デートなのに人生で最高レベルの二日酔い
昨日のテキーラがガッツリ残っている。空前の二日酔いだ。
出会い系サイトで知り合う⇒居酒屋デート⇒うまくいけば女の子とセッ○ス
こんな感じで、これが俺の一番のゴールデンコースだ。(酒を飲むと積極的になれるもんね。でもこれ実力じゃなくて酒の力?)
結果は出やすい分、慢性的に二日酔いになってしまう。
成功率は高くても、やっぱり酒の飲みすぎは良くない。おかげで体はボロボロだ。(´;ω;`)
東京最後の浅草アポ。でも気持ち悪くてバックレたい。
早朝にホテルに帰ってきてからは地獄を体験した。テキーラの影響が時間差で現れたのだ。
午前5時
彼女の家から帰ったのは午前5時過ぎ。。
かなり酒を飲んだので、眠る前にウコンの力とへパリーゼの酒飲み界のツートップを一緒に飲んだ。そしてホテルのベッドに倒れ込んだ
午前9時
気持ち悪さで目覚めて、トイレでリバース。アルコールと胃液だけの吐瀉物が出る。
その後、例えようのない二日酔いの気持ち悪さ&嘔吐と戦うことになる。
胃と食道の中に異物でも入っているかのような不快感。吹き出る冷や汗。
「うう・・もう死にたい・・いっそバッサリやってくれ!」
- 酒は飲んでも飲まれるな!
- 女性とセックスするときはコンドームをつけましょう!
この二つの教え・・結局どちらも守ることができなかった。
デート時間が近づく。現場までゾンビモードで行く
午前10時
いよいよデートの時間が近づいてくる。あと二時間ほどで浅草まで行かなければならない。
待ち合わせは12時。浅草駅だ。
ここで俺は酒を抜くため、熱い風呂に入って汗をかくという暴挙にでる。
酒を飲んだ後はアルコールの影響で体は脱水状態にあるので、風呂に入ったり、運動をして汗をかくのは危険な行為らしい。
吐き気に強烈な頭痛をプラスするという結果に終わる。激しい頭痛で目の前の景色が歪む。
午前11時
(ああ・・せっかくのホテル宿泊なのに、ほとんど休めなかった。)
チェックアウトギリギリまで滞在した芝公園のホテルを出る。
(うう・・ちょっと歩いただけで気持ち悪い。)
ホテルを出てすぐにベンチがあったので、しゃがみこんで30分程過ごす。
(車には乗れない。いや・・飲酒運転で絶対乗れない。)
今日はさすがにキャンセルか?バックレたい。
いやいや最後の東京デートなのだ!ドタキャンはされても、するな!
午前11時半
きもい きもい ちかてつ きた
ひどいかおなんで ころし
うまかっ です。
ゾンビのような思考能力で、ふらふらと芝公園駅にたどり着く。
「こんなグロッキー状態で、複雑な東京の電車なんてわかりません。」
待ち合わせまでの時間もあまりない。
助けて駅員さーん!
なんとか浅草駅までのルートを教えてもらい、切符を買う。
地下鉄浅草線に乗ってからは、意識が途切れ途切れ・・真っ青になりながら電車に揺られる。
絶妙な揺れが、酸っぱい胃酸を喉元に押し上げてくる。
相手はラブサーチで知り合った歯科衛生士
そろそろ浅草駅に到着するので、今日の相手のご紹介。
---浅草子---
年齢:20代半ば
出会ったサイト:ラブサーチ
コメント:
職業は医療系で歯医者さんで歯科衛生士。
浅草に子をつけただけの安易なあだ名なのにな平安時代の随筆のようになってしまった。
ラブサーチで知り合ってから、メール期間は1ヶ月ほど。
メールで意気投合したというよりも、「今度、東京行くんで一緒に観光しませんか?」と自己中心的に誘ってみたところ、意外にもOKが出たという感じだ。
写真も見ていないので顔も知らない。でもとりあえず会っておこうと思う。(ブスが来たらバックレよう。)
「浅草駅・・?着いた?」
地下鉄の扉が開くと、ゾンビは下町に放たれた。
風情の下町浅草に到着。
起きろ俺!ここからが本当の勝負だ!力の入らない足で、トイレに向かう。
ジャバジャバ!
