記事内に広告を含むことがあります

「良いお年を」彼女を見て俺は誓う

今年最後の彼女の姿を見て思う。

▷変わり果ててしまった好きな人編の1話目へ

目を覚ますと、部屋のいつもの天井が見える。

どうやって付着したのかわからない、線状の小さな汚れが天井にある。

いつかキレイに取り除いてやろうと考えてはいるが、夜になると忘れてしまう。

そして今日もその汚れを見て目を覚ました。

今日は今年最後の29日。今年最後の木曜日だ。

そして筑紫女と会う日だ。一体どんな事になるだろうか・・。

「会いたい」と言った彼女の目的は?何か意味があるのだろうか?

あまり眠れずに、うっすらと胸騒ぎを感じながら一日が始まった。

こんな日に限って彼女(衛生女)からメールが頻繁に届く。

彼女も既に年末休みに入っている。

そして、もうすぐ博多駅に来るらしい。博多駅に来るのは実家帰るためらしい。

 

衛「忙しくなかったら一緒にお昼ご飯食べようよ。」

「うんいいよ。準備しとくわ。」

 

短文のメールを打ち、歯ブラシを手に取る。

ゴシゴシと無造作に口の中を泡立てながら、着ていく服をゴソゴソと探す。

「パーカーでいいか。」

俺は準備を済ませると家を出た。

「んおおお!寒い!やっぱりパーカーだけじゃアカン!」

冷たい風を一身に浴びながら目的地を目指す。美野島から博多駅まではチャリで10分程度。

ヨドバシ博多の下にある有料の自転車置場にチャリを停めると、博多駅の中へと入って行く。

「うひょ・・混んでる。あいつ・・どこや?」

年末の帰省ラッシュのせいか博多駅構内は混み合っていて、「混んでるの嫌い人」からするとなんとも居心地が悪い。

新幹線乗り場の前で待っていると、衛生女が大きなキャリーバックを持って現れた。

「おお・・なんか大荷物やね・・。何日間実家に帰るの?」

衛「3日朝に帰ってくるから大体5日間かな?」

「それにしては荷物多くない?実家なら洗濯もできるやろ?」

衛「なんかプチ同窓会みたいなのあるらしいから、ちょっとオシャレに気を使おうと思いましてw」

「正月に同窓会ってなかなかやね。」

衛「田舎はこういう時しか集まれないからねえ。」

そんな会話をしながら、ラーメンを食うことになった。

新幹線のりばからほど近い場所にあるのがDEITOS(デイトス)の「博多めん街道」。

この当時から「博多めん街道」だったのかはわからないが現在はほとんどがラーメン屋である。

数ある博多の有名ラーメン店をスルーして担々麺を食うことにした。

ズルズルと担々麺をすする。

「もうセーター汚すなよw」

衛「わかってる!YU君もね。そういえば名古屋からは2日に帰ってくるんだっけ?結構早いんだね。」

「まあ・・実家にずっと居てもやることないし・・。」

衛「そっか・・じゃあ3日に会おうよ。きっと実家にお餅たくさんあるから、お雑煮作ってあげるね。初詣も行こ。」

「おお・・雑煮作れるんだ・・た、楽しみにしとくわ。」

彼女の料理の腕は期待できないが雑煮くらいなら・・。

担々麺を食い終わり、新幹線の改札でしばし恋人っぽいことをする。

衛「じゃあ行ってくるね。良いお年を・・。」

「うん。良いお年を。」

大きなキャリーバックを引きずりながら彼女は改札の中へ入っていった。

そして、何度も振り返り笑った。

 

そんな彼女を見て俺は誓うのだった。「浮気」はしないと。

 

続く➡久しぶりに会った彼女の姿が○○だった