たった一時間のランチアポが終わり、YUTAROは岡山市に向かうため車に乗り込んだ。
俺は茫然とハンドルを握っていたが、神戸ガールの焦りっぷりを思い出すと、次第に笑いがこみ上げてきた。
「ガハハッ!すっごい素直な子だったな!」
天気の良さも味方してか、妙に晴れやかな気持ちになった。次はゆっくりとデートしたいものだ。
神戸のOLさんをランチに誘ってみた・・。「うーん・・暑い!」太陽光で車内の温度が上昇。寝苦しくなって目が覚める。ここは西宮名塩SA。YUTAROのお気に入りだ。ちょっとだけ仮眠を取るつもりが、既に午前9時を過ぎている。[…]
さて、山陽自動車道に乗る。
いつもは国道2号線のバイパスルートで岡山へ向かうが、時間的、体力的にも心配なので、奮発して高速を使う。
(もう警察に捕まるわけにはいかない。制限速度をしっかりと守って走行しよう。)
そうこうするうちに、「岡山IC」へ。
2時間ばかりの高速の旅。渋滞と信号のないルートは、ラクちんすぎて涙が出る。
遠征先でアポするなら、ホテルの場所は重要
「まずはホテルにチェックインしなきゃ。」
信号待ちの間に、ホテルの電話番号をナビに入力する。
ちなみに今日の宿は岡山国際ホテルだ。
岡山駅まで車で15分?ホテルを間違えて予約
「ん?…妙に岡山駅から離れていくけど…本当に駅から徒歩圏?」
都心から離れ、生活感を感じる街並みが広がっていく。
今日のアポでは岡山駅の周辺で飲む事になっているのに。
行き先が合っているのか不安になって、コンビニに立ち寄って確認する。
「え?岡山駅から徒歩15分…じゃなくて車で15分んん!?」
俺は表現の詐術にまんまと踊らされてしまう。
徒歩で15分でも近いとは言えないのに、車で15分となるとそこはもう「別の町」だ。
「仕方ない…とりあえずホテルにチェックインしよう。」
げんなりしながら、ホテルへ到着。
岡山国際ホテルは、小高い丘の上にある老舗のホテル。結婚式も挙げられるホテルだ。
都会の喧騒から離れて、「ゆっくり過ごす」という目的ならロケーションは良い。
ちなみにYUTAROが泊まった日は、告別式(たぶん岡山の偉い人)をやっていて大量の喪服を目撃した。
※この時の領収書。ホテルの住所に「中区」とか「本町」とか入ってるんで、都心部にあると思うじゃない?
旅先ではデートする場所の近くにホテルを取るべき!
YUTAROの全国出会い旅を見て、
「僕もいろんな地域の女の子と会ってみたくなりました。」
「出張先で出会い系を使って女の子探しに励んでます。」
というようなメッセージをいただく。嬉しい限りだ。
ここで一つアドバイス。遠征先で女の子と会う場合、必ずデートする場所の近くにホテルをとろう。
なぜならホテルまでの距離は、アポの成功に大きく関わってくるからだ。
その理由を挙げてみよう。
- 女の子を誘いやすい。
- ホテル代の節約になる。
- 移動費の節約になる。(タクシー代など)
- 待ち合わせ時間に遅れにくい。
- 基地があると心に余裕ができる。
また、アポをする時は飲食店が多い繁華街や都心部が望ましい。
そしてできるだけ、その近くにホテルを予約しておこう。
地理感のない街なら、予約する前に地図でホテルの位置を入念にチェックしよう。予約してからじゃ遅いぞ(泣)
待ち合わせ場所の岡山駅へ
車で行く?タクシーで行く?
そろそろアポの時間だ。岡山駅まで車で15分となると、徒歩で一時間以上は覚悟しなければならない。
(車で向かうかべきか?タクシーで向かうかべき?)
余計な面倒が増えてしまった。
(車で行けば酒が飲めない。酒を飲まないと口説けない。)
(酒を飲んだら代行運転で帰らないといけない。果たして岡山で代行は捕まるのか?)