浅草駅のトイレで顔を洗う、冬の冷水が毛穴を引き締め、顔の脂を奪っていく。
鏡には青白い唇をした変わり果てた自分の姿が映っていた。頭痛は少しだけ和らいだが胃のムカムカは収まらない。
あらかじめ浅草子と決めておいた今日のデート内容は、
浅草寺やその界隈の下町を散策した後に、お昼ご飯を食べるという初デートにはもってこいの平和なデート計画だ。
彼女もきっと今日のデートを楽しみにしてるはず。
(動け!動けえ!)
東京という戦場では体調不良という言葉は通用しないのだ。
呼吸を整え、地上へとはい上がる。
地上に上がると、そこには日本を代表する下町浅草があった。
駅のすぐ横を隅田川が流れるこの町。吾妻橋が川をまたぐようにかかっている。
道行くおばちゃん連中に混じって外国人が多い。
浅草駅にて電話で合流
「ぐふ!人が多い・・も、もう着いているかな?」
昨日、浅草子には電話番号を教えてあるのでそろそろかかってくるはずだ。
警戒心の強い。慎重派女子なら、電話じゃなくてメールが来るかもしれない。
グビグビ・・・自販機で買った、水を飲んでいると、携帯がバイブした。
「はい・・もしもし?」
浅「あっYUTAROさんですか?浅草子です。・・もうついてますか?」
「つ、ついてますよ~地下鉄の出口すぐです。」
浅「地下鉄のどこの出口ですか?」
「あっなんか銀座線?の4番出口です。屋台みたいな居酒屋があります。」
浅「4番出口・・あの・・もしかして、近くにいますか?」
「・・オレンジのコート着てます?」
浅「あっ多分わかりました♪」
運良く、同じ出口にいたようだ。
歯科衛生士は美人が多い?マスクの下の素顔は?
YUTAROの元に浅草子が近づいてくる。歯科衛生士、歯科助手は美人が多い。
歯医者に行くと美人の歯科衛生士さんにドキドキしたものだ。
なぜ歯科衛生士は美人が多いのか?理由を考えてみたい。
歯科衛生士はほぼ100%女性の職業。
男性の歯科衛生士や歯科助手が歯医者で働いているところを見たことがあるだろうか?
全国的にみても男性の歯科衛生士はほとんどいない。
看護士もあてはまるかもしれないが、最近は看護士は男性も増えてきているので、歯科とは少しだけ違うかもしれない。
女性が多いということは、美人の割合も増えるということだ。
歯科医師が自分の好きなタイプで選ぶから。
歯医者のほとんどが個人の開業医で男性が多い。街の歯医者さんは男性が多いというのも理由の一つだろう。
男性目線で見たらブサイクよりも美人で若い歯科衛生士を雇ったほうが断然いい。
YUTAROが歯科医師だったら、間違いなく、そういう感覚で雇ってしまうだろう。
しかも美人を雇えば、男性客も増え、いい宣伝にもなりそうだ。(ゲス)
マスク効果でしょ!?
歯科衛生士さんはマスクで口元を隠しているため、目元だけしっかりアイメイクしていれば、実は女性は結構美人に見えるのだ。
目元のメイクだけでいろいろな芸能人を再現できる、あのざわちんなんかがいい例だ。
これをマスク美人と言う。
口に関しての美意識が高い
彼女たちは、歯医者で働いている分、歯に関しての美意識はかなり高い。
歯並びが悪いかったり、歯が汚い人あまりいない。
矯正で歯列を整えていたり、審美歯科に勤めている歯科衛生士さんはホワイトニングをしていることもある。
歯が綺麗だと顔の輪郭も綺麗になる。
ということで顔全体のバランスも整っていることが考えられる。(歯並びが悪いと顔全体が歪むらしい。)
過去に出会い系で会ったことがある歯科衛生士や歯科助手は美人だったことが多い。
歯医者は男性がほとんどいない、女性の職場(歯科医師以外)なので出会いもそれほどある職業じゃない。
だから出会い系サイトを使っている歯科衛生士もちょくちょくいたりします。(これは看護師さんも同じ)
彼女らは結構まじめに彼氏探しで使っていることが多いので狙い目だったりする。一度探してみては?オススメです。
さて浅草子は美人だったのか?
