神戸のOLさんをランチに誘ってみた・・。
「うーん・・暑い!」
太陽光で車内の温度が上昇。寝苦しくなって目が覚める。ここは西宮名塩SA。YUTAROのお気に入りだ。
ちょっとだけ仮眠を取るつもりが、既に午前9時を過ぎている。
車で9時間も寝てしまうとは・・YUTAROの疲労もそろそろピークらしい。
ちなみに今日のアポの目的地は岡山市。高速で向かうつもりなので、時間にもだいぶ余裕がある。
「神戸に寄り道して昼飯でも食っていこうか・・。せっかくだから神戸ビーフ食べたいなあ・・ここ数日肉らしい肉を食ってないし。」
だが一人では寂しい。俺は神戸のメル友を誘ってみることにした。
「お疲れ様です。お暇でしたら、今日神戸牛を食べに行きませんか?シャルウィー神戸ビーフ?」
俺は神戸牛というキラーワードで女子を釣ってみる。
10分ほど待つと、
神「神戸牛食べたい!でも仕事終わってから飲み会があるんですよ~。」
「俺も夜は予定あるから、ランチのお誘いなんだけど。しかも今から(笑)」
神「うーん。お昼休憩が一時間だからやっぱり難しいなあ。」
「ちなみに何時からお昼なん?」
神「12時から13時まで」
「ちゃんとした会社だなあw」
ちゃんとしてないのは仕事中も光速で返事をくれるキミだ。
神戸のOLさんデータ
名前:神戸ガール
年齢:28歳
職業:OL(派遣事務)
出会ったサイト:Pairs(ペアーズ)
仕事中でもLINEを返してくれる不良OL。三宮で働いているらしい。写真ではロングヘアーのなかなかの美人さん。
スケジュール的に予定が合わず、今回の旅では会えないと思っていたが、ダメ元でご飯に誘ってみることに。
「絶対お昼休憩の時間内で済ませるから、ご飯付き合ってよ。車で迎えに行くし。」
一人でゆっくりランチしたほうがいいのに、俺はなんでこんなに意地になってるんだろう。
神「うーん。わかりました。時間過ぎそうなら途中で帰るかも?下手すると契約切られちゃうから。それでもいい?」
「承知!」
神「じゃあ磯上公園まで来てください。会社の近くなんで。ファミリーマートがあるからその向かい側で。」
「承知!」
無茶な約束を取り付けると、俺はSAを後にした。そこからはダッシュで高速を突っ走る。
三宮到着。アクション映画な出会い。
阪神高速の新神戸トンネルを抜ければ、あっという間に神戸市の中心地「三宮」へ到着だ。なんかすっげえ久しぶり。
「・・早く着きすぎた。しかもファミマが二つあってどっちかわからん。」
幸い時間にはまだ余裕がある。俺は有料駐車場に車を停め、食べログで近くのステーキ店を検索する。
さすが世界的にも有名な神戸牛の本拠地。調べたら神戸牛が食べられるお店が星の数ほどある。
「ピコン!」正午を少しすぎ、LINEが鳴った。
神「休憩入りました。今から急いで公園向かいますね。会社にバレるとマズいんですぐ車で拾ってください。」
俺は車の車種をLINEで伝えると、急いで駐車場を飛び出した。
磯上公園をぐるっと周るように、車を走らせると、磯上通六丁目の交差点に差し掛かる。
「ここのファミマでいいのかな?」ハザードランプを点滅させて、路肩に車を停める。
すると猛スピードで車に駆け寄ってくる女が一人。女は車の後部座席のドアを開けて、勢いよく乗り込んだ。
(ちょwなんで後ろの座席?)
神「早く!車出して!」
そう言うと神戸女は、隠れるように座席に身を伏せる。
(銃弾でも飛んでくるのか?)
まるでアクション映画のようなスタートだ。俺はただあなたとランチに行きたいだけなのに・・。
契約社員は命がけ!ランチデートが見つかるとクビ?
「・・大丈夫?なんかヤバい状況みたいだけど・・どうしたん?」
神「会社の人が!会社の人が近くにいたの!」
(会社の人ってジェイソンかなにか?)
俺はバックミラーをチラリと見た。
彼女の顔は整っていてキレイ系だが、コントを考えてくる辺り、ユーモアがある性格なんだろう。さすが関西だ。
「でもお昼休憩なんでしょ?なんで怯える必要があるの?」
神「私、契約社員やねん。見つかるとクビになるかも・・。まだ派遣されたばっかりやねん。」
(コイツ・・どんなブラック企業に勤めてんだ?)
