出てきた。」

大阪子が突然泣き出した。最近、彼女は簡単に涙を流す。

妊娠中は感情の起伏が激しくなる事を俺は知っている。一緒になってあたふたすると収拾がつかなくなってしまう。

だから驚いたり、焦ったり、たじろいだりしない。

 

「あんまり思い詰めるなよ。うちの親って適当だから大丈夫だって。なんかあったら俺がフォローするからさ。」

大「・・ありがと。」

「とにかく明日からガッツリ旅行を楽しもうぜ。わざわざ北海道から名古屋まで来たんだから。・・な?」

大「・・うん。」

大阪子はとても厳しい家庭で育ったらしい。そんな環境から水商売の世界に入ったという事は、いろんな事情があったのだろう。

(彼女の父親に殴られて、前歯を二本くらい失うかもな・・。)

緊張しているのは彼女だけじゃない。

 

こうして旅行一日目は終わりを告げた。簡単に言うと、札幌から名古屋に来ただけである。

だけど、妊婦との旅行は余裕を持って動かなければならない。

旅行二日目。伊豆に行って二人で露天風呂。

二日目は伊豆までドライブ旅行である。

「よっしゃ!出発するぜ!」

大「うん!安全運転でお願いします。」

車は静岡県を東に向けて走っている。レンタカーで借りたフィットは、図体ばかりデカい俺の愛車よりも良く走る。

休憩を頻繁に挟んでいるおかげか、旅は思ったよりも順調だ。

 

絶壁の玉ヒュンスポット「城ヶ崎海岸」

城ヶ崎海岸

午後2時過ぎ、伊豆半島へ入った。まずは城ヶ崎海岸へ向かう。

断崖絶壁にかかるつり橋(門脇吊橋)が有名である。

 

「ひょえぇ!怖えぇ~!」

つり橋の下は荒れ狂う海。そして吹き付ける強い風。落ちたら一巻の終わり。海の藻屑である。

大「ちょ、早く戻ろうや!」

「戻るってどこにだよ?」

大「な、名古屋?」

「おい、旅行はまだ始まったばかりだぞ!」

城ヶ崎海岸は絶景だったが、玉ヒュンスポットに弱い俺達にはキツかった。

フェミニストな陶芸体験

城ヶ崎海岸は伊豆でも有数な観光名所である。

たくさんの観光客が訪れるので、周辺のお土産さんも充実している。

恐怖体験を終えた俺達は、まったりぶらぶらお土産屋を見て回っている。

 

「お、ここ陶芸体験ができるってよ。」

大「やりたい!やりたい!」

この周辺には、陶芸体験ができるお店や窯元も多い。

 

「すいません。今から陶芸体験ってできますか?」

陶芸の先生「もちろん、良いですよ。お二人で作ります?」

「はい。よろしくお願いします。」

 

お値段は少々高めだが、これもプチ新婚旅行の記念になる。しかも、焼きあがったら発送してくれるらしい。

「何作る?ベタとところでコーヒーカップ?」

陶芸の先生「初体験でコーヒーカップは難しいかもしれませんよ?」

大「それなら、お茶碗作ろうや。」

つーことで俺たちは陶芸教室で夫婦茶碗を作ることにした。

 

陶芸の先生「いやあ、奥さんすごく上手ですねえ。綺麗な形になってますよ♡」

大「そ、そうです?やったー♡」

陶芸の先生「旦那さんはもうちゃんと形を整えないと。これじゃあ焼いたときにヒビ割れちゃうよ?」

「ぶ、不器用ですから・・。」

大阪子ばっかり褒めやがって・・このフェミニストめ!