「かわいくないです」と自己申告する女の見た目はブス?美人なの?
相手はオレンジのコートを着ている。同じ銀座線の4番出口付近にいたらしい。
周りを見渡すと、電話で彼女が言っていたとおり、少し先にオレンジのコートを着ている女性が立っていた。
目が霞んでいるのか、それとも出会い系のやりすぎで視力が落ちたのか・・浅草子の顔は微妙にぼやけて良く見えない。
YUTAROは、今自分ができるであろう、満面の笑みで彼女に向かって笑顔を作った。そして弱々しく手を上げた。
ここは男性から行くべきなのだろうが、彼女のほうから俺に向かって歩いてきてくれた。
経験上80%はブスが来る!
浅草子との距離が5メートルほどに縮まったあたりで、俺のピントも合ってきた。
ぼやけていた彼女の顔が鮮明になっていく。今日のデートは消化試合のつもりだった。
「自分なんて全然かわいくないですから写メは送りたくありません。」
彼女はそう言って写メ交換を拒否してきた。
こういう自己申告してしまう女性は、経験上本当にかわいくない子が多い。
たまに普通の子もいるが、美人には会ったことがない。
かわいくないという自覚があるから、こういう言葉を吐くのだ。
このセリフを言う女性の多くが『中の下』~『かなりヤバイレベル』の範囲でおさまっている。だから80%はブスだと思って良い。
浅草子からの、このメールでかわいい子が来るという希望はほとんど失われていたが、歯科衛生士という美人が多い職業にわずかばかりの光を見出していた。
もし、ブサイクが来たとしても、酒ばかり飲んでいつも体調を壊している自分への戒めにしよう。・・このブログが炎上していないのが不思議だ。
謙遜?常盤貴子似の美人が来た
「あわわ・・美人や・・。」
人の経験なんぞあっさりと覆される。
現れたオレンジのコートの女性は常盤貴子似の美人だったのだ。
白い肌に少しつり上がった目、意志の強そうな眼差し。大人の魅力あふれる、アジアンビューティー。
東京で会ったどの女性よりも、美人に見えた。(都会女は酒癖が最悪なので格下げ)
「私なんて全然かわいくないですよ。」
お前さん・・そりゃ本物のブサイクに失礼だろ。
謙遜しているのかもしれない。まずは性格を知って欲しいのかもしれない。
遠慮がちなのか、したたかなのか。彼女は曲者だ。
体調不良の時に限って美人が来る
「こんにちは浅草子です。」
彼女は落ち着いた口調で名前を言う。都会の大人レディは一味違う。
「どうも・・・YUTAROです。」
言い慣れた自分の名前も今日ばかりは力がない。
それよりも、彼女がつけている複雑な匂いの香水(普段はいい匂いに感じるはず)のおかげで、いったん収まったはずの吐き気がぶり返えす。
なんたる様だ。普段ならこんな美人とデートというだけでテンションうなぎのぼりなのに・・・。
今なら浅草子が裸で隣に寝ていても、なにもできない自信がある。二日酔いは恐ろしい病気だ。
二人は浅草寺に向けて歩き始める。近づくにつれて人が増えてくる。
いつもなら美人が隣に歩いているだけで鼻高々なのだが、今日は吐き気を催すだけだ。
浅草寺前の参道は両側にお店が連なっていて、人口密度がかなり高い。
黒い頭が右へ左へ揺れ動き、今度は人に酔いそうだ。
(・・クセエ)
浅草子の香水なんて目じゃない。
おば様やおじ様のミステリアスなフレングランスと体臭。頭がクラクラするっす・・・。
(気持ち悪い。香水の匂いでまた吐き気をもよおしてきちゃったよ・・一応トイレの場所を把握しとかなきゃ・・)
とネガティブな考えしか出てこない。せっかくの浅草子のデートも心ここにあらず。
「大人しい人」上手く喋れない。
女の言う、また今度は来ない気がする
浅「YUTAROさんって意外と大人しいんですね~メールをよくくれる人だったから、すごいしゃべる人だと思ってました(苦笑)」
・・と現実では浅草子に気を使わせてしまう始末。がっかりさせてしまったかな?
