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貞子

彼女が泊まりに来る・・でも来たのは・・。

貞子

雨の日、百合子が泊まりにくる。

今日から2011年の日記の続きに戻ります~!

6月に入った。俺が福岡に移住してからおよそ一か月が経った。

雨の日が次第に増え、福岡が梅雨入りするのも時間の問題だ。今日も雨だ。

福岡は思った以上に雨の日が多い。(日本海側だから?)時にはゲリラ的な豪雨になったりする。

こんな時期には梅雨の影響をそれほど受けない札幌が恋しくなる。あっちはあっちで冬は面倒だけど・・。

さて今日は百合子が泊まりに来る。僕たちひょんなことからお付き合いを始めました。

百合子とのお話⇒1回目
2回目
3回目

うちに来るのはだいたい土曜日か日曜日。これで4度目だ。

俺は念入りに掃除機をかけている。

長い髪の毛でも落ちていれば、きっと喧嘩に発展するからだ。

百合子以外にうちに泊まったのは谷山子だけだが、最初にその髪の毛が発見されたのが痛かった。

そこから彼女が俺に疑いの目を向けているのはなんとなくわかっている。

髪の毛が生えない自分を恨んだ。

俺はまだ信用されていない。それに百合子は嫉妬心がとても強い女だ。その嫉妬心は彼女の若さからくるからかもしれないが・・。

もう携帯を見られるのも時間の問題な気がする。そうなれば俺はきっと終わる。

ちなみにまだ彼女とは結ばれていない。おかげさまでそのたわわに実った生乳を吸ったり舐めたりすることも許されていない。

他の男に対しても「お堅い」のは結構なことだが、俺のストレスの向きどころはなく、最近なんだか息苦しい。・・生殺しとはこのことだ。

今のところ、油山にでも登って溜まったものを発散するしかないが、本格的に梅雨入りすればそれも難しくなるだろう。

そんなこんなでワタクシ・・

「無性に筑紫女に会いたいのであります!」

奔放な彼女と他愛もない話でもして、腹を抱えて笑いたい。できればセックスもしたい・・。

・・とまあそんなバランスの悪い心境のまま、今日も百合子がやってくる。

美人だろうが、料理がうまかろうが、恋人にあまり信用されていないのは居心地が悪い。

「これで・・よしっと!」

念入りに掃除機をかけ、仕上げにクイックルワイパー。風呂とトイレの掃除も完璧にすませる。

あらかた部屋が片付くと、ようやく俺の心も少し落ち着いた。

自分へのご褒美にコーヒーとたばこで一服する。

 

ピンポーン!インターホンが鳴った。

 

「んん?百合子が来るにはまだ一時間ほど早いんだけど・・。誰や?NHKか?」

俺はインターホンの画面を見てギョッとした。

 

「さ、貞子的な何かが映ってる!!?」

 

髪を垂らした女性だ。心なしか濡れている気もする。

過去に那珂川の氾濫かなんかで溺れ死んだ女の霊だろうか?今日はなんせ雨の日だ。

でもわざわざインターホンを鳴らすところが律儀である。勝手に俺の後ろに立ってたほうが気絶率は100%だと言うのに・・

 

「・・んん??」

「あれ?よく見ると・・百合子?」と大したオチもなくやっぱり彼女である。

「どしたん?到着早くない?・・まあとりあえず上がって!」

オートロックを開け、すぐに洗面所に向かいバスタオルを取りにいく。

そして玄関のドアを開けて彼女が上がって来るのを待った。

百「へへへ・・wびっくりした?」

濡れた髪をわざと垂らして百合子が笑う。

「お前、やめろや!貞子かと思ったわ。幽霊とか好きだけど実物は苦手なんや!・・」

百「思った以上の反応やねw」

「てか傘もってなかったの?」

そう言いながら俺は彼女にバスタオルを渡した。

百「いや、わざわざコンビニで買うのもアレやけん。でも歩きよったら思ったよりも遠かったっちゃ。」

「でも早かったね。今日は博多駅あたりで買い物でもしてたの?」

百「いや・・YUちゃんが浮気してないかと思って早く来た。証拠隠滅されないうちに・・。」

・・その言葉と真剣な眼差しに俺はリアルなホラーを感じるのだった。

 

続く➡激情!僕の彼女はメンヘラの気がある