出会い系で知り合った広島の女の子から連絡
「あついなあ・・」
多忙な8月が終わり、9月に入る。
9月と言えども、30度を超える日はまだ続く。
ピロリン!
そんな秋の始まりに、YUTAROに一通のメッセージが届く。
最近はガラケーからスマホに変えて、女の子とのやりとりもLINEがメインになった。
新しく知り合った女子も、LINEのサブアカウント(スマホは二台あるため)に集中している。
だからメールボックスのチェックはすっかり怠っていた。
「メールとか珍しい。誰だろ?」
存在感の薄くなった「メールボックス」を開く。送り主は「鯉女」とある。
(・・誰だっけ?)
記憶の中から、その名前の主を思い出すのに、少しのタイムラグが発生する。
「鯉女?鯉女・・思い出した!」
懐かしさと嬉しさで、ひとり部屋で叫ぶ。
鯉女は福岡に移住する直前に、広島で出会ったジムのインストラクターだ。顔は元シンクロ選手の青木愛に似ている。
名前 | 鯉女 |
年齢 | 20代半ば |
出会ったサイト | ワクワクメール |
2011年出会い旅の時に出会った広島ガール。職業はジムのインストラクターをしている。めっちゃ明るい性格で気配りもできる。俺の女性恐怖症の改善に貢献してくれた女の子。 |
あの頃の俺は・・女性恐怖症だった。
今ではそれも克服して、クズ男っぷりに磨きがかかっている。
名古屋から福岡に移住したことは、彼女にも伝えてある。
当時は「近くなるね!」と喜んでいたし、会いに行こうと思っていたが、福岡での生活が濃すぎたため、結局おざなりになったまま忘れていた。
気がつけば一年半もの時が過ぎていた。
(結婚でもしちゃったかな?その報告だったりして。)
出会い系で知り合った女の子は20代が多く、数年も経てば高確率で結婚してしまう。
俺は恐る恐るメールを開いてみた。
野球観戦のお誘い
鯉「YUちゃんお久しぶり☆広島には遊びに来ないの?広島対中日戦のチケットを貰ったの!しかもカープのユニホーム貰えるやつ!一緒に見ようよ!だから広島においで♪」
彼女は典型的なカープファン。妙にハイテンションなのが気にかかる。
(もしかして・・今、広島強いの?)
さっそくネットで順位を調べるが、2012年の広島カープは「定位置」と呼ばれていたBクラスだ。
「でも・・野球観戦も面白そうやな。」
カープの本拠地で野球を見れるなんて滅多にあることじゃない。
それよりも鯉女に久しぶりに会いたい。
「もちろん行く!いつ?楽しみ過ぎるっす!」
俺は二つ返事で、彼女の誘いにOKを出した。
その日からカレンダーの日付が進んでいくのが楽しみになった。
のぞみに乗って福岡から広島へ
広島へ行く日がやってきた。午後3時。博多駅に到着。
「今から新幹線に乗るから!」
鯉「気を付けて来てね!広島駅まで迎えに行くね。」
九州発の「のぞみ」は博多が出発駅になるため、比較的席が空いている。混んでくるのは広島駅あたりからだ。
広島までは1時間弱で着くので、自由席で充分。
「ああ・・久しぶりの旅の感覚・・。テンションあがるぜ!」
福岡に住んで一年半。久しぶりに九州から出ることに、ウキウキが止まらない。
プルルルルルル!発車のベルが鳴る。
新幹線の車窓から見る景色が、凄まじい勢いで後ろへと流れていく。
見慣れてきたはずの福岡の景色も、新幹線からだとまるで別物だ。
収穫を控えた田んぼの稲は、黄金色に光ってとても綺麗だった。
小倉へ到着し、次は新山口へ。
東海道新幹線の、のぞみが静岡県を丸ごとすっ飛ばすことを考えると、政治の匂いがプンプンする駅だ。小倉じゃダメですか?
