北海道来ちゃった!4年ぶりの函館が懐かしい。
到着のアナウンスが流れる。
午前6時、津軽海峡フェリーは約4時間の航海を経て、無事函館へと着港した。
なんと!これで料金は約3,000円!
「船に乗って海を渡る」と「北海道に行く」というイベント性を考えると、結構お得な気もする。(夜は寝てるだけだが)
「んんん!」
トイレで用を足し、洗面台の前でグッと背伸びをする。
この船を降りれば、めでたく北海道の地に足を踏み入れることになるのだ。
オッサン時間の早さを思い知らされる。
ふと札幌に住んでいた頃の思い出が脳内を駆け巡った。
(トラウマは解消されている。トラウマは解消されている。)
俺は機械のように呪文を唱えた。
(そうか・・函館に来るのはほぼ・・4年ぶりか。)
加速度的に早く過ぎていく時間と、一向に時間が進まない日記。
俺はそんなジレンマを感じながら、ひっそりと津軽海峡フェリーを降りた。
「ほ、北海道は、でっかいどう・・。ブルルッ!さ、寒い!」
さて晴れて北の大地を踏んだわけだが、あいにく小雨が振っている。
空気もずいぶんと冷たい。
チャリはヤバイって!レンタカー借りるって!
フェリーからは、どんどん車が吐き出されて行く。
これから北海道を旅する人、北海道に帰ってきた人、それぞれの思いを載せて、車はなにかに導かれるように走り去っていった。
俺はその光景を立ち止まって見守っていると、その横をロードバイクが勢いよく駆けていった。
(この時期に自転車旅はやべえよ・・?寒いし・・クマとか出たらどうすんの?クマって足速いんだぞ?)
もう10月後半だ。北の大地はかなり寒い。
北海道は九州の二倍ほどの大きさがあるのだ。目的地までがクソ遠い。
ここからチャリで回るとなると、アイツ・・長万部あたりで太ももがパンクしちまうぞ。
しかも北海道ではクマがめっちゃ出る。
ツキノワグマじゃない。ヒグマだ。冬眠前の秋ヒグマはガチでヤバイのだ。
(頑張れ・・生きて帰れよ。)
そんな彼の無謀とも思える冒険が羨ましくも思えた。・・やらんけど。
ロードバイカーの健闘を祈り、YUTAROはさっさとレンタカーを借りに行くのだった。
向かった先は、フェリー乗り場から歩いて5分くらいにある、個人経営っぽいレンタカー屋「ワンズレンタカー」だ。
カー○を無理矢理犬にしたような看板が目印だ。
キレイな事務のお姉さん(昔ヤンチャしてたっぽい)にドキドキしながら、レンタカーの契約手続きをすませる。
借りたのは、人気の小型車。4泊5日でこのお値段。めっちゃ安い。
「このサイズ!俺にちょうどFITするぜ!四日間頼むぜ相棒!」
俺は短期契約の相棒に乗り込むと、さっそく函館の街へと繰り出した。
函館の朝市で海鮮丼食う
「うひょおお!函館とか懐かしい!」
函館はコンパクトだけど味のある街だ。
以前出会い系で知り合った女の子。・・元気にやってるかな?
連絡を取りたいが、残念ながらその手段はもう・・ない。
さあさあ気を取り直して函館といえば朝市だ。(情緒不安定)
函館駅近くの駐車場に車を停め、起きがけのテンションで朝市へ繰り出す。
「おうおう!盛り上がっとる。」
市場に入ると、威勢のいい声があちらこちらで響いている。
中国人観光客の集団が物珍しそうに、店の前に並ぶ商品を見たり、スマホで写真を撮ったりしていた。
(ここで魚を買っても、中国まで持って帰れるのかな・・?)
ちなみに函館朝市は観光市場なので、売っているものは結構高い(気がする)。
交渉しだいで値引きをしてくれたり、おまけをしてくれることも多いので、
「お兄さん、もうちょっと安くならない?」
「なんかおまけしてよw」
と恥ずかしがらずに聞いてみよう。
もし、断られたら、「そうですか・・。他の店もちょっと見て回りますね。」的な感じで店を後にすればいい。
そこでもう一度顔を出すと、サービスしてくれるって寸法さ。
俺はこれでじゃがいも一箱もらったぞ。
「腹が・・減った。」
朝市を歩き回ったら、胃のほうもヤル気を出してくる。
北海道に来れば、孤独のグルメぽい事もやってみたくなるというもの。
「やっぱり海鮮丼だわな。うん。」
ということで、若くてキレイな女の子が働いている店にお邪魔する。
店内には、有名人のサインが所狭しと飾られていた。
だけど店の名前忘れちゃった。なんせ店員さんが可愛かったから。
(やっぱこれこれ!お久しぶりです!ボタンエビさん♪)
ボタンエビのプリプリの身が、ねっとりと舌に絡みつく。その甘さにノックアウトだ。
(九州だと、甘エビだとか、ボタンエビは、ほとんど食べられないからなあ・・。)
俺は新鮮な海の幸を、勢いよく口に運んだ。そして思うのだ。
(やっぱり福岡の醤油持ってこれば良かったなあ!)
旨いけど。北海道は素材の味に頼りすぎな面がある。もっと醤油をぶっかけたい。旨いけど。
腹も膨れたら、後は一心不乱に車を走らせるだけだ。
向かうのは札幌だ。あの街には思い出が濃霧のように漂っている。