二人で行けば長距離も楽しい、呼子⇒ハウステンボス
呼子の「河太郎」で飯を食った後は、ドライブの再開である。
コンセプトは「もてなしの心」。
まずは、加部島「風の見える丘公園」へ
呼子の街のすぐ近くには加部島という島がある。今回はこの加部島にある「風の見える丘公園」へ行くことにしよう。
加部島と呼子をつなぐ形で呼子大橋という大きな橋が架かっている。
加部島の人口と、呼子の人口を考えると、この大きな橋はかなり大仰な気がする。やはり「イカの経済効果」なのだろうか?
この加部島はなにかあるかというと・・何にもない。農園や田んぼなんかはあるものの、ほとんど山ばかりの島だ。この加部島に住んでいる人はきっとそれほど多くない。
そして観光地として人が沢山くるわけでもない。しかし逆にそれがいいのだ。
「橋!渡っちゃうぜ!」
百「わあ・・いい景色やねぇ!」
加部島に入り、10分も走れば「風の見える丘公園」だ。こじんまりとした駐車場には車が全くない。これが平常運転だ。
「ほら行くでよ。」
俺は百合子の手を取った。
百「うん・・。」
まだ慣れていない行為に戸惑いを含む。
俺は彼女の手を引きながら展望台を目指した。こういうドキドキ・・好きです。
小さな小さな展望台には案の定誰もいない。でもそれがいい。まるで二人だけの世界。
「ほら!さっき渡ってきた呼子大橋が下に見えるよ!」
百「うわあ!こうやって見るとシャレとうね!あんなに大きいんだ!YUちゃんこっちにも島がいっぱいあるよ!」
眼下にはぽつぽつと玄界灘に浮かぶ島々が見える。建物らしきものがあるということはあんな小さな島でも生活している人がいるんだろう。
百「ねえねえ、YUちゃん一緒に写メ撮ろうよ!」
今日の彼女はいつになくテンションが高い。
「・・ええで~」
ほっぺたをくっつけて一枚パシャり。こういう初々しいドキドキ嫌いじゃない。
景色はあまり写っていないが、楽しそうな二人が大きく映っている。これは二人の最初の写メだ。
百「ううー、やっぱり風が見えるっていうだけあって風が強いね。風は見えないけどwバリ寒い!」
「そろそろ車に入ろうか。」
滞在時間は20分も経っていない。それがこの公園の持つスペックなのかもしれない。
「それじゃあ、これからもうちょい遠くに行こうか?」
百「え?どこまで行くと?」
「いっそのこと佐世保まで行こうぜ!」
プランA発動である。
百「もしかしてハウステンボスですかね?」
「お!ハウステンボスいいかもね!とりあえず行ってみる?」
デートはやっぱりハウステンボスがいい
当初のプランとずれてしまうが、それも面白いかもしれない。
ハウステンボスはオランダをモチーフにした九州を代表するテーマパークだ。
オープン以来赤字続き(18年間黒字になったことがない)で経営がヤバかった時期が続いていたが旅行会社大手のHISが買収し、光の王国(大規模なイルミネーション)などの企画を打ち出し見事黒字復活を果たした。
ちなみに愛知県のヤバい施設「ラグーナ蒲郡」もTOYOTAが「うち自動車会社だし観光はプロに任せるわ!」とおっしゃったのでHISが手掛けることになったらしい。復活を期待したい。
百「ハウステンボス行ってみたいけど、遅くならない?」
「遅くなってもええやん。もしかして夜予定あるの?」
百「予定はないけど・・。」
「んじゃ決定やね!」
呼子の街に別れを告げると半ば強引に車は走りだした。
更に西へと向かうことになる。スイッチが入った。今日はもう帰さないぜ!
ドライブをしてる間はさらに距離を縮めるべく、タバコを吸う以外は手をつなぐ。
百合子の若くみずみずしい指の感触が伝わってきた。
伊万里焼きで有名な伊万里を超えハウステンボスに到着。辺りは暗くなっているものの時間はまだ午後6時だった。
「着いたのはいいけど、イルミネーション期間はもう終わっとるんやね・・。」
百「残念・・どうする?」
「せっかく来たんだしとりあえず入ろうか?」
入場料(地味に高い)を払う。
「おお!オランダですな。」
百「オランダですね~チューリップ綺麗だよ!」
イルミネーションは無かったが、クマのぬいぐるみを見たり、お店でチーズをかじったり。
足が痛くなるまで手をつないで歩いたり、いろんな所でイベントしてたりとデートスポットとしてはやはり一級品でござる。寒さも相まって距離は確実に縮まる。
百「次回来るときは泊まりたいね。」
ううむ?この言葉の意味はどういうことだ?
「そ、そうだね。イルミが見れる今年か来年の冬にまた来ようか?」
百「言ったね!覚えとくから!」
※イルミネーション時期の「彼女を落とせる率」は異常である。大盛況のためイルミ時期は年々延長されてきている。
テンボス内のレストランはやはり「観光価格」なので却下。
テンボスを出てジョイフルに入る。
「ふうう・・今日は疲れたねえ・・肩こりやべえ。」
体は冷え切り、筋肉が強張っているのがわかる。
百「うん。疲れたけど楽しかった。帰りの運転は大丈夫?代わろうか?」
「たぶん大丈夫。頑張ってみるわ。」
当初の作戦プランとはずいぶん変わってしまったが、それもまた楽しい。
もう残された手は運転中に眠くなるしかない。(ベタ)