彼女が俺の部屋に来た。でもエッチはNG!(キスはOK)こんなの無理!
付き合って初めて彼女(タヌキ女)が家にやってきた。
普通の心境なら嬉しいはずなのだが、それとは別の怖さを持っている。浮気をしてしまったYUTAROは気が気ではない。
元カノと半ば強引にエッチしてしまったとはいえ、やっぱり「付き合って一カ月間はエッチさせない」という辛すぎる条件も影響しているのだと思う。俺は根っからの女好きなのだ。
いちいち浮気がバレそうで心臓に悪い。
タ「あれ?もしかして・・」
(ビクッ!なんや・・完璧に掃除をして証拠を消し去ったつもりだったが・・)
ミスを犯していたのだろうか?せっかく部屋に来てくれたのに開始5分でお別れコース?それだけはご勘弁願いたい。
タヌキ女がガサゴソとバッグを漁り始める。浮気調査グッズでも出す気だろうか?ソワソワと全く心が落ち着かない。敏感な年頃なのである。
タ「アア~!?」
タヌキ女が叫び声を上げると、「ヒッ!」と俺は小さく声を漏らした。
「ど、どうしたの?」
タ「・・忘れた・・」
「何を?」
タ「携帯の充電器・・持ってくるの忘れた・・。もう半分くらいしか電池ないよ・・。」
「お、おう・・俺の持ってるから使う?」
タ「良かったあ!後で貸して」
なんだ充電器か・・ビックリした。そんなことぐらいでシャウトするとは。
タ「んああ~!?」
「な、なに?」
タ「メイク落とし!」
「メイク・・落とし・・?」
そのフレーズに心臓の鼓動が早くなる・・元カノが使っていた、ビ〇レのメイク落としは今日捨てたはずだったが・・。
タ「メイク落とし持ってくるの忘れた!あと歯ブラシも買うの忘れた!」
「・・なんで?」
タ「え?今日YUちゃんち、泊まるって言ってなかったけ?」
「・・え?俺んち泊まるの?」
今日はウチにお泊りしてくれるらしい。それは嬉しい。できればエッチもさせて頂きたい。
タ「メール見てくれてないでしょ?」
「ご、ごめん」
いろいろとテンパっていたので見逃してしまっていたらしい。
「取りに行く?メイク落とし。」
タ「え?どこに・・?」
「・・家に。」
タ「家って私の?恵庭だよ?それならそのへんの薬局で買うよ。」
「あっそっか・・・。」
タ「YUちゃんって天然?てか今日の夕飯なにする?」
「鍋かな・・?簡単だし。」
タ「じゃあ一緒にスーパーに買い出しに行こう♪」
「う、うん・・」
明るく無邪気な彼女を見ると、浮気をした罪悪感で複雑な気持ちになる。でもごめんねは言えない。
メシマズで引かないために鍋が簡単で安心
二人は部屋でひと休憩するとスーパーに買い出しに出かけた。
YUTAROのマンションから徒歩10分ほどの距離にそれはある。冬の札幌なので近場の距離は徒歩でいったほうが内地出身の俺としては安心だ。
今日の夕食は鍋だ。最初に彼女や女友達なんかに料理を作ってもらうのに選ぶリクエストは簡単なほうがいい。鍋とかカレーなんかがオススメだ。
いきなり家庭の味や創作度の高いものなんて大舞台を求めてはダメだ。とりあえず彼女が台所に立って手際や包丁さばきを見てから、もうちょっとハードルの高いものリクエストするほうが安心で安全でございます。
つーことでメシマズで引かないために今日は鍋。
きのこ、鳥肉、ごぼうや白菜などの野菜、せっかくなので北海道名物の真鱈。鍋の出汁の元。そして発泡酒・・役者は揃った!
