YUTAROの友人に福岡の某有名ラーメン店の大将がいる。
彼は一時期「マリアージュ」という言葉の虜になっていた。
一緒に西中洲の寿司屋に行った時は、
「このイカとわさび…最っ高のマリアージュばい。く~涙がとまらん~♪」
と言っていたし、
ブスだけどスタイルの良いキャバ嬢をアフターに誘う時も、
「これから一緒にマリアージュしちゃおっか?」
なんて言ってた。
天ぷらのだるまでは、
「YUちゃん、そのマリアージュ取って~。」
とイカの塩辛のことをマリってた。
何かにつけてマリアージュとほざく大将のことを、俺は生暖かい目で見ていたが、飯をおごってくれるのでツッコミはいれなかった。
ちなみにマリアージュという言葉は「結婚」という意味の他に、「最高の組み合わせ」のような意味で使われることがある。
さて、この話は僕の前立腺がマリアージュする話であり、ラーメン屋大将のくだりとは何の関係もない。
谷山子が鹿児島から持ってきたアナルグッズによって、俺のアナル開発はスタートした。
時に優しく、時に大胆に開発は進んでいく…。そして俺は自らの「アナルの才」に気が付きはじめるのだった。
アナルの先に在る「もっと気持ちいいこと」
ここは我が家のバスルーム。俺の疲れを癒やしてくれる優しさに満ちたプレイスだ。
いつもなら、マッタリ湯船につかりながら、俳句の一つでも想い浮かべる場所なのだが、今日は違った。
バスルームの床には多種多様なアナルグッズが転がっていて、さっきまで俺のケツの穴を行ったり来たりしていた。
(ああ…ボクの癒やし空間が、もろくも汚されてしまった。)
まるで愛車が当て逃げにあった時のような感傷。
「ねぇねぇ!もっと気持ちいいことしてあげよっか?」
谷山子は俺のケツの穴を見ながら言った。
彼女は人様のケツに異物を混入することに飽き始めていたが、何かをひらめいたように声色に好奇心が戻っていた。
(いや…いつ帰るんだ?オマエ。)
正直、俺はまったくノリ気じゃない。
痔持ちなのにアナルをたっぷりいじられて、心も肛門も疲れ切っていたからだ。
だけどもし、この申し出を断ったとしても、きっと谷山子は「もっと気持ちいいこと」とやらを実行するのだろう。
そもそも、彼女の目的は金を借りることであって、俺のアナルをいじることでは無かったはずだ。
「…もういいよ。さっさとやってくれ。」
谷「え~どうしよっかなぁ~。ホントに?本当にして欲しい?」
「はい。して欲しいです。(棒読み)」
谷「もぉ~!気持ちがこもってない!泣いて懇願しなよ、ブタ野郎!」
(あ、殺意さん…はじめまして。)
「ブーブー。気持ち良いことしてブー。」
俺は感情のこもっていない声でブタ役を演じた。
谷「てかさ、なんでまだ蒙古斑があるの?もう40歳でしょ?」
「それ蒙古斑じゃないブー。自転車に乗りすぎてできた黒ずみだブー。」
谷「そうなの?私も自転車の乗り過ぎには気をつけないと…。」
「ハァ…それでこれから何すんのよ?腹冷えてきたんだけど…。」
谷「あ、そうそう、そうだった!とりあえずお風呂あがろっか。」
「アナルプラグは?抜いても良いの?」
谷「うーん。アナルプラグはそのままお尻に挿しといて。」
「…なんでよ?」
谷「…なんとなく。」
俺たちは風呂からあがると、濡れた体をバスタオルで拭き取った。
俺のケツに入ったままのアナルプラグは、宿主との一体化が進んでいて、このまま日常生活を始められるほど馴染んでいた。
オロナインと指サック
谷「YUちゃん…オロナインある?それと指サック。」
「オロナインはあるけど、指サックなんて持ってねえよ。」
谷「…指サックはコンドームで代用できるか…。」
谷「でも、ほどよい『引っ掛かり』が欲しいんだよなぁ。」
谷山子は一人ぶつくさ言っている。
イヤな予感がする。
きっとまた「肛門」を駆使したプレイなのかもしれない。
「ほら、オロナイン。」
俺は洗面所の戸棚からオロナイン軟膏を取り出し、谷山子に手渡した。
彼女は洗面ボウルの中にお湯をためると、オロナインをチューブごとお湯の中に沈める。
谷「これでオロナインが柔らかくなるし…タオルはさっき体拭いたの使えばいいし…これで良し。」
「な、なにが良いのさ?」
谷「じゃあ、わたし前立腺マッサージのイメトレするからさ、寝室の暖房ガンガンにかけて待ってて。」
「はい。また後で…って、これから前立腺マッサージすんの!?」
前立腺マッサージって何ぞ?
ここ最近は前立腺マッサージという言葉は良く耳にするようになったし、デリヘルのオプションで見かけることも増えた。
だけど、俺は前立腺マッサージを経験したことがない。もちろん興味はあったが「イボ痔ちゃん」のせいで手を出さなかった。
(…そもそも、前立腺マッサージって何なのさ?)
