「んしょんしょ!…坂キッツイ!」
俺は彼女の家にむかって、必死でチャリをこいでいる。交通費を節約するために。
もう9月の半ばだが、まだまだ夏の暑さが残っていて、今日も30度越えだ。
Tシャツは背中にべっとりと張りつき、アチチアチな太陽が容赦なく降り注ぐ。
あぁ、俺のハゲ頭が焦げている。
金がない。そんな時は「おうちデート」がありがたい。
さて、今日は衛生女の家でご飯を食べることになっている。
俗に言う「おうちデート」というヤツだ。
俺はわけあって金がない。
財布の中には5千円札が一枚だけで、孤独に打ちひしがれている。
(…マジで宝くじ当たんねえかな?)
そう願ってる時の家デートは実にありがたい。
ご飯代も浮くし、店選びに悩むこともない。なんとホテル代もかからないのだ。
「金も無いのにデートをするな。いい大人が情けない。」
画面の向こうから、そんな声が聞こえてくる。
(ハァ?知らねえよ。無い袖は振れねぇのよ。)
見栄をはって、女の子におごりつづけた結果がこのザマだ。つまり自業自得なのだ。
そんな情けない俺に「今日さ、家に遊びに来ない?」と誘ってくれたのが衛生女なのだ。
ありがたや。ありがたや。次はちゃんとするから。
俺たちはまだ付き合ってない
俺たちはまだ付き合っていないが、だいたい月2回のペースで会っている。
彼女から「付き合って」とか「私たちどういう関係?」のような、一歩踏み込んだ発言も出てこない。
はたから見れば「セフレ」だろう。だけど俺的には「友達以上恋人未満」な関係だと思っている。
その違いはイマイチわからないけれど、そのあやふやな関係性はとても気楽で…クセになる。
付き合ってない時が一番楽しい
(どんな手料理が出てくるのだ?ちゃんと酒は買ってあるのか?)
俺は期待に胸をふくらませながら桜坂を六本松方面へ下っていく。
おうちデートは「まだ付き合っていない時」が一番楽しいと思う。
例えば、俺と衛生女のような
- 月に二回だけ会う関係。
- 付き合うかどうかの瀬戸際な関係。
そんな関係性だからこそ、
「お家泊まって来たお~♡ドキドキしたお~♡」
という感覚にどっぷりと浸ることができる。(※クズ男目線です。)
家デートのしすぎはデメリットになる
だけど恋人になって週に4回会うようになると、家のデートは一気に色あせてしまう。
付き合って半年もすれば、
彼女「てめえ、いつも家ばっかりじゃねえか。そろそろシャバに連れ出せや!」
彼氏「セックスしたから…そろそろ帰ってくんねえかな。」
とマンネリの代名詞になってしまうのだ。
同棲なんてしようものなら、家はただの「生活の場」になる。
そうなると「デート」ですらない。もはや、ただの家だ。
だから、おうちデートは「たまにする」のがちょうど良い。2回に1回くらいがちょうど良い。
「今日は泊まります」気楽に過ごせる彼女の家
ピーンポーン!ガチャリ…。
衛「ヘイ!らっしゃい~!」
俺がドアを開けると、衛生女が玄関に立っていた。
「これ…おみやげ。」
彼女にビールとアイスの入ったコンビニ袋を渡す。
衛生女はビール以外の酒が飲めない。だから酒は全てビールだ。
衛「てか汗すごいやん。どうしたと?」
「…ここまでチャリで来た…。」
衛「え?もうオッサンなのに?」
「汗臭いからシャワー浴びたい。お風呂入っていい?」
人の家で風呂を借りる。心を許せる相手だからこそできる所業だ。
俺は冷たいシャワーを浴びながら、高そうなボディソープを全身に塗り込んで、汗と加齢臭をそぎ落していく。
こんなことができるのは今のうちだ。付き合いが長くなれば、きっと雷が落ちるだろう。
「お風呂ごちそうさまでした。」
衛「え?もうパジャマに着替えたと?」
「コレ…パジャマ‥チガウ。ステテコ。」
衛「なんで片言なんよ?」
「せっかくだから泊めてもらおうと思って。」
衛「え?今日泊まってくと?」
「…ダメ?」
衛「だ、ダメじゃないけど…。」
「じゃ決まり!さっそくビール飲もうぜ。」
二人で乾杯して、テレビを見ながらダラダラと過ごす。
ふわふわのラグの上に寝転びながら「ホークスの優勝でも見守ろうか?」という態勢になっている。
彼女はあいかわらず無表情で口数が少ない。だけど不機嫌なわけじゃない。いつものことなのだ。
出会ったばかりの頃はツンとしていて、いろいろ気を使ったけれど、
「そういう性格」とわかってからは、ムダに話題をふらなくていいから気楽だ。
下手な料理を作るより、出前で全然OKっす。
「そろそろ腹が減ってきたな…。」
俺はわざとらしくつぶやく。
「じゃあご飯作ろうか?それともおつまみが良い?」
そんな言葉が返ってくるのを、俺は期待していた。
衛「それじゃ、出前でも頼もっか?」
(知ってた。キミが自炊をしない女だってこと。)
キッチンを見ればわかる。
使用感のないフライパンやアルミ鍋。
キャベツも乗らない小さなまな板。
ベストポジションに堂々と居座っている電気ケトル。
食器置きにはコップが一つだけ。
(あんたコンビニ弁当か、カップ麺しか食ってねぇだろ?)
