やっぱり料理上手の女はいいばい!
マリノア帰りのバスの中。足の裏には重い痛みが走っている。
でも悪くない疲れだ。すぐ隣にはかわいい百合子がいる。
百「ねえ、晩御飯は何食べたい?」
「うーん、そうやなあ・・昼がイタリアンだったから和食かな。」
オジサンになるとダントツで和食なのである。
百「和食かあ・・からあげ?」
和食=からあげという発想が若い。
「い、いや揚げ物はちょっと・・好きだけどね。魚の煮つけとか?」
百「煮魚かあ・・わかった!」
博多駅に着くとさっそく買い物に出かけた。行先は「美野島商店街」である。
「うちの近くに美野島商店街っていい感じの商店街があるんよ!」
百「お!夕方のテレビ番組で見たかも?そこ行ってみたい!」
嬉々として二人は商店街に向かった。手をつないで。
俺の容姿がもう少し爽やかなら、かつての「チャーミーグリーン」のCMも良く似合うことだろう。
「あれ?嘘だ。どこも営業してない。」
百「本当だ。お店ほとんど閉まってるね・・。」
日曜日の美野島商店街はほとんどが休店だった。
とりあえずスーパーはやっていたので、仕方なくそこで買い物。
百「煮魚だけだとなんか寂しいよね・・。他になんか食べる?」
「じゃあチンジャオロース!」
百「中華じゃんwオイスターソースある?」
「そんな凝ったもの・・ウチにあるわけねえよ。」
ピーマン、タケノコの水煮。メカジキなどなど
百合子は迷いなく買い物かごに材料を入れていく。さすが実家で台所を任されているだけある。
俺は彼女の頼もしい姿を見てキュンキュン来ていた。
やはり女性的な行動は男心を揺り動かす。胃袋をつかむというのは良く言ったものだ。
まだ食ってないけど・・。これでメシマズだったらどうしよう・・。
「お!これも忘れちゃいけねえ・・!」
俺はカゴの中にビールを突っ込んだ。
買い物を終え、ようやく部屋に到着。・・疲れた。
このまま二人でゴロゴロしたいもんである。
百「さあ作っちゃおう!フライパンとかお鍋どこあると?」
「・・うーん。ちょっとゆっくりしたら?ビールでも飲んでさ。」
百「オッサンはゴロゴロしてていいよ。」
優しさの中にある「オッサン」が痛い。
「いや・・手伝うよ。」
百「男の人はキッチンに立っちゃダメ!」
「え?なんで?」
百「なんでもばい!」
若干ハタチにして「古臭い考え」の持ち主だ。こういうのは九州の女子でたまに見かける。今では絶滅危惧種だ。
ビールを見ながらちびまる子ちゃんを見ていると、良い匂いがしてきた。
百「YUちゃん!お待たせ!ご飯出来たよ~」
小さなテーブルいっぱいに皿が並ぶ。
「おおう!ありがとう!なんか豪華やで!」
百「お味噌なかったからお吸い物にしたよ。お口に合うかな・・。」
少し緊張した顔で百合子が言った。とりあえず手を合わせて頂きます。
「おお!美味い!俺の好きな味付けや!ビールと米が進むぜ!」
百「ありがと!でもビールとお米って合わないでしょ?(苦笑)」
ということで料理上手が発覚した百合子。
申し分ないスペックだ。
今日はなんて幸せな日だろうか。福岡に来て本当に良かった。
さて・・次は百合子を召し上がっちゃおうかな?グフフ。浮かれる俺。
しかし、予期せず雲行きは怪しくなっていくのだ。