次はどこへ?日田の行きつけ温泉へ
高塚地蔵尊はスピリチュアルなスポットだった。
一生分くらいのお地蔵さんを拝んで、今日はなんだかご利益がありそう。
おみくじは大吉ではなかったけれど気分はいい。
「ふう・・とにかく汗かいたねえ・・」
筑「登り降り激しかったですからねえ・・お腹も空きました」
階段と坂道の登り降りで汗をしこたまかいた。昼食と温泉どちらを先にするべきか・・。
(日田でどっかいいスポットないかな・・。)
九州はずいぶん車でめぐったが、日田は詳しいわけじゃない。
「あ・・いい所思いついたかも?」
筑「え?どこですか?」
「まあまあw期待しててちょ。」
二人は車に乗り込むと高塚地蔵尊に別れを告げた。
山道を再び下っていく、車重のある愛車は行きしの道とは全く違う軽さで進んでいく。
再び国道210号へ合流し、少し走るとサッポロビール工場が見えてくる、大宮という交差点で曲がる。民家がちらほら見えてきた。
さらに奥に進み、高瀬川の川沿いを走る。
筑「うわあ!こんなところ走るんですか?横、川ですよ?」
「大丈夫だって!でも前から車が来ないことを祈っててw」
道路はキレイに整備されているが川沿いの道は狭い。ガードレールなどもなく、離合もしづらい。大雨の日は増水した川の水が道路まで押し寄せてくる。
相当なドジじゃなければ落ちることは無いが、念のため慎重に進んだ。
筑紫女は怖いのか俺のTシャツをちょいと指で引っ張っている。
(こ、これは・・吊り橋効果?)
そんな仕草がとてもかわいい。たとえ計算だとしても・・。
最高のロケーション!ここは琴ひら温泉「ゆめ山水」
そんな川沿いの道を突き当たりまで行くと、目的地に到着。
入ってみるとなんの施設かわからないのだが、実際は蕎麦屋、立ち寄り温泉、焼肉屋なんかがある。
「よし、まずは蕎麦を食べよう。温泉はそれからや!」
筑「いいですねえ!もうお腹ペコペコ」
車を降りて、緑の林を進んでいくと、古民家風のそば処がある。
「ここやで!」
大きな土間や味のある大広間、木枠の窓(鍵は昔ながらのグルグル回すタイプ)などレトロ感満載で落ち着きのある店内だ。
ちなみにこの店トイレが遠く外にあるのと、建物も古い木造のためか冬はクソ寒いのがデメリット。
筑「いい雰囲気ですねえ・・なんかおばあちゃん家みたい。YUさん窓から川が見えるよ!」
「えへへ!いいロケーションやろ!てか筑紫女のばあちゃん家広いんだねw」
筑「福岡の田舎のほうですからねえw てかYUさん何頼みます?」
「問答無用で天ざるそば大盛りでござる」
筑「私は鴨つけそばにします~」
あーだこーだ喋って腹の虫を鳴らして待つ。
ようやく蕎麦が到着。小鉢が何個かついてくるので見た目も豪華だ。
「早速頂きます。ゾゾゾ!」
細切りのそばは食感がよく、口の中で香りが広がる。そしてスルリと食道から胃袋へと旅立っていった。
そしてすぐさま次のそば達を箸で掴んでつゆの中へ。
筑「あははw すごい勢い!お腹空いてたんですねえ! 私もいただきます・・ズズ」
「どう?美味しい?」
筑「鴨のダシが効いていと旨し!」
そういえば美味いそばには水が重要・・ってネットで言ってた。
日田は水の美味い土地として知られており、「日田天領水」というミネラルウォーターがまあまあな高額で販売されている。サッポロビールが工場生産地として目をつけるのもうなずける。
ちなみに天領とは江戸幕府の直轄地のことで、この日田地域は江戸時代に幕府の直轄地であったため。
山と川しかないと思いきや当時は九州の重要拠点だったのである。
ちなみに「進撃の巨人」の作者は日田市大山町の出身。日田に来るとコラボ商品が買えますw
(ふふ・・最後はやっぱりこれや!)
最後まで残しておいたエビの天ぷらをパクリ・・。満足である。
「いやー!やっぱ蕎麦はええわ!美味いわ!」
歳を重ねるにそばなどのさっぱり系飯の旨さがよく分かる。
筑「これ私の分・・あとガソリン代。足りないかもだけど・・。」
筑紫女が財布から2千円を取り出し手渡してくる。
「いやいや良いって!」
今日は払いたい気分だ。
筑「え?どうしよう・・じゃあ今日の夕食作ります。」
「お!それは嬉しいねえ!」
空腹も心も満たされていく。
秘湯じゃないけど秘湯っぽい温泉
「さて、温泉行こうか!すぐそこだから。」
筑「はい!楽しみw」
いよいよ温泉である。
受付のオッサンに入浴料(大人500円)を支払いハンドタオルも購入。
ちなみに平日はいくらか飯を食ったら温泉を無料で入ることができる。(この日は週末だったのでアウト)
いつもの俺なら家族風呂に二人で入って「湯けむり事件簿」としけこみたい所だが、
せっかく景色のいい温泉なのでパノラマで味わいたい。だから大浴場をチョイス。
「それじゃあ1時間後」
筑「はい!温泉堪能してきます♪」
しばしの別れを惜しみつつ、俺は着ているものを脱ぎ捨てた。
念のためハンドタオルで前を隠して突入。
大きな大浴場はオッサンが大量に発生していたので断念。
裸のまま、もう一つの浴場へ。
こちらは小さめの岩風呂が連なっている。幸いこちらは誰もいない。
チ○コと体を洗って、一番奥の特等席の湯船にダイブした。
川のせせらぎが聞こえる。目の前では清流高瀬川が流れている。小さな滝もある。
青々とした森が目の前に広がり、小鳥のさえずりが聞こえる。まるで秘湯の様相だ。
「ふう・・生き返るわ・・。お肌もつるつるするぅ」
足を伸ばし、ベタな独り言を言う。
俺は20分間(風呂に長く入れない)、自然の癒やしを存分に味わった。
つーことで「ゆめ山水」は今の僕の行きつけ的温泉になっています。温泉好きな彼女ならデートで連れていけば喜ばれること間違いなしです。
ビール工場の無料見学もできるので結構楽しめるんじゃないかな?僕にも会えるかもw
車のエアコンで涼んでいる。9月の温泉はチョイスミスだったかもしれない。汗が止まらん。
エアコンの吹き出し口に額を当てていると筑紫女が帰ってきた。
筑「いいお湯でした・・ふう・・暑い!」
「景色も良かったでしょ!川見えた?」
筑「女風呂からは見えませんでしたよ。」
覗き防止の為だろうか?
「よし!周りぶらぶらして福岡に帰ろうか?」
筑「はい!今日は何食べたいですか?」
「・・まかせる!」
筑「ええーー!ヒントゼロ?」
車中で彼女は料理の事を考えていた。
そして俺は彼女をどう料理するか考えていた。