さすが山口県。多くの総理大臣を輩出しているだけある。
そんな新山口から一気に広島駅へ。
わずか1時間ほどの移動を楽しむと、俺はめでたく広島の地に降り立った。
「広島着いたたっス!」
嬉しさでメールもミスって送ってしまう。
鯉「はーい!新幹線の改札前で待ってるよ!」
改札を出ると、見たことのある女性が、こっちを見て微笑んでいた。
俺は少しむずかゆい気持ちになって、彼女に手を振った。
一年半ぶりの再会に感動
「久しぶりだねえ!」
鯉「よくぞ広島に来てくれました!」
一年半ぶりに彼女と再会できたことに感動だ。人の縁は思わぬところで繋がっている。
「迎えに来てくれてありがとうね!おじさん嬉しか♪ほれ!これ博多のおみあげの通りもん♪知っとお?」
鯉「うわあ!福岡弁だ!すっかり福岡の人になっちゃいましたね!」
「福岡弁っていうか博多弁かな? 前はどんな感じだった?」
鯉「・・名古屋弁だったような。」
「覚えてないじゃん(本人も覚えてない)」
俺はもともと現地の方言に影響されやすい。
知らない間に博多弁(まだエセだけど)っぽくしゃべってしまっていたようだ。
プロ野球の試合開始までは、まだ時間がある。
広島駅から「マツダZoomZoomスタジアム広島(カープのホームグラウンド)」までは歩いて10分ほどで行ける距離だ。
一年半ぶりに再会を果たした二人は、駅のスタバでお茶することにした。
「改めてお久しぶり~♪」
鯉「乾杯!」
二人でカップを軽くぶつける。
【量産型の顔】初めて会った気がしないらしい
鯉「私たちほぼ初対面なんだよね?YUちゃんってそんな感じがしない。」
「ああ・・初めて会った気がしないって良く言われる。似てる人が多いとか?ほら俺は量産型の顔だから。」
ザクすぎて辛い。彼女はガンダムだろうか?
鯉「えー!確かに似てる人は多いかも?今日も改札で何人か間違えて声かけそうになったし・・。」
「量産されすぎいい!オカンもびっくりだわ。」
ドッペルゲンガーに気をつけねばなるまい。これじゃ命がいくつあっても足りねえ。
野球観戦デートって楽しい!オススメ!
鯉「これ今日のチケット。ユニホームTシャツと引き換えてもらえるの♪」
「ありがと!でもホントにお金払わなくていいの?」
鯉「もらったチケットなんで大丈夫☆」
鯉「今年もあと少しで終わっちゃうね・・。(遠い目)」
「え?まだ三ヶ月以上あるけど?」
鯉「(プロ野球の)公式戦のこと。」
「ああ・・確かに。今年もカープはアカンかったなあ・・。」
鯉「試合前にそんなこと言わないの!ひいきのチームを応援するのが楽しいんだから!チーム育ってるから近いうち絶対に優勝しますよ!」
「ほほう・・それは楽しみですなあ(カープが優勝だってw)」
この数年後、カープが本当に優勝するとは思ってもいなかった。
これもカープファンの応援あってこそなのかもしれない?
それにしてもキラキラした目で、カープの魅力を語る女子はぶち可愛い。
「広島駅の近くにホテルとっとるけん、チェックインしてきていい?」
とりあえず予約したホテル(ちょっといいヤツ)へと向かう。
チェックインさえしておけば、遅くまで飲んでも、すぐ眠ることができる。
次にこのホテルに戻る時は、一人じゃなく、二人がいいな。
マツダスタジアムへ
俺達はたくさんのカープファン達と一緒に、MAZDAスタジアムに向かっている。
「今日の先発だれ?」
「マエケンが投げるらしいけぇ勝ちじゃの!」
ファンの間ではこんな会話が交わされている。
球場が近くなると、広島の選手を紹介した看板がかかっている。熱狂的なカープファンは、それを見て士気をあげることだろう。
そんな中、青いユニフォームの1団を発見する。
あれは、きっと熱狂的なドラゴンズファンだ。
鯉「YUちゃんは中日ファンでしょ?広島対中日戦なんて運がいいよね!いっぱい叫んで盛り上がろ♪」
今は、球団側も球場に客を呼ぶために、いろいろと試行錯誤する時代だ。
マツダスタジアムでは、バーベキューをしながら野球観戦ができるらしい。
今回の「応援ユニフォーム付きのチケット」も集客力を上げるための作戦なんだろう。
「ようやく着いたね。・・はよビール飲みたい。」
鯉「早く席に座って1杯やりましょ♪」
「くー!楽しみ!」
鯉「とりあえずユニフォームもらってきますね♪」
鯉女が持ってきてくれた、ユニフォームTシャツには「MAEDA」と書いてある。
広島が誇る豪腕ピッチャー「マエケン」なのか?2000本安打の「前田智徳(※現在は引退)」なのか?
