気持ちいいんだけど彼女が微動だにしない
百合子の「中」は最高だった。このままではすぐに果ててしまいそうだった。
彼女のアソコが俺の息子に「しっくり」くるということは、とても大事なことである。
腰を振るスピードや角度を変化させ懸命に射精をこらえる。できるだけ長くこの快感をむさぼろうではないか。
・・だが俺はあることに気が付いた。
百合子が全くと言っていいほど微動だにしていないことに。
確かに俺たちはセックスの真っ最中なのだ。よく考えれば喘ぎ声もよく聞こえない。少し荒い吐息が聞こえるくらいだった。
百合子の「冷凍マグロ」っぷりにうろたえる。カチカチだ。
よく考えると、エッチの最中(前戯も含めて)彼女から俺に行動を起こすことは全くなかった。常に受身だ。
痛かった?それとも下手だったのか?まさか・・初めてのエッチで恥ずかしいのだろうか?
それとも俺のチ〇コがアリレベルで「入れられていることにすら気付いてない」とか?
いろいろな考えが頭をよぎった。男を殺すのは簡単だ。
エッチの最中に「お前下手くそ。アソコ小さい。」これを言うだけでいい。※絶対言っちゃだめだよ。
「痛かった?」
少しして、百合子が口を開いた。
百「大丈夫。気持ちいいよ。・・続けて。」まるで機械のアナウンスのような感情の入っていない言葉だ。。
夕方のような激しい性格の百合子はそこにはいなかった。
そして、さっきまでの楽しそうな百合子もいなかった。
な、なにを!ま、負けんぞ!
俺は腰を振り続けたが、それが間違った方向だということに気が付き次第に息子が萎えていく。平常時のポークビッツサイズへと落ち着いた。
そしてそのまま息を吹き返すことはなかった。
「・・な、なんかごめん。」
とりあえず謝っておく。
百「え?全然だよ。き、きもち良かったから・・ううう・・」
感情のなかった人形に感情が戻ってくる。本日二回目の涙である。
「ど、どうした?」
泣いた理由がわからず、うろたえる俺。こうなってくると何をどうすればいいのかわからない。・・こっちも泣きたい。
「裸で泣き出す彼女」と、「裸でうろたえる俺」というなんともシュールな絵になっている。
「と、とにかく水でも持ってくるわ。」
水を飲んで落ち着いたのか、しばらくして彼女は泣き止んだ。
なんとなく明かりをつけてはいけない気がして、ライトは消したままにしておいた。
百「ごめんね。私、どうしてもエッチに嫌悪感があって・・。」
彼女はそう言ってセックスが嫌いな理由をゆっくりと言い始めた。時々言葉に詰まりながら・・。
彼女がセックス嫌いなんて俺からすれば絶望的だ。
田川という世間は狭い場所なので、身バレが怖いのと、かなり重い話なので詳しいことは書けない。
百合子の身内が原因でエッチに嫌悪感を持ったこと、それが原因で自分もメンヘラになり、病院に通っていたらしい。
とにかく昼ドラで見るような重い内容だった。
※内容はご想像にお任せします。コメントで当てにきても今回は載せません。
「そ、そうだったのか・・すごく大変だったね。」
泣きはらした彼女を抱き寄せる。そして俺は天を仰いで思った。
「彼女を救いたまえ。」
でも・・その重い過去を知ってしまった今、これまでのようには付き合えない気がする。
続く➡別れ・・そして新しい日常