阿蘇の貸切温泉「湯ら癒ら」へ。・・吹き出す感情。
衛「・・遅かったね。」
「あの・・・トイレ混んでてさ。これコーヒー。」
衛「ありがと。YUちゃんすごい汗かいてる。」
「・・世界の平和を守ったのさ・・。」
ということで俺はノーパンのまま、阿蘇の家族風呂へと向かう。
「もうちょっとで着くから、空いてるかどうか電話してみて。」
衛「OK。」
第一候補に電話してもらう。
お盆なので混んでいる可能性があるが、今日は15日の最終日。
世の中のお父さんが家でゆっくりしていることを願おう。
衛「もうすぐで二つ空くらしいから、今からならすぐにいけるって。」
「お!ラッキー!」
これはある意味で運がついたのかもしれない。
向かったのは阿蘇乙姫温泉にある「湯ら癒ら」だ。
ここはゴルフ場などもある「コスギリゾート」という総合レジャー施設の一角にある。行くのは初めて。
少しお値段が高いが、結構人気の施設らしい。
「すいませーん先程電話した○○ですが・・もう空いてますか?」
予約している底で言う。店員さんが空いている部屋を教えてくれる。
一つは社長仕様っぽいセレブ向けの部屋だったので辞めておいた。
もう一つは中くらいお値段のお風呂。
「ここにしようぜ!」
「なんかすごい良さそう!」
ということでタオルもレンタルして二人で貸し切り風呂へと乗り込む。
内風呂にはハートの形をした石風呂があり、これはもう「ラブホ的な発想」だ。
「あっ!俺トイレに行ってくるからさ・・先に入ってて。すぐ戻るから鍵は開けといて。」
「わかった!」
トイレへと向かう・・と見せかけて、駐車場にパンツを取りに行く。
そして高森町のコンビニで買ったパンツの封をあける。
だがまだ履かない。
どうせならキレイな体で新品のパンツを履きたい。
ということでジーンズのポケットに新品のパンツを忍ばせる。
風呂に到着頃には衛生女は体でも洗っているだろう。
(いや・・女子は意外と時間がかかるものよ・・)
念のため車で一本タバコふかす。
ミーン!ミーン!セミの鳴き声が聞こえる。
「さて・・いくか・・。」
貸し切り風呂のドアを開けて中を除く。
うむ!OK。
ドアを開けて、中をこっそりとのぞく。
よし!衛生女はシャワーを浴びているっぽい。
俺は素早く脱衣室へと移動し、服を脱ぎ捨てた。
念のためケツに余り物の「付着物」がないか鏡で確認する。
OK!完全に除去できている。
安心して真っ裸になり、ジーンズの上に新品のパンツを置いた。
(あれ・・俺ってばすごい情けないことしてない?)
急に冷静になった俺は、自分の存在が急に恥ずかしくなってきたのだった。
(恥ずかしいやら・・情けないやら。)
本当の恥ずかしさは時間を置いてやってくるのだ。
転げ回りながら悶絶しそうになる。
(と、とりあえず風呂へ行かなければ・・。)
風呂の中を覗くと衛生女は既にハート型の湯船へと浸かっている。
「お・・気持ちいい?」
衛「うん!見て!お湯がすごいの!ウーロン茶みたい!」
ここのお湯は豊富に鉄分を含んでいるようで濃い茶褐色だ。
「体洗うとこ見られるの恥ずかしいから露天のほうへ行っててよ。」
まだ男性を知らない、乙女のような言葉で、彼女を内風呂から露天風呂へと移動させる。
そして俺は泣きそうになりながら火花が散るような激しさでケツを洗った。
全ての汚れを落としきった。俺は露天風呂へと向かう。
「お待たせ・・」
衛「YUちゃんすっごい気持ちいいよ!」
「よいしょ・・アチッ!ふううう・・。」
まとわりつくお湯・・これが温泉だ。
俺は湯船に身を任せ、ゆっくりと目を閉じた。
外界から遮断されると、思い出す。俺がついさっき・・クソを漏らしたことに。
さらに情けない感情がこみ上げて溢れ出でる。
感情を抑える堰が今にも崩れそうだった。
「あ・・あのさ・・。」
そして俺は泣きそうになりながらも、彼女へと言葉を発したのだった。