睾丸とペニスの間にある「前立腺」を肛門内部からマッサージすること。
マッサージ方法としては肛門から指や専門の器具を入れて行う。
うまく前立腺を刺激することで大きな快感を得ることができ、その快感をオーガズムやメスイキと表現する人もいる。
なお、前立腺マッサージは医療行為として行われるケースもある。
101回目の前立腺マッサージ
想いふけりながらベッドで待っていると、谷山子がバスタオルと温めたオロナインを持って現れた。
彼女は無言で俺のケツを持ち上げると、バスタオルを俺のケツ下に敷いた。
それから、箱の中のコンドームを一つ取り出し、封を切って人差し指にかぶせる。
無駄のない彼女の動きを、俺は不安げに見つめている。
谷「やっぱりコンドームじゃダメか…ガバガバだわ。」
そう言うと彼女は小さく舌を鳴らす。
谷「仕方ない…今回は出血大サービス。素手でやってあげる。」
いやいや、出血なしでお願いします。
「…ほ、本当に前立腺マッサージなんてできるの?どこで覚えた?履歴書を出せ。」
谷「あのさぁ、あたしを誰だと思ってんの?」
「…変態のおばさん。」
谷「元彼には毎日やってあげてたよ、前立腺マッサージ。尽くすタイプだもん。」
「…尽くすの方向性がおかしいだろ。」
やはりコイツは一味も二味も違う。
谷「初めは見よう見まねだったけどね。やってるうちにコツが掴めたの。今じゃ前立腺マスターよ。」
指先から根本までオロナインを塗り込みながら、彼女は自慢げに言う。
谷「そうそう…元カレさ…前立腺マッサージがないと、満足しない体になっちゃったの。」
彼女は指先を見つめながら、「ふふふ」とサイコパスに笑った。
「そんなに気持ちいいの?めっちゃ不安なんだけど…。」
興味はあるが…とっても怖い。
谷「100回はやってるから安心してよ。」
(…ボクは101回目ということか。)
どうか、死にましぇんよ~に。
ライフ・イズ・余裕 ~肛門に指入ってんのに~
俺は仰向けに寝かされ、自分の両足を抱えていた。
そこには「女性側」の景色が広がっていた。
(あたい…これから指マンされちゃうのかしら?)
男性としての意識を、かろうじて保っていられたのは、眼の前に垂れ下がる「粗チン」と「金玉」の存在があったからだ。
だけど「粗チン」は皮をかぶっていて「キャン玉」は怯えるように縮こまっている。
脚のすきまから鋭い眼差しの谷山子が見える。彼女は俺に向けて人差し指をピンッと立てた。
(…来るぞ!いよいよ。)
谷「あ、この前さ~ライフ・イズ・ビューティフルって映画見たの。」
(え?それ…今する話?)
「あたしガン泣きしちゃった…家族って…良いよね。」
谷山子の目にみるみる涙が溜まっていく。
谷「あ、いけない。指にオロナイン塗ってるから涙は流せないね。」
「は、はぁ…?」
谷「じゃ、アナルプラグを抜きますね。」
突然、肛門というコンセントからアナルプラグがスポンと抜ける。
「んぁ~♡」
谷「あはは、痛かった?メンゴメンゴ。」
ズボボッ!
次の瞬間には、谷山子の指が俺の肛門へ入っていた。
谷「それでね。その後にプラダを着た悪魔見たの。もうテンション上がっちゃって!」
「…エクスキューズミー?」
谷「あ、力抜いてリラックスしてねぇ。危ないから。」
谷山子は淡々と映画の話をしながら、ケツの中で指をクイクイと動かしていく。
(これが101回目の余裕というヤツか…。)
前立腺かと思ったら、イボ痔さん
谷「あ‥たぶんこれだわ。」
谷山子がそう言った刹那、俺に激痛が走る。
「ストップ!それ違うッ!」
彼女の指に触れたものは、治ったと思っていたイボ痔だった。
これまで激しい戦火をまぬがれ、防空壕に潜んでいたのだ。
谷「あはは、ごめん。こんなに入口にあるわけないやね。それでさ~アン・ハサウェイが…」
「ちょっ!プラダの話は一回置いとけ。悪魔め!」
痔の存在を再認識したことで、俺の中にみるみる恐怖が広がっていく。
アナルプラグよりも指のほうがいい
谷「地雷の位置がわかったらこっちのモンよ。安心しな。」
彼女の指は、なんなくデッドゾーン(イボ痔)を越え、ゆっくりと前立腺へ迫る。
(ほぉぉ…指も悪くない…。)
俺の肛門の中で器用に動く彼女の細い指。そして暖かい肌のぬくもり。
アナルプラグとかいう、子供だましな大人のオモチャよりも、よっぽど気持ちいい。
いや、アナプラ体験を得たからこそ「この違い」に気づけたのかもしれない。
それに女性にアナルをいじってもらえるチャンスなど、風俗以外ではなかなかやってこない。
俺は今、とても貴重な体験をしていることに気が付いた。
前立腺マッサージは気持ち良いのか?
