あの頃は惚れやすく積極的でバカだった。
「惚れてもうたの・・。」
この頃の俺は驚くほど惚れやすく、積極的で今よりも少しバカだった。(あと体力があった)
後先考えず行動したからこそ、多くの女性達と関係を持つことができたのかもしれない。
福岡に可愛い子が多いのもあるが・・。
ふーっと小さなため息を吐き出し、彼女は少し笑った。
もしかして・・OK?
魚「でも私・・そんなに単純に決められない。軽くないし・・。」
そんなことを言われるのも、ここ最近で馴れてきている。
女性が言う言葉のテンプレートなのかもしれない。雑誌にでも載っているのか?
「俺さ・・魚女のような素敵ガールに会うことはもう人生で無いかもしれないのよ?」
魚「いや・・それは嬉しいんだけど・・。それとYUさんの家に泊ることとなんの関係が?」
ああ・・正論。
「わかった!せめて一緒に寝てくれ!」
魚「え?は?」
「今日一日だけでも!」
魚「下心の塊じゃねーか!」
「なんにもしないから!」
男の「なんにもしないから」と「先っちょだけだから」ほど信用できないものはない。
ちなみに「なんもしない」は良く使うが「先っちょだけ」はどんなシーンで使うねんw
魚「いや・・さすがにお泊りしたらなんかするやろ?」
「もし君に手を出したらこれで刺していいから。」
テレビボードの上に置いてある銀色に光るものを彼女に手渡した。
魚「あのねYU君・・これ爪切りなんだけどw」
教室で小学生に言い聞かせるように彼女は言った。
「でも魚女の飯がうますぎたんよ~!感動したんよ!嫁に来いよ!」
魚「ちょっと意味がわからない。それに着替えとか持ってきてないし。・・私実家暮らしだし。」
「着替えなら俺の貸すし・・好きだし。実家には俺が電話するし・・好きだし。」
もはやコントの様相を呈している。
魚「・・絶対悪いことしない?」
(コクコク!)
「悪いこと」の意味が良くわからなかったが、俺は高速でうなずいた。
落城までもう少しだ。てかこんな口説き方で落ちるのか?
魚「でもやっぱりなあ・・。」
「明日車で家まで送ってくから。」
魚「自転車は?どうするの?」
「うちの車ワゴンだから自転車とか余裕で乗るから!」
魚「・・わかった。ちゃんと送ってってね。じゃあ・・お母さんに電話してみる。」
「お母さん」と聞いて俺の中の罪悪感が顔を出したが、良く考えると俺は悪いことはしていなかった。
「よし!じゃあ着替えの用意、風呂でも入れるわ!」
酒で少し足元はふたついたが、テキパキと準備をする。
「お母さんどうだった?」
魚「・・いいよって。」
「あの・・怒ってる?」
ヤベぇ・・なんかすげえ悪いことした気分。
魚「怒ってないけど、ちょっと複雑な気分。」
「わがまま言ってごめん・・。一緒にいたかっただけなんよ。」
魚「ううん。同じだから。」
「え?なにが?」
魚「私も同じだから。」
魚女の顔がみるみる赤くなっていく。
「ぐああ・・可愛すぎるる!」
俺は彼女に抱きついた。
魚「・・嘘つき。」
そういうと彼女は俺の胸に顔をうずめた。
「え??」
女の方程式の解き方が全くわからない。