俺は想定しうるシチュエーションを脳内で計算していく。
「タクシー1台お願いしますぅ(泣)」
フロントに電話をしてタクシーを呼んでもらう。
結局、都心のホテルに泊まるよりも、高くついちまったよ…とほほ。
タクシーに乗り込むと、行き先である岡山駅を告げる。
(岡山かあ…よく考えたら、この街でアポするの久しぶりだなぁ…。)
岡山県は、YUTAROが出会い旅を始めたばかりの頃に、ちょくちょく出向いた場所でもある。
(最初はたしか…女の子と湯郷温泉に行ったなあ…。B’Zの稲葉さんの実家の話で盛り上がったっけ?懐かしいなぁ…。)
広島からおはよう。一月も後半に入り暖冬とは言っても冬はやっぱりさみい。ニュースを見ながらタバコに火をつける。ひさしぶりの…
車窓から岡山の景色を眺めていると、
「お客さん岡山へは旅行ですか?」
と、タクシーの運転手が、話しかけてくる。
どうやらYUTAROは「タクシーのオッサンに話しかけられる」魔法にかかっているようだ。だがそれも意外と嫌いじゃない。
「え?旅行者ってわかります?」
運ちゃん「あのホテルからタクシーでしょ?出張じゃなくて、観光なのかなと。」
岡山の用水路ヤバいってよ!
「あははw 間違えて不便な場所のホテル取っちゃいまして。今から岡山駅で飲むんですよ~w」
運ちゃん「いいですねえ~。でも飲みすぎて用水路に落ちないでくださいよ。」
「用水路…ですか?」
この時は、「田舎あるあるなジョーク」なのかと思ったのだが、調べてゾッとした。
そんな岡山県ではあるが、「用水路がヤバい県」なのである。
用水路と言えば、田んぼの横を流れているアレの事。
なんと岡山県では年間10人ほどが、用水路に命を奪われているのだ。
気になる人は「人食い用水路 岡山」で検索してみてね☆
岡山駅着。ネカマ?20円のゴキゲンをぶち壊す女
運ちゃん「着きましたよ~〇〇円です。」
「あ…お釣りいらないので。」
運ちゃん「いいんですか?ありがとうございます!飲み会楽しんでくださいね!」
「えへへ♡また乗せてくださいね。」
俺は「たった20円のチップで最高の気分を味わえる術」を心得ている。
「良い事したなぁ…あ、桃太郎の銅像ってどこですかねえ~?」
道行く人に、待ち合わせ場所を聞くのもはかどるってもんだ!
さて、久しぶりの岡山駅。
どこが変わったのか?それともあまり変わってないのか?
この駅に来たのは、ずいぶん前で記憶にない。「思ったよりも都会」という印象だけが残っている。
(おお・・これが桃太郎像か!)
(お!こんなところにキジさん!やっぱ存在感薄いなあ・・。)
桃太郎の偉容を確認すると、今日のデート相手に連絡だ。
「今、着きました♪桃太郎像の前でっす!」
俺はLINEでメッセージを送った。すると一瞬で返事が返ってくる。
岡山の女「私も着いてます。」
「どこにいるの?」
岡山の女「どこにいると思います?」
「えっと…ごめん。俺、岡山駅とか詳しくないからさ、教えてくれると助かる。」
岡山の女「いいから、当ててみてくださいよ。」
「(なんやコイツ)…実は像のとこにいるとか?」
岡山の女「ブッブー!」
(来たのか!?恐れているものが!!久しぶりのネカマが!)
※ネカマとは?:ネットオカマの略。出会い系では主に「冷やかしするヤツ」の意味で使われる。
一つ言えることは、この女はすげえイライラするタイプということだ!
とにかくいますぐ俺の20円を返せ!
岡山まで来て冷やかしは悔しい
(冷やかしかぁ…わざわざ岡山まで来て冷やかしだったかぁ!クソ!)
この出会い旅3日目に、富山で「すっぽかし」を食らった時の悔しさがよみがえる。
今回が2回目だとすると、この旅の「冷やかし率」がグンっと跳ね上がってしまう。
(落ち込んでても仕方ねえ…。)
俺はLINEのチャットルームを閉じて、岡山の夜を楽しむべく気持ちを切り替えた。
精神的ダメージを引きずっていられるほど、出会い旅は長くない。人生は短いのだ。
すると突然「ポンっ」と肩を叩かれた。
女「あはァ!お待たせ!」
状況が掴めず、俺はキョトンとなってしまう。
(もしかして…この女が今日のデートの相手なのか…?)