「怯えてる割にはいっつも会社でLINEしてんじゃんw」
神「会社ではちゃんと仕事してるからええねん。」
ちょっと意味がわからない。
「・・・ほらこの店だよ。」
到着したのは「プロペラ」というステーキのお店だ。
神「ダメええ!会社からめっちゃ近いい!」
(・・うるさい女だなあ。)
「わかった。無理言って出てきてもらったから、会社の人に見つかった時のために、俺が言い訳を考えてあげよう。」
俺は有料Pに駐車しながら言い訳を考える。
「・・これなんてどう?」
神「どんなん?」
「家に忘れ物したからお兄ちゃんに届けてもらった。そのついでに一緒にお兄ちゃんとお昼ご飯を食べた・・と。」
神「うーん。ウチのお兄ちゃんもうちょっと若いねん。・・ゴメンな。」
(・・どういう意味のゴメン?)
「ほら・・そこは従兄とか工夫すればいいやん。」
神「それもそうやな。」
(休憩時間に外でランチ食ってるだけで、告げ口するヤツなんているのか?)
OLさんと行く「神戸ステーキプロペラ」で和牛ランチ
残り時間は50分を切った。二人はダッシュでプロペラに向かう。
ランチタイムで店内は非常に混んでいたが、運よく空席に案内される。
「よし何食うべ?」俺はメニューを広げる。
プロペラはコスパの良い店と評判らしいが・・やっぱり神戸牛は高い。(100g3000円)
「この和牛カットステーキランチ(小声)・・とかめっちゃ旨そうだぞ!しかも量が多い!」
神「うん。それでいいよ。」
そもそも金も無いのに神戸牛食いたいとか言っちゃダメだったのだ。
この和牛はギリギリのところで神戸牛になれなかった。そんな和牛に違いない。きっとそうなのだ。
「甲子園出場を逃した高校球児和牛」と名付けよう。来年は・・もう来ない。
顔は美人。行動はブスな女
「てかよく見ると、あなためっちゃ美人やない?」
落ち着いてみると神戸ガールはなかなかの美人さんだ。少し顔にホクロは多いが。
神「ほんと?」
「うん。」
神「私ね。今一人暮らしとってな。実家は明石なんやけどな。」
「急にどしたん?」
神「んで今、お金が全然なくて。派遣って給料安いし、週末だけでもキャバで働こうかと思ってて。」
「急にどしたんw」
神「ワタシ夜の世界で通用するかしら?・・どう思う?」
(う〜ん。福岡にも夜昼兼用で働いとる子たくさんおるからなあ・・)
「大丈夫!美人だし通用するんじゃね?」
神「でもうちの親厳しいしなあ~。キャバで働いてるのバレたら、きっとパパにボコボコに殴られる。」
「そっか~(棒読み)」
神戸ガールから派遣とはいかにストレスが溜まるかを聞かされながら、ランチのステーキが到着。
「お、旨そう!思ったより肉がたくさんあるな・・。」
神「そんなことより時間がない!急いで食べな!」
そこからは二人で無言のモグモグタイム。逆に落ち着いてジューシーな和牛の味わいを堪能できる。
チラリと神戸ガールに目をやると、頬をたっぷりと膨らませて肉を咀嚼している。
「そ、そんなに焦らんでも・・。お腹こわすで?」
美人が台無し。俺は気づいてしまった。
(コイツ・・行動がブスだ。)
走り去る彼女。一時間のアポは短すぎる
神「あと10分で会社に戻りたいの!モグモグ!」
「10分?ひぇええ・・。」
肉を喉に詰まらせそうになりながらも、なんとか完食。
(せっかくの美味しいステーキ。もっとじっくり味わいたかったものだ。)
お会計を終えて、プロペラを出る。
神「ご馳走様!ワタシ走って会社に戻る!」
「車で送ってかなくて大丈夫?」
神「近いから!次はゆっくりご飯しよ!」
神戸ガールはそう言うと、パンプスをコツコツと鳴らしながら、会社の方向へとダッシュで走り去っていった。
無理に付き合わせた俺が完全に悪い。
もし・・神戸でせっかちなOLに出会ったら俺の代わりによろしく言っといてください。