仙台でアポ。ほどよい都会感が心地よい
車は福島県へと入った。俺は海岸線を走っている。
常磐バイパスから陸前浜街道に入る。そしてさらに北上していくと小さく煙突のようなものが見えてくる。
あれが福島第一原発。そしてここは大熊町だ。
現在ここは、原発崩壊の町というネガティブなイメージが植えつけられてしまった。
この時はまだ、あの大地震が来るなんて想像もできなかった、こののどかな場所が世界的にも有名になるなんて・・・。
仙台に来た!ほどよい人口密度
長かった6号線。いよいよ杜の都仙台が近づいてくる。
のどかすぎるほどだった田舎道も仙台に近づくにつれてビルやマンションが増えてくる。
ちなみに仙台の人口は100万人程度で、市の面積も狭くないので人口密度が高すぎない。
自然も多いのでとてもバランスのいい街だといえるだろう。
いままで東北地方には何度も来たが、青森と並んで、仙台は出会い系で会った女性が多く良い子も多いので思い入れが深いのだ。
まずホテルで休憩
「とにかく休憩させて・・・。」
近いと思っていたが、実際に200キロオーバーの距離はかなり遠かった。
肩の骨がコキコキとなっている。
明日は青森まで行って青函フェリーに乗る予定だ。とにかく今日は観光客さながら、この杜の都を楽しもう。
すり減ったHPを回復させるのは宿屋だ。俺はとりあえず街中にホテルを予約した。
チェックインを済ませ部屋に入ると先ずは風呂だ。
包茎なので清潔にしておかないと、異臭騒ぎになっていろいろヤバい。
今日のアポで女性と体の関係になるかもしれない。チ〇コは特に念入りに・・。
仙台女子のご紹介
では、今日の相手のご紹介を
--伊達子--
年齢:20代前半
出会ったサイト:ハッピーメール
コメント:
久々の仙台アポということで腕がなる。これで仙台で出会うのは三人目か四人目だ?
伊達子とのメール期間は約一ヶ月。
出会い系でメールのやりとりを開始して一ヶ月というのは、二人の関係もほどよく熟している時期だ。
伊達子は自分に自信があるようで、ハピメでのプロフィールの自己採点は高めだ。
メールの感じからは、すこしワガママでキツめな印象をうける。
何度か写メ交換を切り出したが、写メは送ってくれないので、画像をもらうのはあきらめた。
もしかすると結構警戒心が強いのかもしれない。
「ワガママで警戒心が強いだと? こんなじゃじゃ馬は攻略のしがいがあるってもんよ!」
俺は先入観で勝手に決めつけていく・・。
「さっ!乗りこなしに行きますか?」
待ち合わせ場所は仙台駅
※仙台駅東口です。
ホテルを出て仙台駅へ向かっている。駅の近くのホテルなので移動は楽だ。
「ちょっと冷えるけど思ったほどじゃないな。」
東北といえど体感温度は東京とたいして変わりはない。
実際に仙台市では真冬の間でも最高気温の平均はマイナスにはならないし、最低気温もマイナス1~2度の間でさして寒いとは言えない。
五分ほど歩くと、仙台駅東口の入り口が見えてくる。
仙台駅前は、仕事終わりの帰宅ラッシュで賑わっていたが、東京の異常なほどの人口過密ぶりを体験した後なので、それほど人が多いとは感じなかった。
仙台のほどよい都会感はとても住みやすそうだ、次の移住地に選びたくなるようないい街だ。
「ペデストリアンデッキのロフト前?」
「待ち合わせ場所どこにしよっか?」
俺は今日のアポの相手へとメールした。
伊「うーん・・じゃあ仙台駅のペデストリアンデッキのロフト入り口あたりがいいかな?」
「ぺ?ペディグリィ?」
なんじゃ?その「犬のエサ」見たいな響きは?常連さんか?
伊「それはワンちゃんのエサでしょ!知らないの?仙台駅前にある歩道橋の大きいバージョンみたいなのだよ。」
「ああ・・あれね。」
仙台に行ったことがない人のために説明すると、仙台駅西口から広くながーい歩行者通路が伸びている。
ペデストリアンデッキとは、歩道橋のでっかい版という言葉がしっくりくる、幅広の歩行者回廊のことで、まさしく車道の上をまたぐように設置されていることが多い。
※↑これのことやで!