「ごめん、エプロンとかないからバスタオルでも巻いとく?」
タ「いいよ~このまま作るよ。切ってお鍋に入れるだけだし。」
「じゃあコンロの準備とかしとくわ。」
トントン・・トン。彼女は多少ぎこちないながらも、きれいに鍋の具材が切り刻まれていく。やがて鍋のいい匂いが狭い部屋に充満していった。
「おお!美味しそう~!次回はオムライス作って!」
タ「いい年しておこちゃまなもの好きなんだ~♡」
二人は近づき、唇を重ねた。ああ・・エッチしたい。
左利きで頑固な僕の彼女
グツグツグツ・・小さなテーブルの上で二人がキムチ鍋を囲む。ところ狭しと携帯コンロや食器が乗っていて、何か落ないか不安だ。
タ「もうそろそろ食べごろかな~?」
「本日の特売品」だった刺身を食べながら、タヌキ女が言う。
「どれどれ?毒見しちゃいますか?いただきます!ハフハフ!・・うむ・・うまい!」
タ「フーフー!あちち!うん!美味しい!やるじゃん私!」
「あれ?今気づいたんだけどさ・・タヌキ女って左利きだよね?」
タ「そうなんだよね~。字を書いたり、お箸を持つのは左なの。いまさら気づいたの?」
「俺も左利きだからさ・・違和感なくて逆に気づかなかった・・。」
タ「あっ私も初めて気づいた!」
アハハハ♡ウフフ♡なんちゅー幸せな時間だ。
左利きは変態と天才が多い説
「あっそういえば、左利きってさ・・」
タ「え?なになに?」
「天才と変態が多いんだって~本に書いてあった。」
タ「そうなの?」
YUTAROは間違いなく「変態」の部類だ。
「キミも天才って感じじゃないから、変態のほうだね。」
タ「もう変態じゃないもん!」
顔を真っ赤にして否定するタヌキ女。ウブに恥じらうところがたまらなくかわいい。
大阪子のように「セックスの話カモン!」ではない。
「いやいや・・夜のほうは果たしてどうなんでしょう?」
タ「なにそれ!セクハラオヤジ見たい!」
「あの・・オヤジとか・・・やめて。ほら一応彼氏だし。」
タ「じゃあセクハラお兄ちゃんで!」
お兄ちゃん・・悪くない響きだけど・・なんか違う。
(そろそろ・・左利きとして変態になってもいいですか?)
鍋のように、YUTAROの情熱は沸騰していた。
性欲ムラムラ!いざセックスチャレンジ!
「ご馳走様!美味かった!お腹いっぱい。」
タヌキ女は台所で洗い物をしている。
タ「YUちゃんあったかいお茶いる?」
・・なかなか気が利く女だ。僕、札幌で結婚するかも?
付き合いたての男女が会うたびにすることといえば・・セックスでございます。
1カ月間もエッチなしとか待ちきれない。
しかも彼女はウチに泊まっていくと言っている。暗黙の了解で抱いてもOKということなのか?
「汗かいたからシャワー浴びてくるね。」
タ「でも・・お茶冷めちゃうかも?せっかく入れたのに。」
「ええんやで、なんなら一緒に入るかい?」
タ「いや・・それはかなり恥ずかしい。」
恥じらいとはこうもいいスパイスになるものだろうか?
しかも完全否定されないという事はセックスをさせてくれるんじゃなかろうか?1カ月もエッチなしは待ちきれない。
初エッチは成功するのか?
俺はカラスの行水でシャワー終えると、スウェットに着替える。洗面所の鏡に映ったその姿は完全に「日曜日のお父さん」だった。
「お先、タヌキ女も入ってきたら?」
そのスキに布団を敷いて、カマグラ(バイアグラのジェネリック品)を飲んで・・我は戦に備えるつもりだ。
タ「うーん。・・まだご飯食べたばっかりだし。もう少してから入る。」
布団へと誘導!
