下心が無ければ「恋」は生まれない。
美野島のサニーなう。俺はロリ美宅へのお土産にビールやお菓子をカゴに入れていく。
ロリ美の酒の趣味もまだよくわからないので、ワインとチーズ(安いの)もぶち込んでおいた。
「味噌・・味噌あったかしら?」
時折、主婦的な発想も交えながら商品を選別していく。
気持ちが高ぶる。オラわくわくすっぞ。
じっとしていると気持ちが沸き立つ。本当に鍋が食いたいわけじゃない。男の下心がそうさせるのだ。
「少し冷静にならねば・・」
買い物袋を引っさげ、彼女宅まで歩くことにした。
俺と彼女の家の距離は意外にも近く、彼女も百年橋通りの付近に住んでいた。
(女の子っぽい部屋かなあ・・ウフフ)
(タンスの中漁って、下着とか探したら逮捕されるかなあ・・ウフフ。)
いろいろ想像を働かせてながら歩く。
どうやらウォーキングは思考を活発にしてくれるらしい。
これが意外と楽しい。ウキウキウォーキングだ。
(実は実家だったらどうしよう?ヤベエ!)
(汚部屋だったらどうリアクションしよう・・?ヤベエ!)
(昔の男の影が色濃く残ってるメンヘラだったらどうしよう・・?ヤベエ!)
などと、たまにネガティブな事を考えて帳尻を合わせてみるが、ウキウキすぎて、ネガティブサイドの戦局はよくない。
ふと立ち止まり、肩にかけている鞄の中を覗く。
(ゴムよし。勃起薬よし。下心・・よし!)
うら若き女性の家にあがりこむのだ。下心が無ければ逆に失礼になる。
ここで下心を見せなければ、ただの友達で終わってしまう。下心が無ければ恋は生まれないのだ。
紳士とか、いい人と呼ばれるかもしれないが・・。
日本人は紳士の前に侍である。でもご先祖様は多分百姓だと思う。
カバンの中身を見つめながら、俺の思考は空回っていた。
それはここ2週間ほど、「してない」からなのかもしれない。
二人の彼女とは、少しマンネリ化しつつある。
こちらのネガティブ要素はなかなか強く、一旦頭に浮かぶと、しばらく頭の中から消えなかった。
(えっと・・このマンションやな。)
ロリ美の家辿り着くと、LINEでもう一度部屋番号を確かめる。
そして、部屋番号をプッシュした。
「いらっしーゃい!」
彼女が桂三枝師匠の口調で歓迎してくれる。
彼女の声が聞こえたので、俺はスーパーの袋をカメラの前へと掲げた。
「ふふっ」という笑い声とともに、ドアがジーッと音を立てて解錠された。
今夜開けるのは違う鍵かもよ?(ゲス)