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青天の霹靂

ブスとデートしたら、いきなり告白されました【髪長嬢②】

青天の霹靂

ブスとデートは恥ずかしい?

一緒に歩くの恥ずかしい

俺の目の前にブスがいる。髪の長いブスだ。

その女は連れて歩けないほどのブスじゃない。でも、ここは美人が多い熊本だ。

どうしても周りの女性と比較してしまう。

もしかすると他人の目が気になって、恥ずかしくなってしまうかもしれない。

連れていて恥ずかしいと思うような女性と、恋愛関係に発展することは…きっとないだろう。

1話目から読む

熊本に来て二日目。俺の口からは「焼きそばUFO」を食ったあとの臭いがする。食ってないのに。 (俺も…あと半年で30歳か。) 数年前に始めた「出会い系の旅」。58キロだった俺[…]

ブス来た

ブスとデートするときは、どんな場所が良い?

YUTAROがブスとデートする時は、

  • 短時間のデート
  • 人の目が気にならない場所でのデート

この二つを心がけるようにしている。

※これは、あくまで個人的な意見であり、ブスっぷりにもよります。

 

例えば、

  • カラオケ
  • 個室のある飲食店
  • カフェやファーストフード店の奥の席

なんかをデート場所に選んでいる。

「お断りして帰ってもらう」という方法もあるが、あとで罪悪感に苛まれるのと、

女性を傷つけるような行動ばかりとってると、めぐりめぐって自分に帰ってくる気がする。

だから化け物レベルのブスじゃない限りお断りはしない。

ドライブデートに決定

「これからどこ行く?」

髪長嬢「じゃあドライブは?天気もいいし!天草(あまくさ)いこうよ~」

緊張がほぐれたのか、ハゲを晒して見下されたのか、彼女はいつの間にかタメ口になっていた。

 

「天草?あの…天草四郎がいるとこ?」

髪「そうそう!今は死んじゃっていないけど(笑)」

 

歴史好きな俺には、とても興味深い場所だ。

幼い時に魔界転生という映画を見てから、「天草=魔界」だと思っていた。

※ジュリーと真田広之が良い味だしとる。

 

「よし!さっそく車をとりに行こう!」

俺はアゴが疲れるサンドイッチを一気に飲み込むと、コーヒーを流し込んだ。

 

ドトールを出て、相棒を泊めている駐車場まで歩く。

「汚いところですが…。」

ささっと車内を片付け、ブスを招きいれる。

 

手間はかかるが、ドライブデートも悪くない。

ドライブデートは解放感がありながら、閉鎖された二人の空間でもある。

他の女性と比較することも少ないし、運転している間はあまり顔を見ないですむ。

他人にジロジロ見られることもないし、他の男に劣等感を感じなくてすむ。

 

「行こう!天草へ!エロエロエッサイム!」

そしてエンジンは発動した。

性格の良いブスと天草をドライブする

車は走る。「髪の長いブス」と「髪のないブス」を乗せて。

熊本の中心地から離れると、次第にのどかな風景が広がってくる。

 

髪長嬢は思いやりのある優しい女性だった。

途中のコンビニでお茶やお菓子を買ってくれたり、直売所でミカンを買ってくれた。

 

「海だー!橋だー!」

髪「わ~キレイな景色~♡」

 

俺たちは天草五橋(あまくさごきょう)の一番手、「天門橋」にたどり着いた。

天門橋と天城橋
※右が天門橋。心霊スポットとしても有名。左は2018年5月に新しく開通した天城橋。

少し高いところを通るが、そこから見える景色はなかなか素晴らしい。

天草は魔界じゃなかった。素敵なクソ田舎だ。

天草四郎ミュージアムでキリシタンの歴史を学ぶ

さて、俺たちは今回の目的地である「天草四郎メモリアルホール(当時)」に到着。

天草四郎ミュージアム
※現在は「天草四郎ミュージアム」に名称が変わり、葬儀場っぽさが無くなった。

天草四郎ミュージアムは、西洋調と近代建築を融合させたような不思議な建物だ。

高台にあって、有明海がキラキラと輝いて見える。

 

