まずは高塚地蔵尊へ向かうことに
筑紫女を実家から回収した俺は、こっそりと危険エリアを脱出した。
今回のメイン目的は日帰り温泉だ。
向かうは大分県の日田。大分というと九州北部の東側にあるイメージだが、日田市は福岡県との県境に近い。
水がキレイな場所として知られており、渋めの温泉地の天ヶ瀬温泉やサッポロビール工場なんかがある。
日帰りのドライブスポットとしてはなかなかオススメ。
筑「YUさんお久しぶりです!沖縄以来ですね!」
「うん・・海外旅行はどうだった?」
1ヶ月の期間が空いたせいか、それともその間にいろいろあったせいかわからないが、彼女の目を見て話すことにわずかな緊張を覚える。
筑「めっちゃ楽しかったよ!アメリカの友達とか久しぶりに会って騒ぎまくりました!あっこれスペインのお土産!」
とある事情で外国人の友人が多い筑紫女。
海外旅行も平気な顔でいける辺り、やっぱり俺とは歩んできた世界がずいぶん違う。
全国出会い旅で国内なら高知以外は全部行ったけど、海外旅行なんぞ未知の世界だ。
この頃の俺はパスポートすら持っていなかった。
筑「運転中だから後でお土産渡しますねwあと旅行の写真も見てね☆」
以前よりも日焼けした彼女はより明るい性格になった気がする。
「いきなり温泉に行く?それともご飯?」
筑「うーんまだお昼には早いし・・あっ行きたいとこあるんです!」
「え?どこ?」
筑「高塚地蔵尊ってとこなんですけど・・。知ってます?」
・・知らん。
この頃は全国的なスピリチュアルブームで神社仏閣系のスポットもよく取り上げられたりしていた。
「よし!とりあえず行ってみよう!」
行き先をナビに打ち込む。正確には高塚愛宕地蔵尊のようだ。
キャッキャと横で笑う筑紫女の声を聞きながら、福岡と大分の県境のうきは市を越えて、日田市へと入る。
山間を筑後川(途中から三隅川)が流れていて、その脇道(国道210号)を走る。
なかなかいい景色だけど、ほとんどが山なので人が住めるような土地は少なそうだ。
くねくねと川沿いを走ると、日田の市街地も、サッポロビール工場をも越え、山道へ。
しばらく登ると見えるのが「高塚愛宕地蔵尊」・・の駐車場。
「ふええ・・ここ登るんや・・。」
境内は山中にあるので階段&坂を登る必要がある。
筑「楽しそうですね!早速登りましょ♪」
メインの境内は山の中にあるので膝をパキパキさせながら長い階段を登っていく。
彼女の手を引いているのではなく、彼女に引かれているのが俺だ。
坂の途中ではお土産屋のおばちゃんが声をかけてくる。
中をのぞいてみると、大分名物「ゆず胡椒」、妙に見かける「どんこ(干し椎茸?)」、謎の食い物「ゆで万十」。
・・ということで華麗にスルー。ようやく見えてくるは境内。
筑「うわあ!なんか霊的なものを感じます!」
「嘘!幽霊いるの?」
どうやら入り口にある大きな線香入れ(線香刺すやつ)に筑紫女が反応した模様。
もうもうと線香から煙が立ち込めている。
そしてさらに中へと進む。
筑「ス・・スピリチュアルぅ!」
筑紫女が声を上げた。
高台に並べられているのは数えきれないほどのたくさんのお地蔵さん。
「これは・・すげえな。」
ちょっと・・怖い。
中には洒落の効いたものや、かわいい系の地蔵様もある。
さらにトンネルの中にもお地蔵様がズラリ。
「いやー1年分以上のお地蔵様見たわ!」
筑「ありがたや!ですね。」
ここで使った金額は一人300円程度(賽銭代、線香代、おみくじ代)
「ねえねえ・・なにお祈りしたの?♡」
「おみくじ見せてよお♡」
こんな感じでお寺や神社は意外にも恋人達がキャッキャできる&リーズナブルに楽しめるのでオススメ。
高塚地蔵尊。非常に霊験あらたかでありそうなスポットでございました。
「ふう・・結構汗かいたね。」
筑「じゃあ温泉で一汗流しちゃいます?」
「いいねえ。」
早速100円分のご利益にありつけそうだ。