明太子と共に意外と食わないのが水炊き
今日はカス美と飯を食いに行くことになっている。
8月の初めに会ったきり、約一ヶ月ぶりの彼女との再会だ。
いいところまで行ったものの、彼女の愛猫の可愛さが邪魔をして最後まで行けなかった・・。
それでも会ってくれるということは、俺にもまだチャンスはあるに違いない。
せっかくの美人だ。なんとかしてゲットしなければ・・。
俺は食べログのマップを開く。
「ここが・・ここで・・こういうことか・・。」
綿密な計算の上、店をチョイスする。
「夏場の紫外線のせいでお肌がコラーゲン不足ですわ・・水炊きを食いに行こう!」
そう言ってカス美にメールを打つ。
水炊きは博多名物の一つで、鳥のダシでとった鍋にぶつ切りにしたかしわを入れて主にポン酢で食うものだ。
ちなみに明太子と並んで、「福岡人が意外と食べない物」ランキングに入っている。(勝手に)
9月と言えど、残暑はまだまだ厳しい。
てか、こんなクソ暑いのに鍋物なんて食いたいか・・?
彼女の家から近いというだけで選んだものの、完全にチョイスミスだと気づいたのはメールを送った後だった。
そして運命の返事がやってくる。
カス「水炊きいいねえ!久しぶりに食べるぅ!」
意外と良い反応だ。
「でも鍋物ってまだ季節じゃないかも?」
カ「大丈夫!職場の冷房ガンガン効いてるから温かいものが食べたい!それにコラーゲンも補給しなきゃ☆」
さすが美容部員である。そして女はコラーゲンとかヒアルロン酸とか言う言葉にめっきり弱い。序盤の作戦は成功を収めた。
・・ということで今日は「水炊き」を食いに行くことになっている。
店は彼女の家からほど近い場所にある「鳥善」という水炊き屋の薬院店だ。
「長野」や「華味鳥」とともに福岡水炊き界の一角を占めるお店だ。
カス「もうすぐ仕事終わりそうなんで先に入っててくださいな。先に初めてていいんで!」
ということで家を出てお店に向かい、一足先に店に入る。
鳥善の薬院店は薬院六つ角という、車の運転手を困らせそうな交差点の一角にあった。
時間が早いせいか、それともまだクソ暑いせいなのか・・店の中には他のお客はいない。
空いている座敷に案内される(全部空いてるけど・・)
そして早速注文を取られた。
「もうすぐ連れが来るんで・・あっ!とりあえずビールください。」
やることが無いので携帯をいじりながらジョッキを傾ける。
ちびりちびり・・一杯目が空になろうとしている。
カス「ごめーん!お待たせしました!」
元気のいい声で片足を上げながらヒールを脱いでいるカス美。
よそ行きの少し派手な服装の彼女はやっぱり美人である。