「き、緊張してまして・・・」
と柄にもない言葉を吐く。いや・・・もういろいろ吐きたい。
「体調悪い」でデートは終わる
「実は僕、二日酔いで体調最悪なんですよ・・」
いつもの俺はこんなにローテンションじゃないのよ!・・もちろんそれを伝えたい気持ちはある。
しかし今ここで、それを彼女に伝えてしまったら・・。
浅「そうなんですか・・今日はもうこれぐらいにしてゆっくりしてください。また今度体調が良くなったら遊びましょうよ。」
きっとこんな内容のことを言ってくれるに違いない。思いやりの日本人テンプレートだ。
でも、そのタテマエを本音に言葉を翻訳すると・・
「ああ?テメエ!マジかこの野郎!デートするのは前からわかってたんだから体調くらい整えとけや!いいオッサンのくせに!お前は遠足前の子供か?ハゲが!もしかして私が気に入らないってことか?さっさと帰れ!お前とは二度と会わねえからな!」
というような感じなんだろう。
言ってしまえばデートは終わる。そして、彼女は二度とYUTAROと会ってくれないだろう。
今度は二度と来ないのだ。
と、とにかくこんな事態は避けなければいけない。二日酔いが治るまで・・もう少しの辛抱だ・・俺。
浅草寺までたどり着くも、雰囲気はどんどん悪くなる。
浅草寺の参道、人ごみを掻き分け、ジジババアの匂いにも負けず、浅草子とほとんど喋ることもないまま・・・。
なぜ、楽しいはずのデートがこんなにも辛いのか?
もちろん、こんなデートが楽しかろうはずがない。
「全然しゃべらないけど・・この人もしかして怒ってんの?私なんかしたかな?キモいんですけど・・」
たぶん、浅草子はこんな風に困惑していたと思う。
相手が言葉に出さなくても、確実に印象は悪い。
こんなことなら、早い段階で「仕事が入ったから予定を夕方からにしてくれないかな?」と嘘でもいいから言っておくべきだった。
有名な浅草寺雷門の鮮やかな朱色の提灯も色あせて見える。
浅草寺の煙を浴びると病が治るって
雷門を通ると、本堂の前には浅草寺名物の「煙モクモクの香炉」がある。
有名なので、たぶん皆さんも目にしたことがあると思う。
香炉の周りには、ババア・・おばちゃん達が群がって、頭だの胸だのに煙を手招いている。
ちなみにこれは、常香炉と言って、常にお香がたかれているらしい。この煙を体の悪い部分に当てると、病が治ると言われております。
浅「あっ!あの煙浴びたかったんですよ~行きましょうよお~」
浅草子がくれた貴重なパス。受け取らずにはいれない。煙を浴びたら、この二日酔いも治るかも知れないし・・。
「うん・・いこう!」
ようやく仲良くなれそうな雰囲気だ。僕たちこれから頑張っていこうね!
いざ、香炉にたどり着くと強烈な線香臭がする。
(と、とりあえず、胸とかお腹とか頭に煙を・・・いや、このまま体ごと香炉に突っ込んだろうか?)
モクモクモク。
(ふ、二日酔いを・・・な、治して・・くださ・・・)
香炉の煙を浴びた瞬間、抑えようのない、急激な吐き気が遅いかかる。
も、もう耐えられない!
「ふぐう!」
急ピッチで食道を何かが駆け上がってくる。
ダメだ!吐くぅ!!
ここでリバースしたら大惨事だ。科学テロだ。浅草寺を出禁になることは免れない。
ゲロを吐きだそうとする体の反応に逆らって、理性でもってYUTAROは口を懸命に閉じた。
「んんお!ぐぬうぬぬうううう!!」
口の中に酸っぱい匂いが広がる。
その瞬間、鼻の穴は広がり、呼吸が乱れた。心臓はハイペースで脈打っている。
(こらえろ!飲み込めえ~!)
!!!ゴクリ!!
