ブスとデートは恥ずかしい?
俺の目の前にブスがいる。髪の長いブスだ。
その女は連れて歩けないほどのブスじゃない。でも、ここは美人が多い熊本だ。
どうしても周りの女性と比較してしまう。
もしかすると他人の目が気になって、恥ずかしくなってしまうかもしれない。
連れていて恥ずかしいと思うような女性と、恋愛関係に発展することは…きっとないだろう。
熊本に来て二日目。俺の口からは「焼きそばUFO」を食ったあとの臭いがする。食ってないのに。 (俺も…あと半年で30歳か。) 数年前に始めた「出会い系の旅」。58キロだった俺[…]
ブスとデートするときは、どんな場所が良い?
YUTAROがブスとデートする時は、
- 短時間のデート
- 人の目が気にならない場所でのデート
この二つを心がけるようにしている。
※これは、あくまで個人的な意見であり、ブスっぷりにもよります。
例えば、
- カラオケ
- 個室のある飲食店
- カフェやファーストフード店の奥の席
なんかをデート場所に選んでいる。
「お断りして帰ってもらう」という方法もあるが、あとで罪悪感に苛まれるのと、
女性を傷つけるような行動ばかりとってると、めぐりめぐって自分に帰ってくる気がする。
だから化け物レベルのブスじゃない限りお断りはしない。
ドライブデートに決定
「これからどこ行く?」
髪長嬢「じゃあドライブは?天気もいいし!天草(あまくさ)いこうよ~」
緊張がほぐれたのか、ハゲを晒して見下されたのか、彼女はいつの間にかタメ口になっていた。
「天草?あの…天草四郎がいるとこ?」
髪「そうそう!今は死んじゃっていないけど(笑)」
歴史好きな俺には、とても興味深い場所だ。
幼い時に魔界転生という映画を見てから、「天草=魔界」だと思っていた。
※ジュリーと真田広之が良い味だしとる。
「よし!さっそく車をとりに行こう!」
俺はアゴが疲れるサンドイッチを一気に飲み込むと、コーヒーを流し込んだ。
ドトールを出て、相棒を泊めている駐車場まで歩く。
「汚いところですが…。」
ささっと車内を片付け、ブスを招きいれる。
手間はかかるが、ドライブデートも悪くない。
ドライブデートは解放感がありながら、閉鎖された二人の空間でもある。
他の女性と比較することも少ないし、運転している間はあまり顔を見ないですむ。
他人にジロジロ見られることもないし、他の男に劣等感を感じなくてすむ。
「行こう!天草へ!エロエロエッサイム!」
そしてエンジンは発動した。
性格の良いブスと天草をドライブする
車は走る。「髪の長いブス」と「髪のないブス」を乗せて。
熊本の中心地から離れると、次第にのどかな風景が広がってくる。
髪長嬢は思いやりのある優しい女性だった。
途中のコンビニでお茶やお菓子を買ってくれたり、直売所でミカンを買ってくれた。
「海だー!橋だー!」
髪「わ~キレイな景色~♡」
俺たちは天草五橋(あまくさごきょう)の一番手、「天門橋」にたどり着いた。
※右が天門橋。心霊スポットとしても有名。左は2018年5月に新しく開通した天城橋。
少し高いところを通るが、そこから見える景色はなかなか素晴らしい。
天草は魔界じゃなかった。素敵なクソ田舎だ。
天草四郎ミュージアムでキリシタンの歴史を学ぶ
さて、俺たちは今回の目的地である「天草四郎メモリアルホール(当時)」に到着。
※現在は「天草四郎ミュージアム」に名称が変わり、葬儀場っぽさが無くなった。
天草四郎ミュージアムは、西洋調と近代建築を融合させたような不思議な建物だ。
高台にあって、有明海がキラキラと輝いて見える。
「いい眺めだねぇ。ここが天草四郎のお墓なんだ。」
髪「…お墓ではないよ。」
この天草四郎ミュージアムでは、日本最大の一揆とも言える「島原・天草の乱」や、キリシタンの歴史について学べる。
「うわぁ…農民全滅じゃん…こんなの酷すぎる。」
髪「う~ん。これは藩主が悪い。」
ボクたちは想像力豊かで、影響を受けやすかった。おかげでテンションは急降下だ。
「大丈夫!落ち込んだら『瞑想の間』でモヤモヤをリセットだ。」
痒いところに手が届くとはこのことか。
そろそろ帰りたい。デートは終幕へ。
展望台から美しい景色を眺めている。ブスと一緒に。
「あぁ、夕日がこんなに傾いている。そろそろ(熊本市内に)帰るかぁ…。」
髪「え?もう帰るの?」
役目は果たした。もう充分でしょ?