ちなみに仙台のペデストリアンデッキは日本一の規模を誇り、駅周辺のデパートなどと繋がっている。
ペデストリアンデッキを歩いて、待ち合わせ場所の「ロフト前」に到着。
(ぐぬうう!やべえパワーだ!)
今日の俺は体調も万全。自らの内側からこみ上げる弾けんばかりのダークフォースを必死で抑えていた。
直訳すると「楽しみ」なのである。
長い道のりを超えてようやくたどり着いた仙台。最初にして最後の都会。
飯もうまいし、酒もうまい。今日は日本酒をクイッといっちゃいますか?
仙台はブスが多い。日本三大ブスの産地
伊「あと少しで着きます。」
メールが来た。もうすぐに彼女と合流することができそうだ。
早めにホテルを出てしまったせいで、予定していた待ち合わせの時間まであと10分もある。
YUTAROは周りをキョロキョロしながら人間ウォッチングをはじめた。
「あれえ?なんか変だな?」
ブスブス・・・今日はやけにブスが多い。カップル達も歩いている女性もブス率が高い。
(どうしたの?仙台。)
実は仙台は日本三大ブスの産地と呼ばれている。三大ブスの産地とは、
- 仙台
- 名古屋
- 水戸
この3つだ。なぜそう言われるというと、
江戸時代に各藩(仙台藩・水戸藩・尾張藩)の殿様が美人を全て江戸に連れて行ってしまったという逸話がある。
しかし江戸時代当時の美人(薄い顔)と現在の美人は全く違う。だからブスが多いというのは一概に当てはまらないはずだ。
三大ブスの産地には本当にブスが多いの?
全国をこよなく旅して女性と会ってきた俺の経験を語らせてもらうと、三大ブスの産地ではマジで不細工の比率が異常に高い。
福岡から名古屋に来た時はブスが多すぎて絶望したことがあるもん。
可愛い子に会いすぎて目が肥えた
今まで全国出会い旅は何度もやって来たが、今回は神がかっていたと言える。
出会い系を使って女の子と会うという俺の歴史の中で、ここ一ヶ月間に会った女性は奇跡的にほとんどが「かわいいか美人」だったのだ。
日頃美味しいものを食べていると口が肥えるというが、美人ばかりを見ていると目も肥える。だから仙台でブスを多く感じるのかもしれない。
しかしこれはとても不幸なことだ・・俺はイケメンでもなく庶民。
このままでは、ただの理想が高いだけのハゲになってしまう。
札幌に帰ったら彼女すらもブサイクに見えるのではないだろうか?
待ち合わせ場所にブスが来たよ
ロフト前で待つこと10分間、もうすぐ着くと言っていた伊達子はまだ来ない。
東北地方は、美人が多いイメージである。
あの秋田は美人の産地だし、岩手も青森も美人は多い。
出会い系で多く地域の女性と会ってきた俺として、「東北は美人が多い」のを身を持って感じている。
(でも、なぜか仙台ってブスが多いなあ・・。)
目の前を通る女性を見てみたが、たいしてかわいい子を発見できなかった。
それだけじゃなく、ブスがイケメンを連れてイチャこいているのを見ると、俺の中で急激にダークフォースが溜まっていく。
まあイケメンがかわいい子を連れていても溜まりますけどね・・。
人はこれを「嫉妬」と呼ぶ。
まぁでも俺には関係ないか?最近ツイてるし!きっと美人が来るはずだ。
眼の前にチンパンジー似のブスがいる
(・・それにしても、さっきから目の前にいる女はとびっきりのブスだなぁー?俺には関係ないけど・・。)
ん?電話がかかってきてる?
伊「YUTAROさんですかー?待ち合わせ場所着きました!」
美人は周りにいない。そして目の前にいる女が携帯を耳にあてている。
(おい!やめろ!こっちをチラチラ見るんじゃない!)
嫌な予感が止まらない。
伊「あのーもしかしてワタシの前にいる人じゃないですか?」
彼女の口の動きが電話越しに聞こえる日本語と合致したとき、俺の血の気はスーッと引いた。
ブスじゃねえか!しかも中肉中背の生粋のブスじゃねえか!
誰に似てるかというと・・・
チンパンジーが真っ先に浮かんだじゃねえか!