ハッピーメールで出会った女がムカつく
ということで今日の相手のご紹介。
名前:ムカ女
年齢:30代前半
職業:家事手伝い
出会ったサイト:ハッピーメール
ムカ女と知り合ったのは8月の終わり。
LINE交換はスムーズにできたものの、他の女の子達とのやりとりに忙しく、あまりチャットしていなかった。
だからこそ、俺は彼女の持つ「ヤバいキャラクター性」に気が付くことができなかったのかもしれない。
運営株式会社アイベック対象年齢18歳以上料金ポイント制※メール1通あたり50~70円URLhttps://happymail.co.jp/対応アプリ[…]
出会い系サイト、マッチングアプリの総合ランキング(得点順)です。参考にしていただければと思います。リニューアルに伴い、「恋人ゲットナビ」は、より厳しい点数付けを行うことにしました。(全体的に点数を下げました。)※ランキングには評[…]
会って5秒で「コイツとは合わない」って女いるよね
ムカ「ねえねえ!驚いた?」
「は、はあ…。」
ムカ女の見た目は、美人でもないがブスでもない。いたって普通だ。
少し不思議ちゃんだが、きっと性格も明るいのだろう。
しかし「コイツは合わないタイプの女」
俺の視覚や聴覚から送られてきたデータによって、脳がそう判断してしまう。
出会って5秒で、
俺の全身が、
拒否反応を示している。
さっきの冷やかしっぽいLINEのせいだと思った。でも彼女は待ち合わせ場所にちゃんと現れたのだ。
いつもなら「あっどもども♪いきなり声かけられて驚いちった!」的な返しをするのに。
(いかん…いかん。明るく振る舞わなければ…。)
会話するたびにストレスがたまる
「あはは…キミは面白い子だなぁ・・。友達にもよく言われるでしょ?」
ムカ「あたし友達少ないからなぁ…良くわかんない。」
「あははは!そうなんだ!」
コミュニケーション能力のダイヤルを捻り、「外的コミュニケーション値」を無理矢理上げていく。
これによって、YUTAROは一時的にフレンドリーになれる。しかし、無理をすれば反動が来る。
もともとの俺は電話もできない「コミュ障男」なのである。
ムカ「ねぇYUTARO。どこで飲むの?」
(うお!?いきなり呼び捨てすか?)
「と、とりあえずお店を探そうか?」
ムカ「えー!お店決めてないの?」
「ご、ごめん(なんや…コイツ…。)」
イラつきながら、岡山駅前の交差点を渡ると、駅前にあるビックカメラの大きなビルが見えてくる。
路面電車の停車場に人が並んでいる。
会話が噛み合わない。笑笑でキレそう
「あっ…あの店はどう?」
俺は看板を見上げ、指さして言う。
全国チェーン展開の居酒屋の名前が書いてある。
その看板は笑っていた。
信号が青になると、ムカ女の意見を聞くでもなく、スタスタと横断歩道を渡り、居酒屋の入っているビルに入っていく。
俺が歩くのが速いのか、それともムカ女が遅いのか、二人の間には数メートルの距離ができていた。
店に入り、店員に案内されて席に着く。
「うむ。やはり笑笑は良い店だ。この賑やかな雰囲気がたまらないよね!今日は好きな物を食べて、飲んでくれたまえ。」
ムカ「・・・。(スマホいじり)」
(返事くらいしろよ。)
ムカ「あっ、ごめん。聞いてなかった。続けて。」
・・嫌な予感は的中した。
俺のストレスゲージが跳ね上がり、ガマン大会が幕を開ける。
テーブルの上には、レモンサワーとビール。そして、注文した料理が並んだ。
ムカ「ねえ!YUTARO聞いてよ~!カナがこの前さあ~。」
「・・カ、カナ?」
ムカ「私の親友のカナだけど?」
俺とオマエは、「カナ」の話で盛り上がれるほどの仲だったのか?
クイズ形式で話すのはやめて!
