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彼女にとって俺の存在はなんだったのか?

切羽つまった俺は彼女との「つながり」を模索する。

彼女が帰ってこない。そして連絡が取れない。これってマジでヤバイ・・。

パニックに陥ったが、なんとか考えをめぐらす。

そしてようやく実家の電話番号が記載された彼女の母親からの手紙を発見した。

彼女に結びつく手がかりをようやく見つけることができた。

 

「はい・・○○(大阪子の苗字)です。」

 

受話器の向こうで女性の声が聞こえた。

少し甲高い関西弁だがどこか上品そうな声だ。少し大阪子の声に似ているような気もする。

「あの・・あの・・」

母「はい?」

「はじめまして・・私、YUTAROと申します。」

母「はあ・・。」

なぜだろう俺の名前を聞いてもあまり反応がない。どういうことだろう・・。

普通であれば「娘がいつもお世話になってます」だとか「お話は伺ってますよ。」なんて言葉が出てくると思ったが、「はあ・・」には肩透かしをくらった気分だ。

俺の存在って一体・・?

「えっと・・大阪子さんとお付き合いさせていただいているものなのですが・・」

母「え?お付き合い?そうなんですか?」

おかしい。俺と付き合っていることはもちろん、子供ができて結婚することは実家に帰った時に「聞いている」はずなのだが・・。

大阪子の母親の反応に思いがけず動揺する。そして、何を話したらいいかわからなくなった。

「あの・・札幌に一緒に住んでいた者なんですが。」

母「札幌に住んでいることは大阪子から聞いております。」

「・・もしかして僕と住んでいたことは聞いていませんか?」

母「聞いてません。てっきり一人で住んでいるものだと・・。」

大阪子の母の言葉にぐるぐると脳みそがかき混ぜられる。

「えっと・・それでは娘さんから連絡はいってませんか?昨日か今日くらいに。」

母「・・きていません・・けど。」

少し怪しむような声で母親は言った。その結果を聞いて、YUTAROはガックリと肩を落とした。

やはり大阪子は母親や実家にも連絡はしていないようだ。いよいよ事件は「迷宮入り」になろうとしている。

母「その・・YUTAROさん?娘になにかありましたか?」

「・・何から話していいのか・・僕と結婚することは聞いていますか?」

母「結婚!?」

俺は、次第に声が震え、指先がブルブルと痙攣しだした。

「聞いていますか?」

母「聞いてません!」

なんなんだ!アンタは!というような声で母親が強い口調は返ってくる。

非常識かもしれないが、気持ちを落ち着かせるためにタバコに火をつけた。

ちなみにこの出来事は、今でもトラウマになっている。

「それでは、娘さんが妊娠したことは聞いていますか?」

母「妊娠んん!?」

目の前が歪んでいく。俺はもう立っているのがやっとだった。

母「意味がわかりません。あの・・わかりやすいように教えていただけますか?」

「はい・・僕も何がなんだか混乱していまして・・うまく説明できないかもしれませんが・・」

俺は大阪子の母親に事の詳細を説明した。

付き合っていること、札幌で同棲していたこと、妊娠したこと、そして名古屋に住むこと。

母親がどこからどこまで「知っている」のかわからなかったので全部を話した。

大阪子の母親も突然のことでかなり混乱したと思う。ただ、ある程度は理解してくれた。

「ということで新千歳から名古屋への便に乗っていなかったんです。急に連絡も取れなくなっちゃって・・。」

母「そうでしたか・・うちの娘が・・申し訳ありません。一度私から連絡してみます。・・ダメなら・・・そういう機関に相談してみます。」

「お願いします。・・最近まで実家のほうに帰られてたと思うんですけど、彼女に何か様子がおかしいところとかありませんでしたか?」

そして母親は怪訝な声で言った。

「え?ウチにですか?帰ってきていませんけど?ずいぶん長い間。」

全ては嘘だった・・彼女にとって俺の存在とは一体なんだったのだろうか・・。

 

続く➡ウチの彼女、尋常じゃなく虚言癖があるんですう~