(久しぶりに息子が朝立ちしとる!)
熊本遠征三日目の朝が来た。
俺は一発抜きたい気分になって、アダルト動画サイトにアクセスすべく、ノートパソコンを開いた。
だけど、青色の窓にパスワードを打ち込むところで手を止めた。
俺は冷静とムラムラのあいだで考える。
(これから、どんな女の子と出会うかわからない…ムダ打ちは控えねば。)
イヤイヤ期の息子を落ち着かせながら、ホテルをチェックアウト。
俺はこれから福岡市に向かう。
そして福岡で3泊したら、大好きな沖縄へ旅立つ。
出会い旅も折り返し地点。札幌に戻れば厳しい冬が待っている。
浮気症でメンヘラな恋人は、きっと俺のことなど忘れているだろう。
俺は浦島太郎の物語に自分を重ねた。
この竜宮城から戻った時、待っているのは孤独な現実だ。
(浮かれ気分で南国にいこう。そんで、札幌に戻ったら潔く逝こう。)
ダメ元でガールズバーの女をご飯に誘ってみる
午後2時。福岡市に到着。
俺は春吉にある「いつもの」有料駐車場に車を停める。
春吉はあまり治安が良いとは言えない場所なので、車中泊をするにはちょっと心配だ。
さて、今日は「柔ちゃん」と再デート。そのためにわざわざ熊本から戻ってきたのだ。
柔ちゃんは柔道家の「谷〇子」に似ていて、とっても美人だ。
前回会った時は、生理中でエッチができなかった…だけど今日こそは。
(オナニーも我慢した。ガンガンいこうぜ!)
車内で寝袋にくるまりながら、ゲスい考えをめぐらせていると、あっさりと意識が薄れてくる。
仮眠から目が覚めると午後5時前。
柔ちゃんとの待ち合わせは午後8時からだ。
(まだ、時間がある…暇だ。)
出会い旅で一番辛いのが、肉体の疲労よりも「暇な時間」である。
どうせなら動き回って、たくさん思い出(ブログのネタ)を作りたい。
常連客じゃないから恐れず誘え!
「そうだ!…あの子はどうだ?」
俺は中州のガールズバーで出会った「バー女」の存在を思い出す。
バー女は女性タレントの「スザンヌ」を数回殴ったような顔をしている。つまり美人だ。
(ダメ元で電話してみよう…誘うのはタダだ。)
俺はあのガールズバーの常連客じゃない。常連になるつもりもない。だからこそ無茶もできる。
プルルルプルルル!
バー女「は~い…もしもしぃ。」
「こんにちは。あなたのYUちゃんです。」
バー女「うん。それは知っとぉけど(笑)」
「あのさ、いまヒマ?」
バ「ど~したと?メールしても返ってこんけん。くらしたろ思っとった(笑)」
「くらす?…水のトラブル?」
バ「それはクラ〇アン!…くらすの意味は自分で調べてみて。」
うーん方言がわからん。
「同伴してくれる?」もセットでついてきた
「一緒にご飯食べたいなと思って。」
バ「え?いまから?」
「うん。」
バ「でも、あたし午後9時までにお店入らなきゃだから…それとも同伴してくれると?」
(やっぱり同伴もセットでついてくるか…。)
同伴をしないガールズバーもあるが、最近は同伴OKの店も多くなった。中には同伴料を取らない優良店もある。
「同伴は…給料日まで待ってくれ。俺も午後8時から予定あるからさ、一緒にちろっと飲もうぜ。」
バ「え~!どうせキャバクラ行くんでしょ?」
「いや…オッパブに行く。」
バ「キモっー!それならウチの店来てよぉ。」
「じゃあ、おっぱい触らせてくれる?」
バ「う~ん。ドンペリ入れてくれたらいいよ♡」
「ドンペリ入れるなら、キミにも入れたい。」
バ「ハァ~?キモいの真骨頂だね。」
このままではダメだ。
どうにかして「お店来てよトーク」から引き離さなければ。
思いがけぬ「デートOK」の返事
「とりあえず今から春吉にいるから来てよ。」
バ「わかった。いくよ。」
「…え?いいの?」
バ「うんOK。準備するから30分くらい待ってて。」
彼女はそう言い残すと、せわしなく電話が切れた。
(してやったり。アポ成功だ!)
何が彼女の心を動かしたのかはわからないが、とにかく俺はバー女と遊ぶことになった。
福岡は「客」と「キャスト」の垣根が低い
福岡のガールズバー嬢やキャバ嬢は、人懐っこい子が多い。
「客」と「キャスト」の垣根が低いのだ。客側から見れば、これはとてもありがたいことだ。
デートの約束をとりつけたとはいえ、バー女と会えるのはわずか2時間程度。
かなり無謀なスケジュールだし、無駄金を使うこともわかってる。
(でも、その無駄を楽しむことに意味がある…俺の半分は役に立たないもので出来ている。)
バー女「いまタクシー乗ってる。そろそろ春吉着くばい♡」
ハートの絵文字に勇気づけられ、俺は車から勢いよく飛び出した。
この街は本当に素敵な女子で溢れてる。
いざ合流。夜の女はテンションが高い
春吉の交差点にあるローソンにやってきた。
ヘパリーゼのドリンクをレジに差し出し、外国人店員に小銭を差し出す。
店員「アリガトゴジャース」
ゴミ箱の前でキャップをあけると、ゴクゴクとへパリーゼを流し込んだ。
その横では、香水の臭い女がウコンの力を飲んでいる。
(おやおや、これから出勤ですか?)