「そろそろ戻らないと、お泊りすることになっちゃうよ?」
髪「うーん。会ったばかりの人とお泊りはちょっと…うち両親厳しいから。」
「ほれ見たことか。」
素敵で微妙な天草を後にし、俺たちは熊本に戻ることにした。
(次回はカワイイ子と来たいなあ…。)
「ブスとデートする」というミッションは終わりを迎えようとしている。
ブスに上から目線で告白される
夜になりあたりが暗くなると、強烈な眠気が押し寄せてくる。
俺はあくびをかみ殺しながら、ハンドルを握る。
髪「ねぇ、YUTAROさんって彼女いないんだよね?」
「ん?いないけど…。」
髪「どんな女性がタイプ?どうせカワイイ子が良いんでしょ?」
「…優しい子かな?顔はあんまり関係ないよ。(ホントは佐々木希が好きだよ)」
髪「じゃあさ、付き合ってあげよっか?」
「ん?…誰と?」
髪「わたしと…。お似合いじゃない?」
いきなり告白された。しかも上から目線で。
(毛の多いブ女と、毛のないブ男か…。)
確かにお似合いだ。プラスとマイナスが上手くかみ合っている。
真っ先に浮かぶ「ごめんなさい」の言葉
告白されるのは嬉しい。光栄である。
だけど、真っ先に浮かんだのは「ごめんなさい」というお断りの言葉だった。
「え~と…なんつーか…。だって、今日会ったばかりでお互いのこと知らないし…。」
髪「そっか~。私のこと興味ないんだね…。」
「いや…そんなことは…。」
図星すぎて、なんと返せばいいのやら。
髪「まぁ冗談なんだけどね。はは…ウケなかったね。」
「や~め~て~よ~!わ~ら~え~な~い!本気かと思ったじゃん!」
髪「じゃあ本気。」
「アハハハ!またまた~!」
髪「アハハハ~!」
ここは笑っとけ。笑ってごまかしとけ。
俺たちずっと友達だよ?
髪「じゃあさ!YUTAROさんに女の子紹介してあげよっか?」
「え?いいの?その子はカワイイのかい?」
髪「うわぁ~露骨っ!でもね、カワイイ子だよ。」
「…来週とか予定どうです?」
髪「私にも良い男いたら紹介してよ!」
「そう言えば、どんな男がタイプ?」
髪「優しい人で…顔がイケメン…。」
「それ以上言うな…理想が高いと婚期が遅れるぞ。」
一時はどうなるかと思ったけど、なんとか雰囲気も持ち直して、和気あいあいの帰り道だ。
髪「あ!そこのコンビニに停めてほしい。」
熊本駅近くのコンビニに車を停める。彼女はこの近くに住んでいるらしい。
髪「それじゃ、予定がわかったら連絡して。次回は友達も連れてくるから。でも、ご飯はおごってね。」
こちらに向かって手を振るブスに、俺はクラクションを一発鳴らして走り去る。
(…俺たちきっと良い友達になれるさ。)
だけど、髪長嬢に再会する日は来なかった。
彼女と友情を築けなかったこと、女友達を紹介してもらえなかったことは本当に残念だ。