ニワカの俺にはわからなかった。
カープへ鞍替え、裏切りの中日ファン
鯉「さっそく着てみてくださいよ。」
俺も一応、名古屋生まれの中日ファンだ。
簡単に広島カープの軍門に下るわけにはいかない。
「俺、中日選手のユニフォーム買ってくる。」
鯉「え・・?」
ドラゴンズにとってここはアウェイだ。
敵チームのグッズゾーンは、切ないほど小さい。しかも人気選手のものは売ってなかった。
「・・堂上のユニフォームください(泣)」
俺は「前田」のユニフォームの上に「堂上」を着込んだ。
(・・クソ暑い・・。)
マツダスタジアムの内野応援席に座ると、そこは赤一色の四面楚歌。
その中で、一人ドラゴンズのユニフォームを着ているオッサンがいた。・・俺だ。
カープファン1「おい!そのユニフォーム脱げ!」
カープファン2「兄ちゃんよお!敵地に一人勇敢じゃのう?」
なんてののしられるかと思ったが、広島カープのファンはマナーがいい。
こんなボクでも平和に楽しく観戦できました♪(阪神だったらどうなってたか・・)
選手ごとに応援歌が歌われ、球場は盛大な盛り上がりを見せる。
外野応援団のビリビリとした躍動感がここまで伝わってくる。
投手の前田健太はバッタバッタと中日打者を切り捨てていく。
次第に中日の旗色が悪くなっていく。
広島ファン「うおお!打った!回れ回れ!」
(広島ファン楽しそうだな・・。チラッ)
「カープ!カープ!カープ広島。ひろしま~か~あーぷ♪」
7回には「それ行けカープ」が流れ、スタジアムに赤い風船が飛び交った。
観客が風船を見上げているスキに、俺はこっそりと「堂上」のユニフォームを脱ぎ捨てる。
そしてボクは「前田」になった。
しかし、広島ファンはそれを見逃さなかった。
ファン1「うお!お兄さんいつの間にか前田になってる!」
ファン2「握手じゃ!カンパイじゃあ!」
最低レベルの裏切り行為にもかかわらず、若い男子が盛大にもてなしてくれる。カープファンはみな兄弟だ。
俺・・カープのファンで本当に良かった!(クズ)
マエケンが途中で打たれてしまい、残念ながら勝ち星は付かなかったが、試合はカープが勝った。
一人のクズと優しいカープファンは、その勝利に心から酔うのだった。
夜の試合開始!さあどこで飲む?
鯉「さて街で飲み直しますか?」
「夜の三冠王になっちゃう!」
鯉「oh!キモイ!」
二つの赤いユニフォームが夜の広島へと消えていく。
「球場で試合観戦なんて久しぶりだった!やっぱり生で見るのは雰囲気が断然違いますな!」
俺は興奮した口調で彼女に話しかける。
鯉「うん!野球選手のお尻っていいよね。ユニホーム着てる時は特に!」
「お尻可愛いとか・・同意したらゲイっぽくなるやん。」
鯉「YUさん途中からカープのユニフォームに代えてたし!ウケる!」
「いやあ・・あればアウェイすぎて・・でもカープの良さが分かったような気がする!」
鯉「この浮気症!」
(!?俺がクズだって見抜いてる?)