 

先生は見ていられなくなったのか、俺の皿に「手直し」を行った。

 

(あら?あらら?俺が作った茶碗・・もう原形無いんですけど~。)

結局、大阪子の作ったものは茶碗。俺の作ったものは灰皿として活躍している。夫婦茶碗は完成しなかったのだ。

湯ヶ島温泉へ。文豪の愛した宿「湯本館」

夫婦茶碗を作ったら湯ヶ島温泉へと向かう。伊豆というと海のイメージが強いが、湯ヶ島温泉は山の中にある。

湯ヶ島温泉は「天城越え」でも有名な天城山中にある。国道414号(伊豆半島の真ん中を縦半分に走っている国道)を上っていけば、天城峠や浄蓮の滝へ行くことができる。

俺達は川端康成が『伊豆の踊子』を執筆した「湯本館」へ宿泊することになった。歴史のある老舗旅館だ。

 

「ほえ~風情のあるの宿だねぇ。」

少し古い印象を受ける宿だけれど、味があって良い。仲居さんも面白い人だ。

湯本館でこのブログを書けば、犬のエサにもならないような、俺の文章表現ももう少しマシになるかもしれない。

ドロドロとした人間模様を書くよりも、旅ブログでもやっておけば、もうちょっと需要があったのかもしれない。

俺は文豪の愛した宿で、今後の身の振り方を考えていた。

 

大「YUちゃん一緒に露天風呂に入ろ♪」

大阪子温泉

「はーい♡」

湯本館露天風呂

俺と大阪子は狩野川沿いの露天風呂にゆっくりつかりながら、今日一日の疲れを癒やすのだった。

旅行三日目。河口湖でボートを漕いだら嫁が発情。

俺と嫁とお腹の赤ちゃんの一行は伊豆半島を北上していく。

大「YUちゃん富士山がめっちゃ近くに見える!」

「おう、今、富士山の方角に向かってるから。」

俺達の語彙力ではとても文豪にはなれそうもない。

 

伊豆半島に別れを告げ、車は富士山の麓を走っている。三日目の予定は富士五湖の一つ「河口湖」だ。

河口湖は富士五湖の中で二番目に大きい湖で、周辺にはたくさんの観光スポットが点在している。

これまで俺は日本全国ほとんどの県を放浪してきたが、実は山梨県には滞在したことがない。これは、ちょっと楽しみだ。

突然のお腹痛い。もしや切迫流産?

御殿場を過ぎ、グネグネとしたワインディングロードが続いていく。河口湖まで、あともう少し。

運転は得意だが、あまり揺れると酔いそうだ。

「顔色悪いけど大丈夫?もしかして車に酔った?」

さっきまで、俺の横でベラベラとおしゃべりを続けていた彼女が突然しゃべらなくってしまった。

 

大「うん・・気持ち悪くはないけど。」

「・・ないけど?」

大「なんか・・お腹が痛い。」

「ちょ、ど、どんな風に痛いの?」

大「お腹がきゅうううって締め付けられる感じがする。」

俺はブレーキを踏み、車を路肩に寄せて停めた。

「それって切迫流産(流産の一歩手前の状態)とかじゃない?」

大袈裟かもしれないが、俺はつい最悪のケースを想定してしまう。

大「・・かもしれない。」

うかつだった。安定期とはいえ、飛行機、電車、ドライブと動き回りすぎた。

妊婦にはキツイ旅程だったのかもしれない。俺はこんな旅行計画をしたことを悔やんだ。

 

「と、とりあえず、産婦人科いこう!」

とにかく赤ん坊に何かあったらヤバい。俺は携帯を取り出すと、必死で産婦人科を探した。

最悪、救急車の出番だ。だけど、こんな田舎で捕まるだろうか?

 

幸い、近くに産婦人科が見つかった。カーナビで目的地を設定すると車を走らせる。

助手席では大阪子が苦しそうにお腹を押さえている。できるだけ揺らさないようにしなければ。

 

「こんな自然の多いとこで・・赤ちゃん産めたら最高やん?」

ついさっき、大阪子はそう言っていた。島田紳助の顔マネをして。

 

(まだ産んじゃダメ!こんな所で出てきちゃダメ!)

目的の産婦人科は森の片隅にあった。ガチャガチャ!

(ドアが開いてねえぞ・・。マジかよ・・。)

インターホンを連打するが全く反応はない。

(もしかして・・この病院潰れてる?)