そう思ってしまうほど、生活感の無い台所。
でもいいや。下手な料理を食わされるより、出前で全然OKです。
「…出前のチラシかなんかある?」
衛「あ!きのう捨てちゃった。下のポスト見てくるから、ちょっと待ってて。」
衛生女が玄関を出る。そしてすぐに戻ってきた。
衛「ほらほら大量ですよ。」
そう言って彼女はチラシの山を渡してくる。
このチラシの量を見るに、郵便物をほとんどチェックしないタイプだ。
衛「ねぇ、どれにする?」
「そうだなぁ…このマンションとかお買い得じゃない?」
衛「でも築25年だよ…ってちゃうちゃう!」
始めてのノリツッコミに感無量。
俺たちは出前投票を重ねた結果、ピザが当選した。
彼女は照り焼きチキン派で、電話をかける役目は俺だった。
おうちデート最大のメリット「思い立ったらイチャイチャできる」
俺たちはビールをあおりながら、宅配ピザが届くのを待っていた。
注文が混みあっていて、到着には60分以上かかるらしい。
衛生女は俺の肩にもたれかかりながら、退屈そうに女性誌のページをパラパラとめくっている。
(お、重いんですけど…)
彼女の白く細いうなじ。微かに動く喉仏。
そして色気のないユ〇クロの黒いブラトップが、たわわに実ったEカップを窮屈そうに包んでいる。
開いた胸の谷間には、大きな桃がどんぶらこ。
俺は強い衝動に導かれるように、その谷間に手をツッコんだ。
大きな乳房の先に、何かがツンと主張している。俺は「ツン」を指先でクリクリとこねくり回した。
衛「もう!なにすんの?」
彼女はくすぐったそうに身をよじらせて、俺を肩にワンパンをかます。
「性欲解放宣言!」
気がつけば、俺は彼女をラグの上に押し倒していた。
そしてユ〇クロのブラトップを乱暴にまくり上げ、その白い乳房を犬のように舐め散らかしていた。
思い立ったら、思うがまま、イチャイチャし放題。
これこそ家デートの醍醐味であり、最大のメリットである。
「あ、エッチしたい。」と思ったら、サッと挿入。
エッチを終えて汗をかいたら、スッとシャワーを浴びる。
天国のようで、ボ〇ギノールのようなデート。
それがおうちデートだと思います!
俺はそのまま彼女の下腹部へ手を伸ばしていく。そして恥骨のあたりを手のひらでマッサージする。
ツボに入ったのか、彼女は俺のTシャツをギュッと握りしめながらビクビクと反応している。
衛「あん!…ピザが来ちゃうよぉ…。」
「大丈夫!俺、早漏だから。」
衛「じゃあ…エッチするぅ?」
彼女そう言うと、ステテコの上から俺の息子をなで始めた。まずは早漏を否定してくれ。
(ピザが届くまで30分くらいか?時間余るな。)
こうして「ピザ届くチャレンジ」はスタートを切った。
こんなアホなこと、おうちデートだからこそできるのだ。