また年の数が増えたよ。ありがとう。
今日は俺の誕生日だ。
30も半ばになると自分の誕生日には、あまり興味がなくなってくる。
むしろこの日が来るまでは億劫な気持ちだったりする。
朝起きると、「ああ・・また一つ年齡という数字が増えたんだな。明日から年齡書く時は間違えないようにしないと。」と思うだけだった。
携帯にはお祝いのメールが届いていた。
彼女の苺女、衛生女を筆頭に、筑紫女、ビチ女、福岡の男友達、オカン、お姉etc‥
今年は大量だ。ありがたや・・ありがたや・・。
未だかつてなくプライベートは充実している。
「福岡に来て本当に良かった・・。」
そしてここでの生活ももうすぐ1年目になるのだった。
さて、今日は衛生女とのデートが控えている。
二股生活を始めるようになって部屋の掃除には、とても気を使うようになった。
(とりあえずいつもの日課をこなさないと・・)
まずはクローゼットから取り出した、衛生女用の洗顔系一式と、歯ブラシを洗面所にセッティングする。
そしてその変わりに苺女の一式をクローゼットへとしまい込む。
いつかあべこべになってしまいそうで怖い。
布団についた臭いにはファブリーズで消臭&臭いの統一。
苺女の置いていったマイ枕もクローゼットへと押し込んだ。
それが終わると次は部屋の掃除を始める。
掃除機&クイックルワイパーで床をキレイにするでござる。
ここまでにかかる時間はおよそ30分。
部屋が狭くて良かったよ・・ホント。
衛生女は苺女に比べると少しズボラだ。使ったコップなどの洗い物はそのまま片付けることもなく帰っていくし、風呂掃除なんかもほとんどしない。
彼女の家に行くと物がとても少ない。これが女性の部屋かと思うほど殺風景だ。
だから少しミスを犯しても(洗顔料が減ってるくらいなら)彼女の場合きっと気づかないだろう。
逆に苺女は長い間家事を手伝ってきただけあって、貴重面でしっかりとしている。
だから俺は苺女のレベルに合わせて、部屋の維持に務めるわけだ。
ということでいつも雑然としているはずの俺の部屋は、この時期、妙にキレイだったのである。
「よし!よし!」
最後に部屋の隅から隅まで指で指しながら確認する。
そして俺は自宅を出た。
待ち合わせ場所は渡辺通の電気ビル共創館&みらいホールの裏通りあたりにある居酒屋さんだ。
電気ビル共創館が完成したのもちょうどこの時期だったと思う。
店名は「暮れ六つ」。
古い民家のようなお店でカップルが誕生日を祝う場所としてはちょっと渋い。
店の位置が小道にあって少しわかり辛いので、少し迷いながらも、なんとか入店。
衛生女の名字を伝えると、小さな個室へと案内される。
「おっす!お待たせ!」
衛「・・誕生日おめでとう。」
少し恥ずかしそうな笑顔で彼女はボソッと言った。
「うん。ありがとうね。」
衛「これ・・プレゼント。恥ずかしいから後で開けて・・」
いきなりプレゼントを渡してくる辺り、さすがの衛生女である。
クリスマスプレゼントは『腹巻き』だった・・今日は何が入っていることやら。