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オデ子

背後霊に婚期をゆだねる田川出身の不思議ちゃん

オデ子

オデ「…言っていいのかな?」

「ズバッと言って。受け止めるから。」

オデ子は少し迷った顔をして、その重い口を開いた。

前回の話はコチラ

(なんか…痛風が来そうな予感。正月に数の子を食い過ぎた。) 俺は痺れる足を引きずりながら、天神南駅へとたどり着いた。駅の入り口には、女の子が寒そうに身を縮めて立っている。 「まいど[…]

あなた小峠に似てますね

オデ子

オデ「YUさんって…バイキングの小峠さんに似てますよね。」

「え~と…角野卓三じゃねえわ!」

オデ「いや、小峠さんに似てます。角野じゃなくて。」

振り絞ったボケすらも鮮やかにスルー。

 

「あのさ、それってモッタイぶって言うことかな?」

オデ「ごめんなさい…失礼かと思って。だけど…どうしても伝えたかったんです。」

(小峠に似てることを?)

 

「どうしても伝えたいって言葉はさ、もっとシリアスな場面で使ってよ。愛の告白されるかと思ったわ。」

オデ「まだ告白する要素ないです。一緒におでん食べただけですよ?」

「で、ですよね~。」

オデ「てか驚かないんですか?」

「ん?驚くって何が?」

オデ「小峠さんに似てること。」

 

「驚くもなにも今年三度目の小峠だわ。あはは。」

オデ「ホント?まだ、お正月あけたばかりですよ?」

「あはは。今夜が峠だわ。」

オデ「でも似てるって思ってたの、私だけじゃなかったんだ!胸のつかえが取れました。」

(…良くねえよ。コイツ性格悪いぞ。)

 

キミと楽しく過ごせるなら、俺は小峠と呼ばれたってかまわない。

キミと仲良くなれるなら、俺は小峠にだってなれる。

田川出身の有名人が先輩で後輩

オデ子「そうそう!小峠さんって福岡県出身って知ってました?田川なんですよ~。」

「へぇ、それは知らなかった。関東の人だと思ってた。」

 

オデ「あのね。小峠さんお兄ちゃんの先輩なの。だからYUさん見てるとお兄ちゃんのこと思い出すの。」

「…どうリアクションしたらええんや。」

 

オデ「バ〇リズムさんも田川出身で学生時代はバリバリの体育会系でめっちゃ怖い先輩だったって。」

「バ〇リズムってあの?…優しそうな顔してるのに意外だね。」

 

オデ「ちなみにIKKOさんはお父さんの後輩なの。」

「もしかして、オデ子も田川出身?」

オデ「あ、それは秘密です。」

この子、ゼッタイ田川出身じゃん。

 

「ちなみに俺の元カノも田川だったよ。」

オデ「へぇ、そうなんですね。てか話は変わるんですけど…。」

話変わっちゃったよ。もっとボクに興味持って!

背後霊に婚期をゆだねる女

おばけ

「YUさん背後霊って信じます?」

「…は、背後霊?」

(あれれ?急にうさん臭くなってきちゃった。)

 

オデ「私、30歳に結婚できるんですって。」

「オデ子は28歳でしょ?それ未来の話になっちゃうよ?」

オデ「はい。背後霊が言ってました。」

「あぁ…そうか…うん。つまり、オデ子は背後霊と話せるってこと?」

オカルト系女子ここに爆誕である。

 

オデ「いや、喋れません。」

「ん?背後霊が言ってたんだよね?30歳までに結婚できるって。」

オデ「はい。言ってました。」

「じゃあ、キミは背後霊と話せるんだね。」

オデ「いや、喋れません。私、霊感ゼロなんです。」

(これは…マズイことになってきたぞ。)

 

「あ、そっか!背後霊が夢に出てきたんでしょ?夢枕に立つってヤツ。」

オデ「夢にも出てきてません。」

おっと事件は迷宮入りである。帰ろう。

 

オデ「あ!私のこと変な女だと思ったでしょ。」

「…はい。現在進行形で思っております。」

オデ「説明不足でした。友達の知り合いに背後霊を見れる先生がいるんです。」

『背後霊を見れる先生』というのが、もうヤバい。

 

オデ「それであたし、その先生に背後霊を見てもらったんです。」

「守護霊じゃなくて?」

オデ「あ…守護霊だ。ヤダー!あたし酔ってる!」

(酒のせいにすな。)

※調べたら「背後霊」も「守護霊」もほぼ同じ意味らしいです。

 

オデ「それで私の背後…守護霊が言うには、30歳に結婚できるんですって!」

「ふーん。(ですって!じゃねーわ。)」

守護霊ビジネスに騙されてませんか?

「一つ疑問なんだけど、守護霊って未来がわかるのかな?」

オデ「…え?」

「守護霊にはそんな能力ないと思うよ。たぶんキミの後ろでボケーっと鼻ほじってるよ。」

オデ「私の守護霊はそんなことしないもん!」

「俺の守護霊はきっとほじる!」

 

オデ「…でも、先生が…スゴいお姫様が憑いてるって言ってたもん!」

先生もうちょっと具体性を持たせろよ。

 

「もし、守護霊に未来がわかるなら、その先生は株とか馬券買って豪邸に住んでるよね。」

オデ「先生はそんなズルい事する人じゃないもん!」

彼女の先生に対する謎の信頼はなんなんだ?

 

「オレってO型だから蚊にさされまくるのよ。でも守護霊は守ってくれないよ?その程度だよ?守護霊のパワーは。」

オデ「…違うもん…。」

「オレ365日腹壊してるし、たまに漏らすけど守護霊はパンツも買ってきてくれないよ?その程度だよ?守護霊のパワーは。」

オデ「…汚いもん…。」

もう一押しだ。畳みかけろ。泣かせたれ。

 

「そもそも、その先生は金を取るの?」

オデ「…鑑定料は二万円でした。」

「あちゃ~!あっちゃ~!そのうち何百万もする壺とか買わされるぞ!」

オデ「…ですかねぇ?」

「で・す・よ!守護霊の言うことなんか信じちゃダメ!未来は自分の力で切り開くんだ!包茎と一緒!」

オデ「‥‥。」

 

「自分という船を信じて人生の荒波を乗り切れッ!」

俺は決め台詞をかますと「バンッ!」とテーブルを叩いた。

後ろの女子会テーブルからクスクスと笑い声が聞こえる。

 

(いかん、ヒートアップしてしまった。)

 

「…なんか恥ずかしいね…違う店いこっか。」

オデ「…もう一件ですか?」

「ほら、キミの守護霊もハシゴしろって言ってるよ。」

オデ「ははは…嘘つき。」

 

こうして俺とオデ子と守護霊は、夜の春吉に消えていったとさ。

———おしまい———

続く➡ハッピーメールの大食い女とフードファイトした話