ザワ…ザワワ…ザワワ。
彼女の指が核心に近づくにつれ、俺の体はさとうきび畑のようにざわつき始めた。
暖房フルパワーの室内は暑く、俺の広すぎる額にじっとり汗がにじむ。
谷「…お、たぶん前立腺これだ。いくで。」
ほじほじほじ。
そして、突然メスイキはやって来た。
ゾクゾクッゾクゥ!!
前立腺を起点にして全身に快楽が伝わっていく。
「あぁあ!…んだぁッ!」
彼女の指が動くたびに、俺は全身はビクビクとけいれんする。
津波のように押し寄せる快感。
意図せずに足の指先がピンっと強張っている。
谷「あらら~メスイキしちゃったね。」
「メ、メスイキ?…どういう意味?」
メスイキとは?
メスイキとは射精をしないでオーガズムのような強い快感を得ること。
「女性がイクこと」と勘違いされやすいが、「男性が女性のようにイクこと」である。
なお、射精時の快感とかなり違うケースも多々あり、どういう行為をメスイキと呼ぶのかという定義もない。
「男性」が「射精しない」で「性的」に「めっちゃ気持ちいい」と感じたら、それはもうメスイキと呼んでいい…いや、呼ぶべきだ。
オマエはもうメスイキしている
谷「いや、オマエはもうメスイキしている。」
「俺は…すでにメスイキしていた…だと?」
谷「じゃあヒントあげる。YUちゃん潮吹きしたことあるでしょ?あれもメスイキ。」
「あれは…くすぐったくて死にそうだった。」
谷「それに、あんた乳首なめられるの好きだよね。」
「うん。SEXよりも好き。」
谷「それもメスイキ。」
「な~んだ。俺ってば、めっちゃメスイキしてんじゃん。」
正直、メスイキの正体なんてどうでもいい。
そもそも誰が考えたんだ?こんなにアホで恥ずかしい言葉。
初めて前立腺マッサージをした感想
「前立腺マッサージすっげえ気持ちいいっす!最高っす♡」
谷「ほらね。やって良かったでしょ。」
俺はイボ痔のこともすっかり忘れ、マリアージュのことも忘れ、前立腺マッサージの快楽をむさぼっていた。
今なら谷山子の元カレの気持ちも良くわかる。
「でもさ、たまに歯がキーンとするのよ。なんでだろ?」
谷「それは歯医者行けよ。」
「あとさ、妙に笑えてくる。なんでだろ?」
谷「あ~元カレも最初そうだった。肛門の中に笑いのツボでもあるんかね。」
「なぁ…記念に動画撮っていい?」
谷「別にいいけどさ…これだけは言っとくわ。あんた、いよいよキモイよ。」
では、今回の体験をまとめておこう。
- 全身に広がる気持ち良さがあった。
- たまに歯がキーンとした。
- なぜか笑えた。
- 翌日痔が悪化した。
※あくまでYUTARO個人の感想です(笑)
前立腺マッサージを受けたことで、強烈な快感味わえたり、虫歯を発見したり、爆笑したりと…たくさんの発見があった。
しかしこの後、俺のイボ痔は悪化し(冷えとアナルプラグのせいもあると思う)ボラギノールのお世話になる生活がしばらく続いた。
直腸は消化器官であり、決して快感を得るためのものではない。
危険やリスクをはらんでいる事も忘れてはいけないのだ。
…ってじっちゃんが言ってました。
鹿児島へ帰っていくセフレ
谷「ヤバい!もうこんな時間!あたし帰らなきゃ。」
谷山子は足音を鳴らしながら洗面所に走っていく。そして、スグに寝室へ戻ってくる。バッグの中に何かをツッコむと、ノーパンのままでジーンズを履いた。
「…博多駅までの道わかる?」
谷「うん。たぶん。」
「封筒はちゃんとバッグの中に入ってる?」
谷「うん。お金貸してくれてありがと。ゼッタイ返すから。」
もう金なんて返ってこなくても良い。今日の経験は30万円の価値がある。
谷「じゃあまたね!たまには鹿児島においでよ。」
「おう、お気を付けてな。」
エレベーターの扉がゆっくりと閉まる。
俺は彼女に手を振りながらつぶやいた。
「また…前立腺マッサージしてくださいね。」
しかし谷山子の顔を見たのはこの日が最後だった。
俺はこの話を書きながら、あるファイルの存在を思い出した。
そのファイルには、30秒にも満たない動画が入っていた。
ファイルを開いて「▷」をクリックすると、動画の再生が始まった。
そこには俺が大笑いしながらメスイキしている声と、ニヤニヤと不適な笑みを浮かべている、懐かしき谷山子の姿があった。
彼女は幸せになれただろうか?それだけが心配だ。
ーーー「借金とアナル編完」ーーー