浮気症という言葉を聞いてヒヤッとしたが、真実すぎて言い訳も思いつかない。
「応援してお腹も空いたことだし、飯はどうする?」
鯉「広島駅の周辺のほうがいいよね?ホテル近いし。」
「そうしてもらえるとありがたいです。」
広島に来る時は、流川とか八丁堀だとか、中心地ばかりだ。広島駅の辺りでは飲んだ記憶がない。
ちなみに広島駅近辺は南区。繁華街があるのが中区である。
鯉「広島駅周辺にもいろんなご飯屋さんがあるから、まかせて!」
鯉女はグルメだ。今日のお店も期待できそう。
鯉「YUさんお魚好きだったよね?お酒もいろいろ飲むから居酒屋のほうがいい?」
「さすが!すごい接待力だぜ!」
彼女に導かれるまま、酒を求めて歩く。
カープファンの集う隠れ家的居酒屋へ。
向かったのは隠れ家的な居酒屋さんだ。店の場所は広島駅の近くにあるが東区になる。
球場から歩いたので、たどり着くまでに結構かかった。(地元感の強いお店なので店名は控えさせていただきます。)
「ユニホーム着たままでも大丈夫かな?」
鯉「大丈夫だよ!このお店はカープの試合中継とか、TVで流してるとこだから!お客さんユニホーム着てる時もあるし。」
(偽カープファンにとって、逆に居心地が悪い気がするんですけど・・。)
店内に入るとこれでもかと言うほど賑やかだった。カープの赤いユニホームを着たお客さんが何人かいる。設置されたスクリーンから試合観戦ができるようだ。
(ガチでカープ推しの店じゃねーか!)
店員「今日はいい試合でしたねー!球場行ってきたんですか?」
鯉「そうなんですよ~今日は勝利のお酒です!」
彼女と店員さんで試合の話で盛り上がっている。
「ぼ、ぼ、僕も福岡から応援しにきたんですよ!ぬはは!」
俺は調子のいいことを言って、少しでもこの空間に溶け込もうとする。
途中までドラゴンズを応援していたことは、口が裂けても言えない。
とりあえずビアで乾杯!
鯉「馬刺し食べたい!」
「まじで?・・ここ広島だよ?」
馬刺しってやつは、店によって当たり外れが激しい。
九州(特に熊本)ならまともなものが出てくるが、ひどい店だと冷凍焼けしたものが、凍ったまま出てきたりする。
ダメな店で馬刺しを食べてしまうと、馬刺し嫌いが1人増えるわけだ。
サラダをパクついていると、馬刺しが運ばれてくる。
恐る恐る一口パクリ。
「あれ?・・美味しい!」
鯉「信用してよ!マズイ店なんて連れて行かないんだから!」
これは精が付くと言うもんだ。(馬刺しばっか食ってんな俺。)
鯉「さーて!そろそろ日本酒飲んじゃいます?」
「待ってました!」
まずは広島の地酒にはじまり、お次は「カープ」の名前を冠した日本酒を飲む。
「ひゃー!しみる!」
美味い飯、美味い酒。そして美女。
獺祭の濁り酒に手を出したあたりで、テンションはマックス。酔ってかなり声が大きくなっていた。
鯉「広島東洋カープの東洋はマツダの前の会社名から来てるんだよ~」
「ほええ~!そりゃズームズームだわ!」
酔うとお泊りアピールが酷い
鯉「 ・・福岡にはもう慣れた?」
「うん!めっちゃ楽しいところだよ!お酒もご飯も美味しいし、今度遊びにおいで。」
鯉「うそ!行きたい!」
「おうおう!家に泊まってってもいいしw」
鯉「あはは・・楽しみ。実は彼女さんと一緒に住んでたりしてw」
「そんなわけ無いじゃん!ぬはは・・。」
鯉「今年中に遊びに行こっかな?」
「もてなしまっせ!てか今日は一緒に泊まってっちゃいなよ。」
鯉「えー!着替えとか持ってきてないし・・。」
・・これはいい反応である。
「コンビニでTシャツとか買えるから!オッサン買ってあげるから。」
酒って奴はいつも俺に勇気をくれる。
千鳥足になりながら彼女とホテルへ
俺達は日本酒をたらふく味わって店を出た。
ここから広島駅まではあまり遠くないが、足元がフラフラとおぼつかない。
鯉「ほら、YUちゃん捕まって。」
「あ・・ああ・・すんません。」
鯉「もう!おじいちゃんみたい!」
・・全国のおじいちゃんに謝ったほうがいいよ?
