どんなことがあっても書き続けてきた日記・・終了?
長い間大学ノートに書きためてきた出会い日記もこの時期で一旦パタリと止まっている。
「あえて」書かなかったからだ。
ただ、この時期にあったことはYUTAROの脳内にしっかりと刻まれている。
忘れるのはまだまだ先になりそうだ。
書こうかどうか迷ったが今では書いてもいいような心境になってきた。
これも人の人生だと笑って頂ければ本望です。
「これはどこに入れます?」
「えっと・・じゃあ、それはこっちのクローゼットに」
「新婚さんなんですか?」
「え?」
「あっ・・そうなんですよ~彼女との間にできちゃったんで腹をくくって名古屋に住むことになったんです。」
少し照れながら俺は言う。
「でも、札幌から引っ越しなんて大変ですね~」
「いや~確に!でも車でこっちに帰ってくるのが一番大変でしたわ。」
「車でですか!実際どのくらいの距離なんですか?」
「1300とか400とか。」
「ひえ~!ご苦労様でした!」
引っ越し業者のお兄ちゃんとそんな会話をしながら手際よく引っ越し作業は進んでいく。
そして彼らの鍛え抜かれたふくらはぎ。その筋肉にYUTAROは見とれていた。・・ジュルル。
引越しの間、隣人たちに挨拶をすませ、シャ○ィのサラダ館で買った粗品を渡す。
そして公共の「水道光熱」業者にも立ち会ったりした。
長距離移動の疲労もあったが、やらなければという使命感で思ったよりも体は動く。
引っ越し作業はその日のうちにほとんどが完了したと言っていいだろう。
あとは嫁を迎えいれるだけだ。
実家の親もとりあえず新居に招いてみたり、彼女の両親にも挨拶にいかなければならない。
落ち着いて好きなゲームを開始するのはもう少し先になりそうだ。ネットがつながるのも少し待たなければならないので、日記の更新はマン喫ですることになりそうだ。
出会い系を再開するのはしばらくはやめておくことにしよう。
そんな忙しさの中、また夜がやってきた。
今日は電気もつくし、風呂にも入った。3日ぶりのシャワーは天国だった。
ニトリのカーテンもつけたので外から丸見えということはなくなりそうだ。(低層のマンションなので通りから丸見えだった)
「よっしゃ・・一息つくか・・俺・・お疲れ様でした。」
タオルを首にたらしながら、コンビニのビールと枝豆で乾杯。
飲みながらテレビをつける。ちょうどナイター中継がやっていた。
「中日ドラゴンズ」の試合をリアルタイムで・・・そして「ホーム」で観戦するのはいつぶりだろうか?
こういうところで名古屋にいるんだなと実感をする。
そして、おとといまで札幌に住んでいたのがなぜか不思議に感じる。
「あっいけね!大阪子に報告しないと!忘れとった!」
携帯を手に取り、酒と疲労で脱力した指先でメールを打った。
「引っ越し無事終わりました~もうちゃんと住めるでよ。」
・・・・・
しかし返事はなく、眠くなってきたので直接電話をかけることにした。
プルルルルプルルル。
しかし「通話」になることはない。
きっと大阪子も早めに寝ているのだろう。明日は飛行機に乗って名古屋にやってくるのだから。
もしかしたら最後の札幌観光でもするつもりかもしれないね。アイツの事だから。
気にも留めずYUTAROも目を閉じた。そして安眠できたのはこれが最後だったんだ。