デートで動き回った後はなぜか眠くなってくるよね?
ハウステンボスでのデートを終えて、夜もだいぶ更けてきた。時間は午後10時過ぎ。
「お腹減ったねえ・・ファミレスでいいかな?時間遅いから空いてるお店も少ないだろうし。(ついでに安いし)」
百「いいよ♪ジョイフル大好きだし!」
夜ご飯は質素にファミレスの「ジョイフル」だ。このジョイフル九州地方ではかなり多く見かける。
ジョイフルの本社は大分にある。大分から全国に発進したファミレスだ。そのせいか九州では根強い人気を誇る。
こっちではファミレスといったら「ガスト」ではなく「ジョイフル」なのだ。
ついでに若い子の味覚はおじさんの財布には優しいわ。
フライ定食的なやつを二人で注文。カロリーは気になるが、今日はそれなりに消費したから大丈夫だろう。
それよりも酒が飲みたい・・。アルコールでじんわりと疲労が中和されるあの感覚が欲しい。
「久しぶりのハウステンボスどうだった?」
百「だいぶ変わってたねぇ!昔はあんなに花が咲いかな?前はもっと地味だった気がする。」
「たしかに・・。呼子はどうだった?」
百「うん!生きてるイカが美味しかったね。ちょっとグロかったけど・・海も凄いキレイだったし♪でもあんなに待つとは・・。」
「次回は福岡で食ったほうがいいかもねw今日はハシャギ過ぎてもう足パンパンだわ。肩こりもやべえ・・」
百「運転代わろうか?」
「大丈夫、もうちょっとがんばってみるよ!」
ジョイフルで今日デートを振り返った後はタバコを一吹かしして車に乗り込む。
ちょっとゆったりめの洋楽をチョイスし、後は如何に自然に「眠くなるか」だ。
如何にも昭和的な発想だが、今日はお酒を飲んでいないので勢いよりもテクニックでごまかしたい。
百「あれ?YUちゃん高速には乗らないの?乗り口すぎちゃったよ?」
「高速乗って鳥栖経由で福岡に帰ると、走る距離が結構増えるんよ、夜は下道でも渋滞ないから時間もそんなに変わらないしオトクなのだよ。」
百「アタシんち福岡っていうか・・田川だけど。」
「福岡も田川そんなに変わらん。道は俺に任せとけって!」
来た道を返すように東へと進む。
スローな音楽、甘い歌声。
これはきっとラブソングなんだろう。百合子も鼻歌交じりで聞き入っている。
そして、この満腹感・・横には美女。俺は幸せ者だ。
「・・・・あれ?」
信号の赤いランプを見ていると瞼が自然に落ちてくる。うそ・・まだ早いってば!
演技でもなんでもなく、本当に眠くなってしまった。この山道ではラブホもあるかどうか・・。
百合子を見るとさっきまで気持ちそうに歌っていたのに、ぼおっとしている。(コイツも眠いんだ!)
「せ、せめてこの山を越えるまでは・・。」
真っ暗でうねうねとした道を走るものの、本当に眠ってしまいそうだった。
未来ある若い彼女をまだ「あの世」に連れていくわけにはいかない。
「ちょっと限界・・。」
俺は、ハザードランプを点滅させながら道の端に車を寄せた。
「ふう・・・。」
百「どうしたの?また気分悪いの?」
俺の様子に気が付いた百合子が話かけてくる。
「いや・・なんだか眠くなっちゃって・・。」
百「ええ?大丈夫?運転できる?」
「いかん、運転できん。ちょっとどっかで休んでいい?」
百「どっかって?」
「その・・ホテル的な?」
百「おいおい・・ベタな作戦だな。」
いやさっきまでは作戦だったんですけど、マジなんです。
「ところがどっこいマジなんよ・・何にもしないから寝かせて。」
百「セリフもベタだな。」
「今日は運転とかいろいろがんばったやん? 神よ・・この薄情な女を許したまえ・・。」
百「嫌な言い方だねwわかったよwでも本当になんにもしないでね!」
「合点承知の助。うわあ・・良かった!これで眠れるわあ!」
なんとか唐津まで戻ってきた。
でもなぜだろうか?あれだけ眠かったのに、目が冴えてきている。
ここは彼女に手を出さないわけにはいかない。