鯉女に手をひかれ、ゆっくりと歩きだす。やっと手をつなぐことができた。
夜はずいぶん涼しくなった。だけど右手だけが熱い。
途中のコンビニで彼女のTシャツを買うことに。
鯉「泊まるだけだし要らないかも?それよりお茶とかポカリ買ったほうが良い気がする。」
「そう?じゃあドリンクだけにしよっか?」
思ったよりもアルコールが体内を駆け巡っている。これ以上酒を飲むのはやめておこう。
広島駅に近いシティホテルに到着。いつもよりも奮発だけど、ラブホテルへ行くよりは安い。
むしろこっちのほうが、スムーズに連れ込みやすいし、ラブホよりもわざとらしくない。
エレベータで上の階へ。
彼女の手を引いて、自分の部屋の番号を辿っていく。期待で全身がソワソワする。
「えーっと○○号室。こっちじゃない・・。あっちの廊下だ。」
鯉「・・酔いすぎw」
なんとか部屋へとたどり着くとルームキーを差し込んだ。
ドアを開けると、窓からキラキラの夜景が光っている。
(うむ・・ロマンチック!)
インポはバレないように勃起薬を飲んでいる!
二人は無口のまま部屋の椅子に腰掛けて、窓の外を眺めている。
ドキドキしているのは、塩分をとりすぎたから?
「マツダスタジアムはどっちだろ?」
鯉「えっと・・たぶん、あっちかな?」
今日は彼女のおかげで、迷うことなく広島駅周辺を堪能することが出来た。方向音痴として感謝しかない。
(次の広島旅行は、思いつきで街を散策するのもアリだな。)
鯉「はい、お水飲んで。二日酔いの予防。」
(・・嫁に・・嫁になってやろうか!)
胃袋へ水と流し込みながら、俺は心配をしていた。
無事にチ〇コが立つかどうかの心配だ。
射精不全は克服したものの、年齢的にアレの立ちが悪くなっている。
これは中年に差し掛かった俺にとって、無視できない大きな悩みなのだ。
インポッシブルなカマグラミッション
彼女にバレないように、財布の中にあるカマグラ(バイアグラのジェネリック)を飲まなければならない。一刻も早く!
インポッシブルなミッションである。インポだけに。
「ちょっとトイレしてくる。」
俺はそう言って立ち上がった。いい年して財布はケツポケ派。
運気が下がるとか、みっともないとか、落としそうだとか・・。いまだにオカンに言われる。
だけど財布を肌身離さず持っていると、こういう時に役に立つ。
幸いここのホテルは、トイレと洗面所とバスルームが一緒になった「ユニットバス」タイプだ。
カマグラを3分の1ほどかじって・・洗面所の水でゴックンと飲み込む。
後は効いてくるのを待つだけ。
「今日は汗かいちゃったし、お風呂入ろっかな?・・鯉女ちゃんも一緒にどうすか?」
勃起薬を飲んだ俺は、少しだけ積極的だ。
鯉女「え?何か言った?」
「いや・・一緒にお風呂入ろっかなと思って。」
鯉女「うん。ゆっくり入っておいで♪」
あっさりと作戦は失敗する。
エッチの前に風呂は入って欲しい
再びドアを開いて風呂場へ入る。服を脱ぎ捨て、シャワーの水栓をひねる。
「ハウッ!!つめたッ!!」
まだお湯になってない液体が勢いよく胸へとかかった。カマグラを服用している心臓には大きな負担だ。
(モコモコ・・。)
頭からつま先までボディソープで泡にまみれながら、ついでにゴシゴシと歯を磨く。
「よし・・と。」
シャワーでしっかりと泡を落としてタオルドライ。
「んおお!?」
タオルの刺激だけで、息子が元気になってしまう。やはりカマグラはいい仕事をする。
(この勢い・・大切にしたい・・。)
腰にタオルを巻き。バスルームを後にする。
窓際に座っている彼女へ近づき、後ろから抱きつく。
俺は下半身の「第二の脳」に支配され始めていた。
鯉「ん・・いい匂いする。」
彼女の首筋に指を這わせつつ、胸元のわずかな隙間へともぐっていく。
膨らんだ乳房の感触を確かめながら、小さな突起物を探し出す。
コリコリ・・コリコリ・・。
鯉「んっ、あっ・・。」
彼女はビクビクと体を震わせる。恥じらいの混ざった、この仕草がとても好きだ。
彼女の唇にキスを仕掛けるが、無理な大勢になったせいで、俺を支えている左手がプルプル震える。
鯉女の柔らかい唇の感触を堪能し、口の中へと舌をねじ込む。
それを迎え撃つかのように、彼女からも舌が絡みつく。
ニチャニチャと卑猥な音が、第一の脳と第二の脳を刺激する。
「・・ほら。触って。」
腰に巻いていたタオルを取ると、
「もう出番すか?」と愚息がとぼけた顔で俺を見ている。
彼女はそんなダメ息子を右手で優しく包み込むと、ゆっくりと上下に動かした。
(あれえ?めっちゃ気持ちいいよお?)
