メシマズのセレブ?思った以上にチャラい彼女の旅行写真
彼女の作ったアレは「ハンバーグ」と呼べる代物ものでは無かった。
酒で胃の中に流し込むも、大量に一気食いしたせいか気持ちが悪くなってきた。
思い出せば恐怖がよみがえる。
飯さえマズくなければ今日という日は完璧だったのに・・。
筑「YUさん?YUさん?」
遠くを見つめしばらく呆然としている俺に筑紫女が声をかけてくる。
「・・・え?どうしたの?」
筑「お片付け終わりましたよ!」
「あっありがとう・・それとごちそうさまでした。」
胃袋の休憩のタイムはわずか20分で終わった。
筑「あっそういえばスペインのおみやげとかあっちで撮った写真見てくださいよ〜♪」
「お!見よう見よう!」
実際は横になって胃袋を落ち着かせたかった。
しかし俺は「空気読める系オッサン」だ。
力を振り絞っておみやげの入った包みを開けた。
その中にはいくつかの物が入っているがスペイン語表記(英語かも?)のそれは語学ダメ男の俺には何かわからない。
「えっと・・これは?」
筑「それはスペインの塩です。」
開けてみると、そこには地中海の粗塩が入っている・・。
次回彼女の料理を食べるときは肉でも焼いてもらってこの粗塩で召し上がりたい。それなら失敗の可能性も低いはずだ。
「この帽子?・・を被ってるのは?」
若干メキシカンな風貌のする瓶を取り出した。
筑「それはサングリアっていうスペインのお酒です。見て見て!容器がかわいいでしょ?」
おお・・これはちょっと味わってみたいかも?(酸っぱ甘いワインみたいなお酒です)
「これは?」
筑「それはチョコレートだよ♪」
チョコは・・今はいいや。
筑「あとそれはボディクリームです。」
オッサンのスキンケアにいいかもしれない。
「いやあ!嬉しい!たくさん買ってきてくれてありがとう!」
たくさんのお土産を買ってきてくれた彼女に感謝である。気分の悪さも幾分晴れていく。
筑「写真もたくさん撮ってきたんで見て♪」
そう言って彼女は鞄からデジカメを取り出した。電源が入り、電子音がなる。
そして彼女は俺にデジカメを手渡した。
空港に降り立った彼女。綺麗な海。白人の女性が数人・・きっと海外に留学していた頃の友人なのだろう。
あれ・・男性がいる。イケメンで背が高い。しかも数人。
筑紫女は彼らとともにクルーザー?に乗っている。
「あれ?女の子だけじゃないんだ。」
筑「留学時代の友達です。現地(スペイン)で集合したんですよ♪」
Oh!インターナショナル!
写真を次へ次へと見ていく。
イケメン外人と肩を組んで写真に映る彼女。
イケメン外人とハグして微笑む彼女。
イケメン外人と水着姿の彼女。
おいおい・・友達とはいえちょっと馴れ馴れしすぎるじゃないか?
そしてとある場所へと写真は切り替わる。
スポットライト。ダンスを楽しんでいるであろう異国人たち。
酒、肌を露出した女、スピード感。そして熱気。ここはどこだ・・?
「ねえねえ・・この(とんでもなくチャラい)場所はどこ?」
筑「ここはスペインの有名クラブですよw入るのにめっちゃ時間かかったんですけどすごい楽しかった!」
「へ・・へえ海外のクラブとかも行ったんだ・・怖くないの?」
筑「全然平気!朝までみんなで騒ぎまくりました!友達は買ったばかりのスマホなくして凹んでましたけど」
写真を見るに、酒を大量に飲んで頬を紅潮させ目を充血させている筑紫女。
他の友人たち?もほとんど同じような状態だ。
チャラい・・俺がいうのもなんだけど・・チャラい・・。
こりゃもう男女入り乱れてのフリーセックスな世界なんじゃなかろうか?
・・先入観がふきだす。
でも「体の関係はあるの?」なんて聞けない。
一方俺は日帰り温泉の地味なデートプラン。
(筑紫女はもしかしてメシマズのセレブ?)
俺と彼女は住む世界が違うんじゃなかろうか?
デジカメの写真を次へと送るたびに自信が失われていく。
気がつけば筑紫女の手が俺の太ももをさすっている。
我が息子に少し触れるような微妙な距離感。
今じゃない・・今は気分的にタイミングが悪い。
んん・・でも気持ちいい。
筑「ふふふ・・元気になってきた。」