駐車場には一台も車が停まっておらず、人の気配も感じない。

 

俺は初歩的なミスを犯していた。最初から病院に確認の電話をかけるべきだったのだ。

焦りからそんな事にも気づかないとは・・。

 

「どうしよう電話も繋がらない。いっそ救急車呼ぼうか・・?」

大「ちょっと待って。救急車はいいから、急ぎでコンビニ寄ってもらえへん?」

途中にあった、セブンイレブンに向かう。

(・・これは切迫流産なんかじゃない。・・アレだ。)

俺はオチに薄々気づいていた。

コンビニから出て来た彼女は、すっきりした顔で助手席へと座る。

「・・ウンチでた?」

大「実は、ここ一週間便秘やってん。初めての妊娠だからちょっと敏感になってた。お騒がせしました。」

「マジで焦ったわぁ・・。」

体の力が抜けていく。ただの便秘でこの大騒ぎだ。

トラブルを乗り越え川口湖へ到着

ウンチトラブルを乗り越え、再びトラベルへ。ようやく河口湖へやってきた。

湖には陽の光が指して、キラキラと輝いている。遠くに見える山にはかすかに靄がかかっている。

 

「ああ・・新鮮な空気。死にかけの肺が生き返りそうだ・・。」

大「そろそろ禁煙してや。子供が産まれたら、換気扇の下でも吸わせないから。」

「・・が、頑張ります。」

俺たちは、旅館にチェックインして、手荷物を部屋に置くと、すぐさま湖へと繰り出す。

 

「景色良いなぁ。せっかくだからボート乗る?」

大「お、ええなそれ。」

湖デートと言えば、やっぱりボートに乗らなきゃ始まらない。

「でも、途中でウンチしたくなったら終わりやで?」

大「もうでえへんわ。」

ボートは湖の中心に向かって進んでいく。

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「ハァハァ!河口湖ってでかいのね・・。公園の池とは格が違う・・。」

kawaguchikoboat1

大「ほら、頑張って漕がないと日が暮れるで?」

「もう腕パンパン!行きはヨイヨイ、帰りはツライだな。」

ゆっくりと湖面がオレンジ色に染まっていく。夕日が河口湖の向こうの山に沈んでいく。

 

「一時はどうなる事かと思ったけど・・来てよかったな。」

大「うん。連れて来てくれてありがとう。」

「新婚旅行は海外に行きたかったけど・・国内でごめんな。」

大「むしろ国内で良かったわ。私、英語しゃべれへんし。」

「・・ホント?」

大「実はね。ハワイに行きたかった(笑)」

「・・ですよねぇ。」

「あはは、またここに連れて来てよ。今度は赤ちゃんと一緒に。」

もう少しこのままでいよう。日が沈むまで。

後は寝るだけ・・と思ったら嫁に異変

夕飯も食べ、温泉にも入った。あとは存分にくつろぐだけだ。

風呂から戻ると、部屋の中には布団が敷かれている。

「ぼふっ!」俺はフカフカの布団へ飛び込んだ。贅沢の極みである。

「いやあ極楽ですなぁ~・・動きまわったから、今日は早いとこ寝ようぜ。」

大「YUちゃん・・あのさ・・実は・・。」

大阪子がデジカメをのぞきながら、神妙な顔をしている。

彼女がこんな顔をしている時は要注意だ。いままでロクなことになった事がない。

「ど、どうした?」

大「あのね・・引かんといてや?」

「えーっと・・内容次第です。」

大「わかった。言うわ。私ね、今めっちゃエッチしたいねん。」

「ワタシイマエッチシタイ?」

俺にはこの妊婦が何を言っているのか・・わからなかった。

 

※ちょっとアダルティな展開ですので、気になる方は下記リンクをご覧ください。

私エッチがしたい。妊婦にも性欲があるらしい。

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前回のあらすじ新婚旅行(仮)で俺達は河口湖にやってきた。そしたら嫁(妊婦)が発情した。妊婦にも性欲があるって知ってた?大「夕御飯に美味しいもの食べたらムラムラしてきちゃって・・。今、わたし、ものすごくエッチしたいねん。」[…]

大阪子風呂上り

 

いよいよ旅行最終目。馬籠宿に寄って名古屋へ帰る。

朝方になり、部屋の明るさで目が覚める。大阪子がいない。

(・・これはぜんぶ夢オチ?・・僕パパにならなくてもいいの?)

