風邪でデートをドタキャンする。苦渋の決断にむせび泣く男。

風邪で寝ていたい。だけど今日は大事なデートの約束がある。

長いメール期間を経て、やっと百合子に会えたのにまさかの風邪でダウン。

彼女の手によってホテルに運び込まれるという最悪の事態になった。

車も無いのに一体彼女はどうやって田川に帰ったのだろう?

 

「ぐぬぬ・・俺ってば最低だ!」

 

熱が落ち着いて、ようやく頭が働くようになると、今日の自分の情けなさに悶絶しそうになる。

 

「まずは謝らねば・・」

携帯を取り出し、力の入らない指でメールを打つ。

 

「今日は本当にごめんね。まさかいきなり熱が出るとは・・ホテルまで運んでくれたり看病してもらっちゃってありがとう。次回は挽回させてください。」

弱っている時に傍にいてくれる人は大切にするべきだ。

百合子に会えてよかった。遠路はるばる会いに来てよかった。俺はクズだけど心からそう思った。

もう一度彼女に会うまで名古屋に帰れない。じゃないと自分に納得できない。

 

俺は汗の染み込んだシャツを替えると、貪るように眠りについた。

翌朝になっても体はまだ少し熱を帯びていた。

足には力が入らず、なんだかふわふわとしている。食欲も全くわかなかった。

今日は福岡市である女性とデートが入っている。

 

出会い旅のスケジュールは空き日をできる限りなくすために、どうしてもタイトになる。

それが今回は思いっきりアダとなっていた。

 

「もう一日、このホテルで休ませてもらおうか?」

 

そんな考えが一瞬頭をよぎる。

だが今日はどうしても外せないデートなのだ。「あの子」と約一年半ぶりに再会するから。

 

俺はホテルを出ると、力の入らない足でアクセルを踏んだ。

車は西へと進んでいく。小倉から福岡までは意外と遠い。

いつもなら、300キロくらいの移動はへっちゃらだけど、今日はたった10キロの移動も遠く感じる。

 

(アカン・・やっぱりしんどい。)

全身から大量の汗が噴き出してきた。熱からくるの汗なのか、冷や汗なのかわからない。

なんとか宗像まできた辺りで限界が来た。路肩に車を停め近くの内科を探す。

息も絶え絶え小ぢんまりとした内科に到着。

俺はおばあちゃんや子連れのママに紛れて順番を待った。

 

先生「うーん、おそらく風邪ですね。」

「(知っとるわ!)そうですか・・あの早く治したいんですけど。今すぐに治らないですかね?」

先生「いやぁ今すぐは無理ですなぁ。お薬飲んで充分睡眠をとってください。」

「そこをなんとか・・点滴とかで・・。」

先生「脱水状態でもなさそうですし、熱もそれほど高くないので、安静にしてたらすぐ治りますよ。ちなみに点滴打ったら治るってわけじゃないですからね。」

「そうですか・・わかりました(泣)」

とりあえず医者から「それほどひどくはない」というお済み付きをもらった。少し安心した。

 

福岡市に入ると、まずは寝床探し。携帯でホテルを予約する。

まだチェックインまでは時間があったので「ウエスト」でうどんを食う。

ウエストうどん

博多のうどんはコシが弱め。体調不良の食欲が無い時に向いている。

 

「はあ・・はあぁ~・・おえぇ・・」

 

ため息をつきながら、麺を一本ずつゆっくりとすする。

※すいません。ウエストさん!マズいんじゃないんです!

 

うどんを食って、薬を飲んで、いつも福岡に来るときに泊まる春吉の「マイステイズイン」にチェックイン。

あの子と会うのは午後7時半だ。

(・・あと4時間。できるだけ体力を回復しなければ・・。)

俺はベッドに転がると、無理矢理に眠りについた。

デートに行くか行かないか?時間ギリギリまで勝負は続く。

「はぁ・・はぁ・・」

枕に汗が滴る。また熱が上がって来ている気がする。

待ち合わせの時間まで、あと二時間しかない。

 

俺にとって福岡は特別思い入れのある街だ。過去に恋人が出来て半年間住んだこともある。

今回の出会い系の旅では福岡に来るのを、一番楽しみにしていた。そして彼女に再会できる事を心待ちにしていた。

 

(だけど、思った以上に体調が悪いんだなぁ・・これが。)

 

俺に神様が味方してくれるなら、これから一瞬で熱は下がって、何気ない顔で酒を飲むことができるはず。

 

(奇跡よ起これ!)