プチゲロの範疇ですんだようで、再び奴は胃の中に収まっていく。
浅草子は・・・YUTAROの様子に気がついていない。不幸中の幸いだ。
でも、もう喋ることはできない。口から放たれるゲロ臭は誤魔化しようがないのだ。
浅「ほらYUTAROさんもたくさん煙浴びて~♡ご利益あるかも♡」
浅草子に向かってコクりと頷き、香炉の煙を浴びる。指先は震えている。
煙のせいなのか、ゲロのせいなのか、涙と冷や汗が止めどなく、あふれだしていく。
浅「YUTAROさん涙でてますよ?煙かった?」
「・・・うん・・ちょっとね」ボソりと返す。
浅「ティッシュ使います?」
「・・・いや・・大丈夫です。」口を小さく閉じて息を吐き出さないように。
こんなキモ男でも優しすぎる天使
彼女と会ってからほとんどしゃべらず、冷や汗を流し、溜め息ばかり。そして、青ざめて血色が悪い。
俺はかなりキモい男になっている。それでも浅草子はやさしいままだ。
ほとんど一言で会話を終わらせるYUTAROに対して、彼女は笑顔で話を振ってくれる。
天使だった。でもこのままじゃいけない・・・。
今日、俺は力尽きてもいい、彼女のために楽しいデートを実現しようじゃないか。
そして、最後に笑いながら彼女の腕の中で逝こう。
神様の前だ、きっと天国も近い。
気合を入れ直したYUTAROは、ペットボトルの水を流し込みフリスクを頬張った。
世紀末状態だった口の中の暗雲が晴れていく・・。
口の中スッキリ!気分もスッキリ!・・とまではにいかない。
吐くべきものを飲み込んだのだ。原因はまだ腹中にいる。
ランチにうなぎを食おう
「お腹空きましたねー!そろそろご飯食べましょうー!」 浅草子が言った。
もうランチタイムか。とても飯なんて食える体調じゃないが、こんなシケた状態でデートをしてしまったという後ろめたさがある。
今日はできるだけ浅草子に尽くしたい。
「う、うん、お腹減ったね・・食べよう。」俺は言った。
今日の予定では、浅草においしいウナギ屋さんがあるので、そこに行こうということになっている。
商店街にある「うなぎ料理店つるや」。天丼も美味いらしい。
二人は鰻屋に到着。
浅「わぁーうなぎの良い匂い!お腹なっちゃう!」 店の入り口で浅草子が言う。
「どれどれ・・?ふぐお!」
リバース!デート終了は突然に。
これまでなんとか抑えこんでいた体内の悪霊が急激に暴れ出す。
(やめろ!やめろ!出てくるなぁ!)
排水溝!排水溝! YUTAROは急いで路上に飛び出した。そして通りの路肩にたどり着いた瞬間。
「オロロロロロ!」
勢い良く悪霊が飛び出してくる。さっき飲み込んだフリスクが未消化のまま排水溝に消えていく。
YUTAROはしばしの間、吐き続けた。
浅草子「ポカーン(゚д゚)」
周りの人「ポカーン(゚д゚)」
YUTAROを取り巻く半径5mの時間が止まっている。
真っ赤になりながら浅草子の元にもどる。もうなんて言ったらいいのやら。
教訓:いつ良い出会いがあるかわからないからよ!
「さて、ウナギ食べますか?」
浅「いやいやいやいや!だ、大丈夫ですか?いま吐いてましたよね?」
「吐いてないです。」
浅「絶対吐いてましたよ!YUTAROさんもしかして体調悪いんですか?」
「えっと・・たぶん風邪です。(二日酔いって言うのが恥ずかしかった。)」
浅「吐くほどひどいじゃないですか!なんかさっきからずっと体調悪そうだったし。熱は?てか今日は帰ったほうがいいですよ。」
気づいてたのね。
「でも・・うなぎ食べなきゃ。」
浅「うなぎなんて病気で食べれる物じゃないでしょう!」
うん。つくづく正論。
「ほら!タクシー拾うから乗ってください。」 通りにむかって手を上げる浅草子。 すぐにタクシーは止まった。
浅「帰ってゆっくり寝てください。きつかったら病院行くんですよ!」
タクシーのドアが閉まる。離れていく浅草子。まさかの戦力外通告。強制退去だ。
「ふぐっ・・ふぐっ・・」
なんかいろいろ恥ずかしい。涙が出そうだ。
とてつもない失敗。浅草子と二度と会えないと思うと、損失はデカかった。
いつ美人で性格も良い子と出会うかわからないのだ。体調管理は万全を期さなければならない。