「いい眺めだねぇ。ここが天草四郎のお墓なんだ。」

髪「…お墓ではないよ。」

この天草四郎ミュージアムでは、日本最大の一揆とも言える「島原・天草の乱」や、キリシタンの歴史について学べる。

 

「うわぁ…農民全滅じゃん…こんなの酷すぎる。」

髪「う~ん。これは藩主が悪い。」

ボクたちは想像力豊かで、影響を受けやすかった。おかげでテンションは急降下だ。

 

「大丈夫!落ち込んだら『瞑想の間』でモヤモヤをリセットだ。」

痒いところに手が届くとはこのことか。

そろそろ帰りたい。デートは終幕へ。

展望台から美しい景色を眺めている。ブスと一緒に。

 

「あぁ、夕日がこんなに傾いている。そろそろ(熊本市内に)帰るかぁ…。」

髪「え?もう帰るの?」

役目は果たした。もう充分でしょ?

 

「そろそろ戻らないと、お泊りすることになっちゃうよ?」

髪「うーん。会ったばかりの人とお泊りはちょっと…うち両親厳しいから。」

「ほれ見たことか。」

素敵で微妙な天草を後にし、俺たちは熊本に戻ることにした。

 

(次回はカワイイ子と来たいなあ…。)

「ブスとデートする」というミッションは終わりを迎えようとしている。

ブスに上から目線で告白される

青天の霹靂

夜になりあたりが暗くなると、強烈な眠気が押し寄せてくる。

俺はあくびをかみ殺しながら、ハンドルを握る。

 

髪「ねぇ、YUTAROさんって彼女いないんだよね?」

「ん?いないけど…。」

髪「どんな女性がタイプ?どうせカワイイ子が良いんでしょ?」

「…優しい子かな?顔はあんまり関係ないよ。(ホントは佐々木希が好きだよ)」

髪「じゃあさ、付き合ってあげよっか?」

「ん?…誰と?」

髪「わたしと…。お似合いじゃない?」

いきなり告白された。しかも上から目線で。

 

(毛の多いブ女と、毛のないブ男か…。)

確かにお似合いだ。プラスとマイナスが上手くかみ合っている。

真っ先に浮かぶ「ごめんなさい」の言葉

ごめんなさい

告白されるのは嬉しい。光栄である。

だけど、真っ先に浮かんだのは「ごめんなさい」というお断りの言葉だった。

 

「え~と…なんつーか…。だって、今日会ったばかりでお互いのこと知らないし…。」

髪「そっか~。私のこと興味ないんだね…。」

「いや…そんなことは…。」

図星すぎて、なんと返せばいいのやら。

 

髪「まぁ冗談なんだけどね。はは…ウケなかったね。」

「や~め~て~よ~!わ~ら~え~な~い!本気かと思ったじゃん!」

髪「じゃあ本気。」

「アハハハ!またまた~!」

髪「アハハハ~!」

ここは笑っとけ。笑ってごまかしとけ。

俺たちずっと友達だよ?

ずっと友達

髪「じゃあさ!YUTAROさんに女の子紹介してあげよっか?」

「え?いいの?その子はカワイイのかい?」

髪「うわぁ~露骨っ!でもね、カワイイ子だよ。」

「…来週とか予定どうです?」

 

髪「私にも良い男いたら紹介してよ!」

「そう言えば、どんな男がタイプ?」

髪「優しい人で…顔がイケメン…。」

「それ以上言うな…理想が高いと婚期が遅れるぞ。」

一時はどうなるかと思ったけど、なんとか雰囲気も持ち直して、和気あいあいの帰り道だ。

 

髪「あ!そこのコンビニに停めてほしい。」

熊本駅近くのコンビニに車を停める。彼女はこの近くに住んでいるらしい。

 

髪「それじゃ、予定がわかったら連絡して。次回は友達も連れてくるから。でも、ご飯はおごってね。」

こちらに向かって手を振るブスに、俺はクラクションを一発鳴らして走り去る。

 

(…俺たちきっと良い友達になれるさ。)

 

だけど、髪長嬢に再会する日は来なかった。

彼女と友情を築けなかったこと、女友達を紹介してもらえなかったことは本当に残念だ。

続き➡ガールズバーの女をご飯に誘ったらまさかのOK。同伴目的の駆け引き?