「うん!そうだね!じゃあ布団だけでも敷こうかな?ゴロゴロしながらテレビを見よう!」
ゴロゴロしながら、良い雰囲気になったら、彼女のオッパイを触らせていただくとしようか。
タ「食べてすぐに寝ると、ハゲるらしいよ(笑)」
「もう・・ハゲとるわい・・。」
俺は手際よく布団を引くと、「ささ・・入って!寒いから・・。」と強引に誘導する。
タ「うーん、仕方ないなあ~。」
彼女はまんまと布団へ潜り込んでくる。こうなると完全にYUTAROの下心も彼女にバレていることだろう。
裸とか想像したら、性欲がすごい。
ああ・・人間の性欲とは、なぜいつも男を振りまわすのだろう。
シャンプーのいい香りが鼻をくすぐる。若くみずみずしい香りがする。
それだけで、俺の心臓から下半身に大量の血液が運搬されてくる。タヌキ女の細い肩に触れるだけで彼女の裸になった姿を想像してしまう。目を閉じて、まだ見ぬ、そして触れぬその肢体に思いを巡らせる。
君はどんなおヘソの形をしているの?お尻の形は?そして乳房システムは如何?・・もっと、いろんな所に触れたい。
俺の魔手は彼女の腰のあたりに降りていく、痩せている彼女の腰は少し力を入れただけで折れてしまいそうに細い。
(これは・・奇跡のウエスト50センチ代か?そりゃ鼻息も荒くなるわ。)
いやらしい手つきでタヌキ女の腰を触る。彼女もそろそろやる気スイッチが入ってきたころかな?
(そろそろ生乳さんを触らせてもらおうかしら・・・。)
YUTAROの手は侵攻をやめない。突き進め!・・彼女の胸にあたりに到達しようとしたその矢先。
ガシッ!!何かが俺の指に掴みかかった。
まだエッチしない約束でしょ?
タ「ストーップ!ピー!反則!!」
ホイッスルが鳴り響いた。
タ「なにエッチな事しようとしてんの?」
「だって・・・ほら付き合ってるし・・」
タヌキ女が布団から飛び出した。
タ「一ヶ月間エッチはしない約束でしょ?ワタシ最初に言ったよね?忘れちゃったの?」
「ええ~~!?本気だったの?」
タ「当たり前じゃん!約束破るの?」
怒りを含んだ目で彼女は俺を見た。・・その試練に一体なんの意味があるのですか?
SEXを拒む理由「軽い。信用できない。」
「好きな女・・いや彼女が家に泊まりに来たらさ。そりゃSEXしたくなるのが男心じゃん?」
タ「ダメ!約束守れない男は信用できないもん!」
タヌキ女よ・・あんたの過去になにがあったのよ。
(さては・・元カレか?クリスマス前に別れた元カレのせいなのかい!?)
タ「約束守れないなら・・もう付き合えない。付き合ってすぐエッチしようとする軽い人はヤダ。」
付き合う前ならわかるが、それはめんどくさい。
「それって?別れるってこと?」
タ「うん。」
「ええ・・。それは嫌。」
いよいよ大変な状況になってきた。さっきまでのイチャイチャタイムはなんだったのか?口から霊魂が飛び出しそうだ。
タ「じゃあ我慢して!約束守って!」
「わ、わかった・・一ヶ月間だから・・あと、2週間ちょっとくらいですかね?アイムプロミスユー・・。ワタシガマンスルネ。」
タ「う、うん。」
「じゃあ・・どこまでならOKなの?」
タ「え?・・えっとエッチなこと全般かな。手つなぐとか?キス・・まで?」
「胸。」
タ「ダメ!」
「腰・・?」
タ「ダ、ダメ!」
「ケツ!」
タ「腰がダメならダメでしょうが!」
「ご無体な~!チクショウ!このタオルでオレの手を縛れ!一切触れらないように!」
そう言ってタオルを渡す。
タ「・・え?何言ってんの?」
「俺も男だ!」
タ「こ、こう?」
「ダメだ!後ろ手に。人質みたいな感じで!」
タ「痛いよ?」
「もっとキツく!イタタタ!やっぱもっと優しく!」
そんな感じでSEXできない二人の夜は違うプレイで更けていくのだった。俺は違う意味で興奮するのだった。
かくしてSEXまでの残りカウントダウンが始まった。