突然の「好きです付き合ってください!」にキョドる
事を終え賢者モードの俺。
賢者モードとは男性特有の「出すもん出しちゃったからちょっと今は愛とか恋とかどうでもいい」的な哲学的タイム。
「よし!今日は3発はしちゃうぞ!」
と最初は思っていてもこの賢者モードに足を引っ張られることが多い、中年期に差し掛かるとそれは顕著になってきている。
このモード時に愛情たっぷりのピロートークを繰り広げられる男性はきっと出世するに違いない。
「好きです!付き合ってください」
そんな賢者の時、筑紫女からの突然の告白が行われた。それはとてもシンプルな言葉だった。
(ん?んん?)
それでもその言葉を理解するのに一瞬時間が硬直する。
脳がようやく言葉を理解する。そして動き出した。
彼女も結婚適齢期だ。女としては一番脂の乗っている時。
このままデートして、飯食って、酒を飲んでエッチをする。
セフレ以上、恋人未満。そんな関係がいつまでも続くわけがない。
さすがの俺でもわかっていたが、今日はタイミングが悪い、今はタイミングが悪い。
「えっと・・うんと・・」
冷や汗を書きながら、何かを考えている。
「うん俺も好きだよ!付き合おう!これからは彼女としてよろしくね」
すぐにこの言葉が出てこない。俺は何を考えている。
断るのは違う・・イエスもちょっと違う。
たぶんきっと言い訳を考えているのだ。
筑「YUさん・・?」
不安そうな瞳が訴えかける。
「えっと・・その・・」
筑「はい・・。」
はっきりと答えを出さないクズ。
いつも好奇心で溢れている彼女の瞳が今は悲しげだ。
「その・・もう少し考えさせてもらってもいい?」
赤でも青でもない曖昧な言葉がポロッとでる。
しかし、優柔不断な俺の人格を的確に表した答えだった。
筑「はい・・突然だったから驚いたよね。今OKもらえないのは残念だけど。良い返事待ってますね!」
そう言って彼女は見慣れた明るい笑顔に戻った。でも声は少しだけ震えていた。
「ちょっとトイレしてくるね」
俺は何食わぬ顔でトイレの扉を開き、便座へと座り込んだ。
(えー!えええ!?どうしよう!どうしよう!)
いつもどおり、安定のクズはここにいる。
しばしトイレで悶絶して部屋に戻ると、彼女は裸のまま静かに寝息を立てていた。
起こさないようにタオルケットをかける。
な、なんかすいません・・今日はゆっくりお休み・・。