デート開始!まずは呼子で腹ごしらえ
田川へと百合子を迎えに行く。待ち合わせ場所は依然と同じ焼肉店。
少し早めについてしまったが、車のナビにルートを入れたり、今日のデートプランをおさらいしたり、タバコをふかしたりで時間はすぐにやって来る。
そしてようやく彼女は現れた。車へと近づいてくる背の高い「美人風」の女。
ベージュのロングコートを着て颯爽とこちらへ歩いてくる。
「おはよう~」
百「おはよ!体調はもういいとね?」
「うん。おかげさまで。この前はいろいろお世話になりました!ありがとう。」
百「全然、でも今日はちゃんと恩返ししてねw」
「あはは・・無理のない範囲でね。てかそのベージュのコート似合ってますな。」
百「でっしょ!お気に入り!でも安いんよ。9800円。買い物上手やろ~。春向けだから実際そんなにあったかくはないけどね。」
やはり素材がいいと、安い服でも充分に似合う。ポッコリお腹の俺では、難しい話だ。
百「私呼子のイカは初めてなんよ♪今日は朝ごはん抜いてきたから!」
「おーおー気合い入ってますな!」
イカトークで盛り上がりながら一路西を目指す。
「んご?なんかいい匂いするんですけど?」
百「おお?わかります?ボディソープ変えたんだ!私あんまり香水とかつけないから」
彼女から漂ってくるボディソープの匂いが鼻をくすぐる。使っているのはLUSHで若い子に人気のブランドだ。匂いは強い。
「なんかムラムラしますな・・。」
再び福岡市に入り、福岡都市高速に乗り換える、そこから西区をすぎると都市高速から糸島へと向かう福岡前原道路という有料道路につながる。
百「うわあ海だ!YUちゃん綺麗だね~!」
「おおう・・天気いいから綺麗やな~ちょっと緑がかってるっていうか・・。でもこの前も見たやん。」
百「私は山側の人間だから、普段なかなか海見れないもん。」
ふふ・・キツめの顔をしている近づきがたい印象の美人だが・・中身はまだまだ子どもですな・・。そこがまた可愛い。
佐賀県唐津市へ入る
さらに西へと進むといつの間にか佐賀県唐津市に入る。佐賀県の北西に位置し、玄界灘に面した港町だ。
福岡市からはほど良い距離なのでドライブコースの選択肢の一つとして使われやすい。
「唐津くんち」がというお祭りが有名で「えんや―、えんやー」という掛け声で派手な神輿?のようなものを担いで練り歩く。
友人の話だと「おくんち」の期間は唐津の家庭は豪華な食事「伊勢海老とかあるらしい。」やお酒などを振る舞うらしい。
この間は誰でも家に上がこりんで食べ放題の飲み放題らしい。・・ということで唐津人は太っ腹だ。(あくまで唐津の友人に聞いた話です。現在は行われているかわかりません。)
唐津市街地から何もない山の中を超えると、目的地の「呼子」の街である。
街というほどの規模ではないが、所々に「イカの活き造り」を売りにした店の看板を目にする。
「ふう・・とうとう来ましたな・・イカ食えますな・・。」
百「お疲れ様!お腹空きすぎてめまいがしそう・・。」
呼子の名店「河太郎」へ待ち時間パネエ!
二人が今回お邪魔するのは「河太郎」という呼子一の有名店。平日にもかかわらず店の前の駐車場もほぼ満車状態である。
「うそ・・めっちゃ並んでる・・。」
百「結構並んでますな・・。」
河太郎は有名店だけあってお昼時は1時間待ちは当たり前。休日になると2時間はザラ。GWなどの繁盛記には4時間以上待ちになることもあるらしい。
・・もはや飲食店の領域を超えている。
「あかん・・腹減った・・。」
百「うう・・死ねる・・。」
二人は港の端っこに座り込みつぶやいた。すぐ先は海である。
自分達の番号がスピーカーから聞こえるのを今か今かと待っている。
百「泳いでる小さい魚・・美味しそう・・。」
「あかん、飛び込んだらあかんで。」
もう二人は限界であった。口数が少なくなっていく。
そして待つこと一時間ようやくお店から及びがかかる。
「キタ――(゚∀゚)――!!」
百「イカキタ――(゚∀゚)――!!」
二人は残り少ない体力で走りだす。
店員「お二階へどーぞ。」
せわしく動くおばちゃんの店員さんにせわしく注文を聞かれる。
「もちイカの活き造り定食で!」
百「楽しみすぎる・・。」
店員「お待ち!」
「はええ!」
先ず出てきたのはなぜか、もずく酢、漬物とご飯とお吸い物・・。・・なぜだ順番おかしいだろう。まずはイカだろう?
それが河太郎スタイルなのだ。そしてようやく登場したのがイカの活き造り。
「うおおおおお!足がまだ動いておりますよ!」
百「写メ!写メやでえ!パシャ!パシャ!」
たかがイカと思うなかれ。呼子のイカ(ヤリイカ)は一味違う。
刺身で出てくるような白とは違い、透き通った白。そしてサイズもデカい。一人一匹でござる。
「歯ごたえすげえ!」
百「甘い!このイカ甘いよ!」
何よりコリコリとして臭みのない味はイカを超越している。醤油が甘いのか、新鮮なイカが甘いのか(きっとどちらも甘い)
「うひょー!いかしゅうまいだけにうまいってか!」
百「おじさん口が過ぎますよ!」
そして足の部分の耳の部分はてんぷらへ。イカに始まり、イカに終わる。それが呼子流なのである。
「てんぷらやわらかい!」
百「さっぱりしてて箸が止まらない・・げっぷ。」
最後のほうはてんぷらの油が胃にくるぜ。
「お腹いっぱいだわさ。」
とにかく、テンションの上がった昼食であった。
福岡に来たら是非、イカの活き造りを食べてみてくださいな。
きっと新しい感動を味わえるでしょう。(わざわざ呼子に行かなくても活きイカは普通に食べれます。)ちなみに河太郎は中洲にもあります。
さて、相手のガードを崩すには「まず飯を食う」それが俺のやり方。
一緒に食事をするという行為はお互いの心理にいい影響を与えるらしい。今回は大成功だろう。
ここから次第に百合子の心を蕩かすとしよう。