姫路が再開発で様変わりするってよ!
「なんか姫路駅あたりってちょっと殺風景じゃない?」
播「いやいやこれから再開発で大きく変わるんですよ~この空き地にもデパートかなんか立つんです~それに今日は日曜日だから通勤の人は少ないかも?」
50万人の都市、姫路はこの時期、再開発ラッシュに湧いていた。
駅周辺は大きく再開発され、駅のデパートはFESTA⇒ピオレ(洗顔料じゃないよ)に変わり、少し古臭かった駅の顔も都市的な風貌になった。
そして、姫路といえば、世界文化遺産「姫路城」である。この頃には本格的に「大規模保守修繕」として城の全容が覆い隠されて見えなくなっていた。
「ええ?嘘~いま姫路城って修繕中なんすか?」
と城好きなYUTAROとしてはがっくりと肩を落とした。
その修繕もようやく終了した。
ということで、観光に姫路に行くなら「今」だ。
女はどこで化学変化が起こるかわからない。
さて姫路の宣伝はこれくらいにして、二人は商店街の脇あたりにある居酒屋に入った。焼き鳥屋だった。
「空いてますか?二名なんですけど。」
結構賑わっていたが、小上がりが空いていたのでそこに通される。
「お酒は結構飲めるほうかね?」
播「はい!どんとこい!」
おお・・細いし不幸顔なのになかなか威勢がいいな・・。人は見かけによらないということだろうか?
ということでジョッキを重ねる。長時間の運転でとてつもなく空腹だった。ビールの冷たさが五臓六腑に染み渡る。
会話もそこそこにビールを一杯と串盛りをあっという間に平らげた。
「おかわり!」
播「飲みっぷりいいですねえ~・・」
「ごめん、品がなくて、めっちゃお腹空いてて・・」
播「今日はたくさん食べて、一杯飲みましょう!」
おお・・見かけによらずええこや・・。
ということでビールと焼き鳥が交互に行き交う。
「んまい!」旅のために我慢を重ねてきた外食に舌づつみを打った。
そして播磨女もその痩せた外見と裏腹によく食べ、よく飲んだ。
もともとあまり栄養を吸収しない体質なんだろう。でも幸せそうに飯を食う女は嫌いじゃない。
播磨女の不幸顔も少し薄くなっている。
店に入って、一時間ほどは「最近ハマっていること」や「休日の過ごし方」などなど初対面ならではの少し距離置いた会話で盛り上がった。
しかし、
「最近彼氏と別れたんだよね?どれくらい付き合ってたの?」
と何気なく聞いたあたりから化学反応が生まれ始める。
播「4年も付き合ってたんですよ?それなのに責任も取らずに・・アイツ・・カスや!カスのクズや!」
みるみる彼女の人相が悪くなる。
あれ?なんか怒ってません?
「うらめしやぁ~」そのセリフがぴったりだった。
酒+恋愛の話=愚痴だ。根が深いほどその化学反応は大きい。
和気あいあいとした雰囲気は一変し、景色が「場末の居酒屋」に変わった。
「4年も付き合ってたんだ・・それは可哀想に・・。でもそこまで長く一緒にいて、結婚までいかなかったってのは彼氏だけに原因があるとは・・ずっと上手く行ってたんでしょ?」
「だからなんか、別れた原因があるんじゃない?それにそれだけ長く付き合えるって、俺から見ればそれだけでも尊敬するわ。」
なぜか火に油を注ぐYUTARO。
播「ウチは悪くない!アイツが全部悪いんやあ~!ヽ(`Д´)ノ」
火は爆発的に燃え広がった。
「えええ・・・。」
子供の頃にTVで見た、「加熱しすぎて火が出た天ぷら油の処理方法」が脳裏に浮かんだ。
燃えている油を処理する候補は、「水」、「消火剤」・・そして・・
消「さてここでマヨネーズを丸ごと入れてみます。」
オレ「え?なんでマヨネーズ??これは絶対マヨネーズだろ!」と思ったあの頃の感覚に似ている。
ちなみにマヨネーズを入れると「余計に危ない」という謎の構成だったわけだが・・。なんでマヨを候補に入れたの?TV局よ。
播「店員さん!冷酒!」
なんかここから凄い嫌な予感がするんですけど・・。
既に火が上がっている彼女に冷酒という選択は消火の機能を果たすのだろうか?