「イケない期」だった前回とは違い、息子ちゃんの感度がヤバい。中学二年生くらい敏感な時期だ。
今日は長く持ちそうにない。
俺は手っ取り早く、鯉女の上着を脱がそうとする。
鯉「ストップでござる!」
「・・風呂でござるか?」
俺はシャワーグダ肯定派
鯉「うん。シャワーでキレイにしたいでござる。」
「臭いほうがいい。」そういう趣味の人もいるが、俺はまだその領域にはいない。
むしろシャワーグダ肯定派だ。
「タオルはトイレの上の棚にあるから。」
鯉「うん。このパジャマ着ても良い?」
「はいどうぞ。」
しばらくして、小さくシャワーの水音が聞こえてくる。
息子「・・。」
さっきの元気はドコへやら。息子はヘタリこんで沈黙している。
(もう少しだけ・・ドーピングしよう。)
俺はカマグラを取り出し、前歯でかじった。
心臓よ・・もう少しだけもってくれ。
勃起薬は心臓に来る!用法・容量を守ろう♪
カマグラをおかわりした直後、さっきで飲んだ分の効き目が、これでもかと現れてきた。
(ドクドクドク・・心拍数が・・早い。)
・・喉が渇き。鼻が詰まる。眼球が奥から押されているような感覚がする。
アルコールの影響も大きいのだと思う。
さらに「おかわりブースト」が控えているのだ。
強大な力を手に入れるには、肉体へ重いリスクを強いられる。少年漫画の世界でもよくある話だ。
「み、水飲んどこ。(ゴキュゴキュ。)」
俺は少しでも冷静になるために、窓の外から夜景を眺めた。
鯉「お風呂ありがと。お待たせ♪」
その声を聞いただけで、心臓はドクンドクンとさらに脈動を早める。
そしてペニスへ急速に血液が送られていく。
(※バイアグラ系は、性的興奮がないと勃たないらしい。)
ペニス「ギンギンです!」
心臓は悲鳴を上げながらも、俺のペニ公は痛いくらいにいきっている。
これは早めに一戦を終えておく必要がありそうだ。
彼女は少し大き目のパジャマに身を包んでいた。
俺は無言で彼女に近寄り、抱擁とキスをする。
そして、そのままベッドへと押し倒した。
キスを繰り返しながら、パジャマを脱がせていく。
(ほう、ノーパン・・ノーブラですか?)
彼女の引き締まった裸体が、窓から漏れた光でうっすらと映し出される。
心臓の鼓動は一層早まり、頭の血管が締め付けられるような痛みを味わう。
愛撫する指先は下へ下へと進んでいく。そして彼女の秘められた部分へとたどり着く。
(クリをクリック!クリをクリック!)
