メンヘラ?うちの彼女はとある物を見てキレます。
「そのままだと風邪ひくから、とりあえずシャワーでも浴びたら?」
百「そうだね・・(笑)ごめんね。じゃあお風呂借りるね。」
百合子はタオルを持って洗面所に入っていった。
※いつかの百合子です。転載禁止!
ガッツリ濡れているせいか、洗面所までの道のりに彼女の足跡が出来ている。
「濡れた服は明日までに乾くだろうか?外には干せないし・・。ぐむむ!何か腹立ってきたな・・。」
ビショビショに濡れている女は嫌いじゃない。だが浮気をしていないのに浮気を疑われるのは癪に障るってもんだ。
こんな監視行動が続くばかりで気が抜けない。ストレスばかりが溜まっていく。まだ強烈な束縛にはつながらないものの・・。
「ふう・・床拭き終了。やっと休憩できる。」
俺はすっかり冷めてしまったコーヒーをグイっと飲んでタバコに火をつけた。
百「YUちゃん!ねえ!ちょっと来てよ!」
彼女の大きな怒鳴り声が風呂場から響いた。
嵐の予感がする・・。いつの間にか外も土砂降りになっていた。
「な、なんだ・・掃除は完璧にしたはず・・」
タバコの火はそのままにして、俺はとりあえず洗面所に向かった。
「え?どうしたの?ゴキちゃんでも出た? あの・・ドア開けるで・・。」
恐る恐る風呂場のドアを開ける。
タオルを巻いた百合子が立っていた。
なぜタオル!そこは全裸でおらんかい!
良く考えると俺はまだ彼女の全裸すら拝んではいない。
執拗に見せてくれないとなると・・盲腸の手術跡でもあるんだろうか?
俺は彼氏(たぶん)だ。ここで彼女の巻いているタオルをはぎ取ったところで文句を言われる筋合いはない。
しかし、彼女がこっちを睨んでいるので危険を感じて行動に移せない。
原因はゴキブリではないことは把握した。
「もう・・どうしたのさ・・。」
百「これこれえ!これなん!?」
彼女は「ある物」を指さして怒っている。
「それ・・?どうみてもメイク落としだよ・・?ビオレメイク落としって書いてあるじゃん。お前はあほなの?(笑)」
怒っている意味が理解できない。しかしその言い方が気に入らなかったらしい。
俺は火に油を注いでしまった。
百「なんでメイク落としがあるとよ?YUちゃん化粧するんかい!・・キサンまた女入れたやろ?」
「なんでそうなるん?アンタが買っといてって言ったんやろ?・・それに汚い言葉は使わないの。キサンはNGワード!」
これは冤罪でござる。「ありがとう」と言われることはあっても怒られるのは心外だ。俺の「思いやり」も届かないのか・・?
百「だって・・量がちょっと減っとるばい!」
「いやいや減ってないし・・それはビオレの会社(花王)に言ってよw」
俺はバカバカしくなって笑ってしまう。意地でも犯人に仕立てあげたいんじゃなかろうか?
だがこっちも熱くなったら、癒しの日曜日が台無しになってしまう。彼女よりも一回り以上、年上なのだ・・ここは大人の対応だ。
「ほら・・それでボロボロになったメイクも落として、ビールでも飲もうぜ。」
百「ぐむむ・・」
まだ何か言いたそうだったが、全くうろたえない俺を見て彼女は言葉を飲み込んだ。
こういうのは冷静に対処しなければ・・。
俺の彼女は激情家で少しメンヘラの気があるのだ。