しかし、現実はそんなに甘くなかった。

 

ピピッ!体温計から終了の合図が聞こえる。

「ええーー!?38.5度?」

熱が全然下がってねえ!あのヤ○医者め!

 

「このまま、名古屋に帰るべきか・・。」

リタイアを考えるほど、体が「NO」を突き出している。

 

「でも・・デートが・・会いたい・・。」

だけど気合でどうにかなることじゃない。

ホテルの壁を伝いながらトイレに行くのがやっとだ。

 

「無理をしてデートすることもできる。だけどそれをすれば、一生リタイアの可能性も無きにしも非ず・・。」

死ぬか、生きるか・・?でっどおああらいぶ。

その決断は時間ギリギリまで持ち越された。だって相手は筑紫女だから。

 

筑紫女の写真

筑紫女ハッピーメールで出会った、本仮屋ユイカ似のOLさん。福岡県の筑紫野市に住んでいる。一年半ぶりに再会した。

前回の筑紫女

大事なデートを忘れてた!どんな理由でキャンセルしたら嫌われない?衛生女との駐車場での少しエッチな騒動の後。YUTAROはしばらく、その場でヘタりこんでいたが、ようやく立ち上がって歩きだした。 「さ、寒い[…]

 

筑紫女を簡単に説明すると、可愛くて、明るくて、清楚系。そしてエロい・・。とても魅力的な女性だ。前回の出会い系の旅のMVPである。

大阪子の妊娠騒動により、一度はアドレス帳から抹消された彼女だが、「バックアップ」という最新技術によって救われた。

 

「YUTAROさん、また福岡来るんですね!是非飲みにいきましょうよ♪」

彼女は再会することを喜んでくれた。敬語スタイルも健在だ。

 

「・・熱よ下がれ・・」

さっきから何度も熱を測っているが、結局38度を割り込むことはなかった。

ドタキャンの決断に涙。

結局アポの1時間前になっても、俺の体調が回復することはなかった。

そろそろ決断をしなければならない。ドタキャンの決断を。

俺は携帯を取り出し、指を動かした。

 

「すいません。風邪引いて高熱が出ちゃいました。すごく残念だけど、別の日にしてもらってもいいですか?」

迷いながら、送信ボタンを押す・・。

 

(・・終わった。ドタキャンしてもうた・・。)

すぐに携帯がバイブする。

 

筑「え!大丈夫ですか?風邪ですか?今日は安静にしてください。なんか買っていきましょうか?」

(・・なんてええ子なんや・・。)

こんな素敵ガールとデートができないとは・・。憎い、自分の貧弱な体が憎い。

俺は力の入らない手でシーツを握った。

 

「風邪移っちゃうといけないから大丈夫だよ。本当にごめんね。」

筑「いいですよ。部屋の前に置いときますから。ホテルの名前と部屋番号教えてください。」

(な、なんだ・・この押し付けがましい親切は・・。涙がとまらねえ・・。)

 

少し時間が経った頃、部屋の前に気配を感じた気がした。

(・・もしかして筑紫女?)

ドアのスコープから覗くが、誰も経っていない。勘違いかと思ったが一応ドアを開ける。

「ドサっ」という音とともに何かが床に落ちた。

 

(こ、これは・・ファミマの袋?)

拾い上げると、ポカリとたらみのフルーツゼリーが袋一杯に入っている。

そして折れ曲がったメモが入っていた。

 

筑「早く良くなってくださいね♡」

 

優しすぎるぜ・・筑紫女・・。

優しすぎるぜ・・修羅の国・・。

(・・こんなにたくさんゼリー食えねえよ・・ちくしょお・・。)

 

俺はゼリーを口の中にかきこみながら、再起を誓うのだった。

 

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