人生を半分ほど終えた男とは思えないほど、幼稚な言葉を頭に浮かべて、彼女の陰部をクリックする。
鯉「ふうううん♪」
寂しい子犬のようなアエギ声が聞こえる。
(土手をペーロペロ♪土手をペーロペロ♪)
鯉「あふうん♪」
彼女の陰毛が、俺の鼻下を刺激してくしゃみが出そうになる。
鯉女の敏感な部分は、愛液とオッサンの唾液で大変な事になっていた。
第二派到来!
ドギュウンン!
第二派のカマグラが血液中へと投下される。
息子(パパもうやべえよ!)
心臓(俺のがやべえって!)
俺の中で内輪が揉め始まる。
「(死んじゃうから)挿入ていい?」
鯉「・・(コク)」
俺は震える手で息子にゴムをかぶせると、彼女の中へと入っていった。
全身にべったりと汗をかきながら、腰を振る。
「はあ!はあ!はあ!ああああ!んふっ!ぶほっ!」
本当に昇天しそうだった。
正常位からバックへ。わずかなインターバルの間に呼吸を整える。
彼女の引き締まったお尻は、ハート型に盛り上がっている。
視覚的影響によって、心臓はさらに鼓動のスピード高めた。
パンパン!パンパン!
鯉「ああん!ああん!」
インストラクターという職業柄、彼女の喘ぎ声はリズミカル。インドの映画のようだ。
(もうちょっとでイク・・逝グ!)
「ひゅう!ひゅうう!」
もう少しなのに、酸素不足で逝けない。
「う・・上に・・乗って・・もらっていいかな?」
鯉「・・(コクリ)」
デジャヴった!これは前回と同じパターンだ!
俺は彼女に「セックスダメな人」のレッテルを貼られているかもしれない。
俺はベッドに倒れ込んだ。背中の汗がシーツに張り付く感覚を覚える。
彼女は筋肉質な太ももを、たくみに利用してピストンを繰り返す。
(ああ・・楽だわこの体勢・・。)
まるで精密な機械部品になったように、二人はかみ合っている。
(あれ?・・イクわ・・。)
ドクドク・・まるで大量の血液が放出されているようだった。
サヨナラ広島。名残惜しい別れ。
カマグラを飲み過ぎたせいで寝つきは良くなかったが、彼女の可愛い寝息を聞いているうちに、俺はまどろみの世界へと落ちていった。
意識が途切れる寸前、今日の出来事が走馬灯のようによぎる。
鯉女との一年半ぶりの再会。
マツダスタジアムでのプロ野球観戦。
旨い飯と広島の地酒。
命がけのアバンチュール・・。
それは半日も経たない間に起こった出来事だった。
(・・なんだか不思議だね。)
頭痛がする。朝起きると軽い二日酔いだった。
ホテルはチェックアウトギリギリまで滞在するのが俺流。
二人でイチャイチャしながら、ワイドショーでも見ていると、あっという間に時が過ぎていく。
帰る前にカフェで遅めのモーニングを取ることにした。
「福岡も絶対遊びに来てよ!ご飯もお酒も美味しいからさ!」
俺はコーヒーをすすりながら、熱弁している。
鯉「それ10回くらい言ってるしwそうだなあ・・今年中にはお邪魔しよっかな?シフト制だから都合が合えばだけど。」
「絶対予定空けるわ!ウチ泊まってって良いから!」
鯉「・・楽しみにしとくね!」
モーニングを終えると、新幹線の切符を買って改札口へと向かう。
昨日、彼女に出迎えてもらったこの場所で、見送ってもらうのがとても切ない。
「ホント博多に来て・・ウチ泊まってって良いから!」
鯉「11回目ですよw (しつけえなあ・・)」
改札を通り、振り返る。
「ほな!また!」
俺は大きな声で、なぜか関西弁で別れを言った。
鯉女は人混みに紛れて、小さく微笑みながら手を振っていた。
新幹線を待っている間に、キヨスクで広島名物「あなごめし」を購入した。
特に腹は減ってなかったが、広島に行ったという余韻を、博多へ持ち帰ることができる。
発車のベルが鳴る。
「さよなら広島・・カープの球場は・・えっと・・どこだ?・・てか!はえーな新幹線!」
新幹線のすさまじい加速は、広島の街をあっという間に後ろへ消し去って行く。