「う、うん・・その子がどうしたの?」
ムカ「見てこれ。」
そう言ってムカ女は、スマホの画面を見せてくる。
「手・・の写真ですけど?」
ムカ「もう!ネイルだよ!可愛くない?」
「は、はあ。」
「・・それでカナがね。この写真を彼氏に送ったんだって!そしたらなんて言ったと思う?」
「え?・・クイズ形式?」
ムカ「当ててみて!」
ムカ女の「ひっかけ問題」が多すぎて、この試験に合格できる気がしない。
ほんとクイズ形式でしゃべるヤツってなんなの?
「どうでもいい・・。」
つい俺は本音を口走ってしまう。ストレスゲージのリミットが近かったのかもしれない。
ムカ「そう!正解!彼氏に『どうでもいい』って言われたんだって!ソイツ酷くない?」
まさか・・ここで正解をたたき出してしまうとは・・でも心底・・
(どうでもいい)
「あはは・・それは凄く酷い話ですな・・はは。」
俺はビールを喉の奥へ流し込むと、タッチパネルで次のビールを注文した。
ハゲ死す!持ちネタが全く通じない
ムカ「てか・・。YUTAROってなんでずっと帽子被ってるの?」
ここで来たか!この後、高確率で続くのはあの言葉だ。
ムカ「ねえ・・その帽子とってみてよ。」
これは、ハゲを殺す言葉の一つ。※ヅラの人には絶対に言うなよ?
(ふふっ・・若造が。そんな言葉で俺が動じるとでも・・?)
だがしかし!俺には通用しない。これまでに、なんど女の前でご来光を見せて来たと思っているのだ!
俺は、被っている帽子を勢い良く脱ぎ捨てると、
「クリリンのことかー!!」と叫んだ。
これはYUTAROが「人前でハゲを晒す時のネタ」の一つ「クリリンのことか」である。
(※詳しくは「悟空 最初 スーパーサイヤ人」あたりで検索してくれ)
シーン・・。「笑笑」から笑いが消えた・・だと?
ムカ「いや・・クリリンことじゃなくて、YUTAROのことでしょ?」
(ああ・・この子・・冗談が通じない。)
ドラゴンボール世代なら捧腹絶倒だぞ?
「これならどうだ!太陽拳!太陽拳2乗だ~!」
店員「ビ、ビールお待たせしました。」
グッドタイミングでビールが届く。ハゲ死す。
クリリンはな・・もう生き返れないんだぞ?
ハゲを晒すとその人の性格がわかる!
俺は帽子を深々と被った。
ムカ「ねえ・・もうちょっと頭見せてよ。」
言われるがまま、俺は再び帽子を取った。
もう・・いいんだ。顕微鏡でも持って来いよ。
ムカ「ああ~結構キテちゃってるよね。てかハゲてたんだ。」
「ヒューヒュー・・心が酸欠。」
ちなみにハゲが頭皮を晒す時にこそ、人の性格と言うものが良くわかる。
- 「坊主にしてるんだね。」
- 「言うほどハゲてないじゃん。」
- 「私、ハゲでも構わないor嫌いじゃないよ。」
嘘でもそう言ってくれる女性は気遣いができたり、思いやりのある子が多い。あとキャバ嬢に多い。
そう言って頂けるのであれば、ハゲはきっとあなたを「心友」として大事に思うだろう。ソ〇トバ〇クの料金も下がるかもしれない。
偏見の目に晒され生きてきた「若ハゲ達」は優しい言葉に弱いのだ。
グッバイ!ムカつく女
オブラートに包むこともできない、礼儀知らずのムカ女の言葉によって、俺のストレスメーターはアッサリと振り切れてしまった。
・・そこからは、あまり記憶が無い。
いや思い出したくないのかもしれない。
彼女とは一次会の笑笑で終わったことは確かだ。
その後、岡山の町を茫然とさまよったのも覚えている。
朝起きると部屋の机の上に「蒙古タンメン中本」のカップが空になって二つ並んでいた。
辛い食べ物は「ハゲに良くない」と知っているのに。
とにかく初めてかもしれない。「すっぽかされてたほうがマシ」だと思ったのは。
ーーーつづくーーー
※今回使った出会い系は「ハッピーメール」でした。