ローソンの前でタバコに火をつけ、ヘパリーゼの甘ったるい余韻を楽しんでいると、
向かいの横断歩道から、色気のないフォームで女が走ってくる。
(バー女だ…アイツ、走り方めっちゃブスやん。)
バ「ちょっとちょっと!路上喫煙はだめやって!」
彼女はそう言って、俺の右手を掴んだ。反動でタバコの灰が風に乗って散る。
「あ、ごめんなさい。」
俺は携帯灰皿にタバコの吸殻を押し込んだ。
「ねぇ生徒会長…なんか顔が浮腫んでない?」
バ「わたくしめに清き一票を!…ってだれが生徒会長や!」
(…博多でノリツッコミできる人…初めてみた。)
バ「昨日飲みすぎちゃってさ、ごめんね。顔パンパンで。」
バ「それと、今の浮腫んでるって言葉?それ、セクハラだから。後で訴えとくわ。」
「…酒も入っていないのに、ハイテンションだな。」
ガールズバーの女はお店の外でもテンションが高かった。
福岡人は焼き鳥が大好き
バ「それで何ご馳走してくれると?」
「…焼いた鳥。略して焼き鳥。」
バ「おっいいね~!博多女子の気持ちわかっとぉやん!」
(そ、そうなの‥?)
バー女が腕をからめてくる。
(ガールズバー店員とはいえ、さすが夜の女だぜ…一緒にいて楽しすぎる。)
ちなみに福岡には、焼き鳥屋が多い。
「石を投げれば焼き鳥屋に当たる。」そのぐらい多い。
福岡人は焼き鳥が大好きなのだ。
春吉本通を10秒進むと、スグに焼き鳥屋が見つかった。
「らっしゃいませ~!」
威勢のよい掛け声に乗って入店。
まだ開店したばかりだが、既に2組の客がいる。
「おビール二つ!」
バ「うえーい!カンパーイ!」
キンキンに冷えた黄金色の液体を泡と一緒に流し込むと、腹が「ギュルルルル」と鳴った。
(…あ、これ下痢予報だ。)
あたしは同伴をあきらめない
バー女「あ~今日はずっと一緒に飲みたいな~♡」
そう言って彼女は俺の脇腹を竹串でつついた。
「ちょっと!危ないし汚いでしょ!」
バー女「ねぇ~ダメぇ?か~んち!同伴しよっ!」
「ネタが古いって!今日はお店にはいかない。キミの同伴ポイントにはならない。」
バ「なんでよ~!いいや~ん!あたしは同伴をあきらめない。」
「だってさ、あのガールズバー…ガラ悪いもん。」
バ「はぁ?そんなことないし!ウチのお客さんみんな…。」
「みんな?良い人だって?」
バ「まぁ見た目は怖い人多いけど…。」
「やろ?俺も初めて中洲言った時、強面が多くてチビったもん。」
バ「まあそこは警察24時の中洲やし。でも、ケンカとか滅多に見ないよ。」
「ごめん、今日はホントに都合が悪いんだ。」
バ「たー!つまらん!」
バー女はペシッと俺のデコを叩く。
彼女はとてもノリが良い。
勤めているガールズバーでも人気の店員だ。(酒飲むと少し暴力的になるけど)
顔は「残念なスザンヌ」だけど、表情に愛嬌があって良い。
そして、頑張ればヤレそうな親しみやすさが、男達の心をひきつけて離さない。
セクハラで解散?
「キミってさ。エッチの時どんな感じなの?」
俺は酒の勢いで聞いてみる。
バ「…とつぜん何言ってんだ?おめえは。」
「バー女ってさ。セックスの時は大西洋のマグロ系?」
返事がない。あるのは生暖かい空気だけだ。
バ「あっ!いけない!もう出勤の時間だ!あたし、そろそろ行くね!」
「帰り方が下手くそすぎるだろ!」
まさかのセクハラで解散。調子にのってやらかした。
だけど落ち込んでもいられない、俺には次のアポがある。
まさかの「明日遊ぼう」でつながる可能性
バー女は座敷の端っこに腰掛けて、ブーツをはいている。
バ「今日はごちそうさまでした。」
「おう!常連のチンピラたちによろしくな!」
バ「え~?YUちゃん怒ってる?」
「…ん?怒ってないけど?」
バー女が引きつった表情になっている。
なんだか、後味の悪い終わり方になりそうだ。
(何が悪かった?とにかく、あとで謝ろう。)
バ「じゃあさ…。明日、二日酔いじゃなかったら、一緒に遊んでよ。」
「お?お‥おう。それって同伴…」
バ「じゃ!電話するから!」
そう言って、バー女は忙しそうに店を出ていった。
(二日酔いじゃなかったら?…これは期待していいの?その可能性信じていいの?)
誘われる時間が、
- 夕方だったら、ガチの同伴目的。
- 昼間なら脈がありそうな同伴目的。
(どっちにしろ同伴じゃねえか…。)
俺は複雑な気持ちになりながら、焼き鳥屋を出た。
携帯をチェックすると3件の着信が入っている。
(嘘?約束の時間‥過ぎてる?)
バー女とのデートはオマケだ。これからが本番なのだ。