そんな都合のいい事など起こるはずもない。

部屋には、グシャグシャに乱れた二つの布団と、大阪子の携帯が残されている。その情報だけで現実を認識してしまう。

 

大「いや~朝風呂って最高やな!YUちゃんも朝ごはん前に温泉入ったら?」

濡れた髪を乾かしながら、未来の嫁が戻ってきた。

「じゃあ・・俺も入ってくっかな。」

俺は河口湖が一望できる展望風呂で、包茎を隠しながら景色を味わう。

(・・次はお互いの両親に挨拶か。やることはてんこ盛りだけど、一歩ずつ前進していこう。)

 

ichigogari1

旅行(仮)最終日はイチゴ狩りを楽しんだり。

帰る途中で馬籠宿(まごめじゅく)へ立ち寄った。

馬籠宿は中山道六十九次の宿場町の一つで、長野県と岐阜県の県境にある場所だ。

馬籠宿

坂の続く古い町並みには昔ながらの風情を感じることができる。ちなみに「島崎藤村」の故郷である。

馬籠五平餅

岐阜県名物の五平餅(お米に味噌を塗って焼いた餅)を食す大阪子。

そんなこんなで三泊四日の新婚旅行(仮)は終わり、俺たちは名古屋へ戻って来た。

 

「いやー楽しかったな!」

大「運転お疲れさまでした。」

「明日も忙しいから、今日はしっかり寝ときなよ。」

大「そっか・・明日はYUちゃんのご両親に会う日だったね。」

明日はいよいよ俺の実家に彼女を連れていく。

 

「やっぱり緊張する?」

大「緊張しすぎて、赤ちゃん産まれそうやわ。」

「そういう妊婦ジョーク、笑えないから・・。」

大「お土産に夫婦箸も買ったし。きっと喜んでもらえるよね!」

「うん。うちのオトンとオカン夫婦仲最悪だけど。」

まったくフォローになってない。

俺は未来の嫁を励ましているうちに、明日が今日になるのだった。

妊娠中の旅行で大変だった事や反省点まとめ

最後に自分への備忘録として、妊婦との旅行中の反省点などをまとめておきたい。いつか役に立つかもしれない。

大変だった事やトラブル

まず今回の旅行で起こった大変だっと事やトラブルを振り返ろう。

  1. オシッコがめっちゃ近かった。
  2. 嫁がファミレスで号泣した。
  3. 途中でお腹が痛くなった(便秘だった)。
  4. 妊婦なのにセックスした。

それほど大きなトラブルは無かったものの、途中でお腹の痛みを訴えたのはかなり焦った。

また、妊婦にも性欲があることを知ったのは、ある意味大きな収穫である。

今回の反省点。

次は今回の旅行の反省点。

  1. 長距離移動はキツイので近場にすればよかった。
  2. 旅行日程を短くするべきだった。
  3. トラブルがあった時のために、病院なども調べておけばよかった。
  4. 実家に行くのは別の機会にしておけばよかった。

俺は北海道の移動スタイルになれてしまっていたため、一日の移動距離を多め見積もっていた。

「札幌➡名古屋➡伊豆➡河口湖➡名古屋」これを3泊4日で移動するのは、妊娠していなくても、正直キツイ。(今回は新婚旅行の名目もあったが・・。)

「一泊二日」ぐらい軽めの旅行のほうが安心できるし、ストレスも少ないと思う。

万が一のトラブル時のために、目的地や移動途中にある「産婦人科」や「総合病院」などもあらかじめ調べておくと、何かあった時に対処しやすいと感じた。

また「実家に行く」という余計なイベントを挟んでしまったのも悪手だったと思う。新婚旅行(仮)とは別々にしておくべきだった。

 

ほとんど全て俺任せだったのもあった、正直、準備はかなり大変だったけど、結果的に今回の旅行はうまくいったほうだと思う。

妊娠中の旅行はあまり体験できないイベントだ。それに同行できたのは良い経験になったと思う。

 

続く➡出会い系で結婚。親には正直に話せる?