山口県の秋芳洞へ・・涼しくてマジでオススメ!
朝が来た。メイドのコスプレはしわを含んでベッドサイドに脱ぎ散らかっている。役に立ったね。
きっとキレイになって次の客が着ることになるに違いない。
「ううむむむ・・。」
うめき声のようなものを上げて俺は目を覚ます。
横で寝ていたはずの彼女がいない。
どこからか、かすかに水の音がする。きっと朝シャワーで身を清めているのだろう。
「ぐ・・腰が痛い・・なぜか腕も筋肉痛だ・・。」
タバコを吸おうと起き上がると体のいたるところがきしんだ。
昨日はとにかく盛り上がった。
この年になると1回戦でも命を削るレベルなのだが、昨日は立て続けに2回戦だ。
とにかくストレッチをして体をほぐそう。
魚「YUくんおはよう~♪」
後方から声がする?振り返ると魚女がいた。濡らした髪をタオルでふき取っている。
あたりまえだがもうメイド服ではなく、ホテルのパジャマだ。
「おはよう」
魚「何してるの?肩痛いの?四十肩?」
「いや・・ストレッチ・・てかまだ30代や!」
魚「え・・ぜんぜん上がってないw」
「うるせえw」
そんな感じで平和に訪れた朝。朝食を食べると俺たちはホテルを出た。
「ここ・・どこ?」
来るときは寝ていたし夜だったので周りの景色に見覚えがない。
ホテルが思ったよりも辺鄙な場所にあることに気が付いた。
「どこ行く?もう帰る?」
俺はナビを弄りながら彼女に聞いた。
魚「ねえねえYUくん。私行ってみたいところがあるの。」
「あんまり遠くは無理だで。」
魚「一応山口県だで。」
「どこだで?」
魚「秋芳洞ってとこだで。」
「どういうとこだで?」
魚「洞窟?あっ鍾乳洞で」
「でじゃなくて、だで・・ね。」
不自然な名古屋弁の応酬。俺は意味も解らないまま秋芳洞に向かうことになった。
秋芳洞(あきよしどう)とは?
山口県美弥市にある大鍾乳洞。総延長8.9kmとクソ長い。
読み方は「あきよしどう」と「しゅうほうどう」で議論になるが正確な読みは「あきよしどう」
ちなみにこの名前は昭和天皇が付けたとのこと。
温度は年中17℃らしく夏に行くと寒い。冬に行くと温かいらしい。
めっちゃ洞窟!剣とたいまつ持ってたらドラクエだわ
「ふううい!着いた!」
ラブホから50キロ以上の道のりを経て俺たちは秋芳洞にたどり着いた。
日曜日のせいか賑わっており、少し離れた駐車場に車を停める。
今日も暑い!秋芳洞の入り口まで向かうだけでも汗だくだった。
「よ・・よし!いくで!」
入場券を購入し、いざ入洞!
ちなみに料金は大人一人1200円。消費税が8%になっても変わっていないらしい。
魚「うわあ・・川キレイ!」
「マジや!てか既に涼しいっていうか・・肌寒い。」
入り口には川が流れており、この辺りには強烈な霊気・・というか冷気が漂っている。
こりゃボス絶対におるわ。
魚「ホントだ・・寒い。」
「俺があっためてやんよ!こっちこいよ!」
自然のクーラーは思ったよりも寒い。そして洞内は想像したよりも明るかった。(ライトアップされてる)
濡れている足元に気を配りながら集団の列について行く。
自然手足の動きがカクカクとなる。
これにたいまつと剣でドラクエだ。パーティはちょっと多すぎるけど。
魚「へえ・・岩がこんな変な形になってる!」
「ほう・・なんかロマンでんな。」
自然が何十万年もの長い時間をかけて作る情景は幻想的かつ芸術的であった。
絶叫・・ボス戦?
「んぎゃあああ!」
突然、誰かが絶叫を発した。
うかつにも俺はその絶叫により天に召されそうになった。
女性か子供の声だ。
「っちょ!びっくりするやん!ボスが出たんか?」
?「なんかいる!キャー!コウモリ!コウモリ!」
また誰かが言った。なんのことはない雑魚キャラのコウモリだ。
ずらっと天井にぶら下がり、中には飛んでいるものもいる。
魚「コウモリくらいで騒いで・・バットマンだってコウモリなのに・・。」
「いや・・バットマンはコウモリじゃないような・・あれは・・人間でしょ?コウモリに好かれてるだけで・・。」
魚「コウモリの改造人間じゃないの?」
「あのさ・・バットマン見たことある?」
魚「ロードショー的なので見たけどあんまり覚えてない。」
「ロッキーは?」
魚「生卵飲むボクサー。」
「おいおい・・w」
レベルの低い映画談義に花を咲かせながら俺たちの冒険は終わった。
※秋芳洞は暑い時期に行くのをオススメします。マジで涼しいっす。
お盆の連休にいかが?近くにサファリランドもあるよ!
そして長いようで短かった旅の帰り道。
魚「YUくん運転ありがとうございます。」
「いやいやなんのその。」
魚「帰ったらマッサージしてあげるね。」
「お!ありがとう。」
魚「今日は何食べたい?」
「疲れたし、そこらへんの居酒屋でいいよ。」
魚「じゃあご飯のあとでマッサージしてあげるから頑張ってね。」
「おうよ。」
気が付けば夕暮れ。
今思うと、俺たちの真面目な恋はこの頃がピークだったのかもしれない。