貧血によろめきながら、なんとか倒れないように足に力を入れる。
「はい。ワタスがYUTAROです。」
通話をオフにすると、大きくため息が漏れた。
溜め込んでいたフォースもあっという間にエンプティだ。
「きっと国には帰れない。」
そしてYUTAROは特攻隊員さながら伊達女にむかっていく。花は散り際が美しい。
生きてるとブスとの遭遇は避けられない。
人間生きていると、必ずと言っていいほど、もれなくついてくるのがブスとのご対面だ。
- 女友達にかわいい子紹介するね!と言われて会ってみたら微妙だった。
- 期待してコンパに行ったら・・そこはブスオンリーの宴だった。
- 電車で痴漢されたと騒いでいる女がいたのでよく見てみるとブスだった。
- 出会い系で女の子の写メがかわいかったので、期待してデートの約束をしたらもれなくブスが現れた。
そう、この世の中には一定数のブスが存在しているのである。
僕たちがこの世界に生きている限り、彼女達との遭遇は避けられないのだ。
出会い系で会ってきた女の中でもトップレベルのブス
それにしても、目の前にいる類人猿はなんだ?
伊「さっきからいるのに、全然きづいてくれないんだもん!ポカポカ。」
「あ、あははぁー。(苦笑)」
かわいい子にされると幸福な気分になることも、ブスにされるととても腹が立つ。不思議なものである。
あと二時間。 いや一時間。俺はこのデートに耐えなければいけないのだ。
妙に車間距離の短い伊達子と接触しないように歩く。
(とうとう運が尽きたか。年貢の納め時だ。)
いままで、この旅で会ってきた可愛い子ちゃんたちとのプラスの貯金を一気にゼロにするかのようだ。
食べログで念入りに調べておいたお店の名前も、しっかりと記憶したはずの店までのルートも思い出せない。
デートはまだ始まったばかりだ。
とにかく彼女の容姿は俺のキャパシティを越えていた。 二人はあまり会話をかわさないまま、仙台駅前にある居酒屋に入った。
全国各地にあるその居酒屋は「かぐや姫」をイメージさせている。
「なにのむ?俺はビールにする。」
伊「えっとーカクテルにしよーかなー?カシオレンジ? 的な?」
コイツはなぜ疑問系なのだろう。開始10分でうんざりとした気持ちになる。
こんなことなら昨日のデートをもっと満喫するんだった。
注文の品が全て出揃う前にYUTAROはビールジョッキを三杯開けた。顔が熱くなっているのを感じはじめている。
もう酔ってしまうほかない。潰れてしまってもかまわない。
「唐揚げお待たせしましたー! 」店員がアツアツの唐揚げを持ってくる。
(・・・可愛い子いるじゃない?仙台にも。)
店員の女の子が佐々木希に見えた。
発想の転換!B専になれ!
俺は運ばれてきた唐揚げをほうばった。
「あちっ!あちっ!」
じゅわっと流れ出る肉汁が唾液をさらに分泌させる。
ん?待てよ? YUTAROは考えた。
この肉も元は白い羽を持つ美しい鳥。調味料を混ぜ、油であげることで見た目は決してキレイとは言えない茶色の物体になってしまった。
しかし口に入れると こんなにもうまいではないか?
成功した偉人たちは口をそろえて言う。発想の転換が大事だと。
B専とは「誰もが口を揃えてブスと言うような顔を可愛く思ってしまう病気」のことで、人を見た目で判断しない素晴らしい人のことだ。
(俺もひとつ上の段階に行く時が来たか。)
4杯目のビールを流しこむと「ちょっとトイレに行ってくるわ」と席を立つのだった。
ジョロロロ・・。用を足しながら
「伊達子はかわいい。伊達子はかわいい。かわいい。かわいい。俺のタイプ。」 呪文のようにとなえる。
「よし!いくか! 」不思議なほど、爽やかな気分だ。
トイレを出ると再び伊達子のいる席に向かって歩く。
「ただいま!」
ハツラツとしたら声に自分でも驚いた。きっと自然に笑えていたと思う。
伊達子は下を向いて携帯をいじっていた。下を向いていた彼女がこちらを見あげた。
・・・・やっぱりチンパンジーがそこにいた。
急にはB専になれないみたいだ。